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「謙虚」と「謙遜」の違いとは?ビジネスシーンで謙虚さが重視される理由と身につける方法

2026.01.12

謙虚とは、具体的にどのような様子を指すのかよくわからない方もいるのではないでしょうか。控えめな態度で慎ましく、素直に相手の意見などを受け入れる様子を指す言葉です。今回は、謙虚と謙遜・卑下の違いやビジネスで重要な理由などをご紹介します。

謙虚とは?

謙虚とは、控えめで慎ましい様子や、素直に相手の意見などを受け入れることです。謙虚の「謙」にはへりくだるという意味があり、「虚」には素直という意味があります。これらを組み合わせ、へりくだって素直な人という意味になる言葉です。

ここでは、謙虚と謙遜・卑下との違いを解説します。

参考:デジタル大辞泉

■謙遜との違い

謙虚と似た言葉に「謙遜(けんそん)」があります。謙遜は、へりくだり、控えめな態度をとるという意味です。謙虚とほとんど同じ意味ですが、謙遜はより「へりくだる」点を強く表している点が異なります。

また、謙虚と謙遜は、焦点をあてる部分が違います。謙虚は「意識」に焦点をあて、「どのように思っているか」を表す言葉です。一方、謙遜は相手に対してへりくだる「振舞い」に焦点があてられています。

相手から褒められたとき、それを素直に受け入れるのが謙虚です。一方、過分のものと受け取り、自分を下げるのが「謙遜」です。謙遜は度を超えると相手の評価を否定することにもなるため、注意しなければなりません。

たとえば、「〇〇が上手ですね」と褒められたとき、「いいえ、とんでもないです」と答えるのは謙遜です。

自分では謙虚な態度を示したつもりでも、謙遜により相手の言葉を跳ね返してしまいます。相手は好意を持って褒めているのに、それを否定された気分になることもあるでしょう。

謙虚な態度をとるのであれば、この場合は自分を褒めてくれた相手の言葉を受け入れて「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えます。さらに「今後もますます上手になるように励みます」と伝えれば、よりよい回答になるでしょう。

■卑下との違い

謙虚は、卑下(ひげ)とは異なります。卑下は、自分をあえて低い位置に引き下げてへりくだるという意味です。「卑」には身分や地位が低く、価値がないという意味があります。

自分を低くみせるという点で、控えめという意味の謙遜と似ているようにもみえますが、両者の意味はまったく異なります。

卑下には自分が劣っているとさげすむ意味合いがあり、ネガティブな印象が強い言葉です。これに対し、謙虚はあくまで控えめで慎ましい態度を表すものであり、卑下のように自分を劣ったものにみせる意味はありません。

謙遜と同じく、「〇〇が上手ですね」と褒められたときを例に比較してみましょう。

卑下の場合は「とんでもないです。私より上手な人はたくさんいます」など、相手の言葉を否定して、自分を下げる答え方をします。

これに対し、謙虚な人であれば「ありがとうございます。自分ではまだまだ上手になれると思っているのですが、褒めていただけてうれしいです」といった答え方をするでしょう。

謙虚の使い方・例文

謙虚は実際にどのように使うのか、例文で確認していきましょう。

  • 彼は部下の意見にも素直に耳を傾け、業務の改善に取り入れるなど謙虚な姿勢をいつも崩さない
  • 実力のある選手ほど謙虚であり、コーチの意見を素直に聞いて自分の練習に活かしている
  • 記者会見では多くの批判的な質問が投げられたが、彼は謙虚な姿勢でそれらの一つひとつに回答していた
  • 彼は誰に対しても謙虚な態度で接してきたからこそ、今日のような成功をつかむことができた
  • 謙虚さに欠けていると周りからの人望を得られず、仕事にも支障が出るだろう
  • 彼はいつも謙虚な態度で人に接しているため人望が厚い。困ったときは、多くの人が手を差し伸べてくれる
  • 彼女はチームの中でも高い成果を出しているにもかかわらず、いつも謙虚な姿勢で努力を重ねている
  • 彼が短期間で昇格できたのは、自分の実力を過信せず、謙虚で控えめな態度で努力してきたからにほかならない
  • A社は企業から数年で上場を果たしているが、成功をおさめた現在も経営者の謙虚な態度は変わらない
  • 謙虚さがないと自分を客観視できず、自分の考えに固執してしまって成長できなくなる
  • ビジネスで成功するためには、謙虚さを身につけることが大切だ

ビジネスで謙虚さが求められる理由

どのようなシーンでも謙虚であることは大切ですが、とくにビジネスの場では謙虚であることが成功するポイントといえます。

ここでは、ビジネスで謙虚さが求められる理由を解説します。

■成長を促すため

ビジネスで謙虚さが求められる理由は、成長を促すためです。謙虚な姿勢がなければ、自分の足りない部分を認められず、改善することもできないでしょう。自分はまだまだ勉強不足との謙虚さがあれば、周囲から学ぼうとする意識が芽生えます。

謙虚な人は、世界は広く異なる価値観や考え方があり、自分の知らないことも多いことを理解しています。そのため、狭い世界の中で「自分はすべてを知っている」と勘違いをすることはありません。

謙虚な姿勢があれば、自分に対する評価も素直に受け入れられます。フィードバックを真摯に受け止め、改善していくことができるでしょう。

■感謝を素直に表現するため

謙虚さがあれば、感謝を素直に表現できます。ビジネスでは人とのつながりが重要であり、周囲との協力関係がなければ業務をスムーズに進行できません。謙虚な人は、成功を自分だけの実力と過信することがなく、周囲の協力のおかげと感謝の気持ちを持ちます。

感謝を表現することで相手を尊重していることが伝わり、お互いの信頼関係が深まるでしょう。その結果、仕事にもよい影響を及ぼします。信頼関係が築かれていれば、自分が困ったときにも助けてもらえるようになり、ビジネスの成功につながるでしょう。

■良好な人間関係を築くため

謙虚さは、良好な人間関係の構築につながります。謙虚な人は自分のスキルや知識が人より優れているわけではないとわきまえており、人の意見を素直に受け入れるのが特徴です。

自分の弱い部分を認め、積極的に学ぶ意欲もあります。そのような姿勢が人望を集め、社内の人間関係だけでなく、取引先など社外の人間関係も良好になるでしょう。

■環境の変化に対応するため

近年のビジネス環境は変化が激しく、技術も急速に進化しています。それらに対応していくためには、変化を素直に受け入れる謙虚さが欠かせません。

これまでの自分の価値観や考え方にこだわるのではなく、さまざまな意見に耳を傾けることで、変化にも柔軟に対応できます。 

変化を受け入れることで新しいスキルや技術を意欲的に習得でき、自身の成長にもつながるでしょう。その結果、新しい環境にも素早く適応できるようになります。

謙虚な人の特徴

謙虚な人には、次のような特徴があります。

  • 他人の意見を尊重する
  • 自分の間違いを素直に認める
  • 努力を惜しまない
  • 見返りを求めない

それぞれ、詳しくみていきましょう。

■他人の意見を尊重する

謙虚な人は、他人の意見を尊重します。自分の考え方や意見に、固執することがありません。自分とは異なる意見でも、新しい視点を取り入れるという気持ちで受け入れ、自分の成長に役立てます。

自分の意見が必ず正しいとは考えないため、人の話をしっかりと聞く傾聴力があります。相手の話を否定したり遮ったりすることはせず、意見に対して偏見を持つこともありません。

自分の感情や価値観、過去の成功体験などに囚われることなく、客観的な視点で相手の意見を捉えることができます。

■自分の間違いを素直に認める

謙虚な人は、自分の間違いを素直に認め、謝ることができます。自分自身を客観視できるため、人のせいにせず責任を認めて改善に取り組みます。このような姿勢は、周囲からの信頼を獲得し、ビジネスをよい方向へ導くでしょう。

上司の信頼を得ることで重要な仕事を任せられる機会が増え、キャリアアップの可能性も高まります。

■努力を惜しまない

謙虚な人は、努力を惜しみません。自分を客観視しているため、自分の立場やスキルを過信することなく、まだ成長できると考えて努力を重ねます。

常に自分の言動を振り返り、改善点を見つけることも謙虚な人の特徴です。他人の成功や才能、長所を素直に認め、敬意を払います。

よい部分を見習い、学ぼうとする姿勢もあります。失敗を恐れず、新しいことも学びの機会と捉え、積極的に挑戦するのも謙虚な人の特徴といえるでしょう。

■見返りを求めない

謙虚な人は、見返りを求めません。相手より優位に立ちたい、自分が目立ちたいといった意図はなく、ビジネス全体でよい結果を残すことを考えているためです。

誰かのサポートをするときも、「相手に気に入ってもらえるから」「立場がよくなるから」といった損得勘定がなく、相手のためを考えて行動します。

自分にとって不利な場合でも手助けすることに躊躇しないため、周りからの信頼を集めやすいでしょう。

謙虚になるための方法

自分に謙虚さが足りないと感じていても、心がけひとつで謙虚になることは可能です。謙虚になる方法は、次の2点がポイントになります。

  • 常に学ぶ気持ちを忘れない
  • 感謝を言葉にする

ここでは、謙虚になる方法を解説します。

■常に学ぶ気持ちを忘れない

謙虚になるためには、常に学ぶ気持ちが大切です。居心地のよい環境や既存の知識にこだわらず、新しい分野や新しい環境を求め、視野を広げるようにするとよいでしょう。

他人のフィードバックを積極的に受け入れることも必要です。課題を認識しているときは、自らフィードバックを求めるとよいでしょう。さまざまな人の意見やアドバイスを求めることで改善ができ、大きな成長につながります。

謙虚さを身につけるためには、「自分は正しい」という考えはいったん捨てましょう。否定的な意見があっても、「そのような考え方もある」と受け止めることが、謙虚な姿勢につながります。

■感謝を言葉にする

謙虚になるためには、感謝の心を持つことが大切です。感謝の心を持つためには、「仕事への取り組みや成果は、自分の力では成し遂げられない」という自覚が求められます。

周りの協力に支えられ、現在の仕事ができていることを認識しましょう。自覚を持つことで、相手への心からの感謝の気持ちが生まれます。

最初は言葉にすることが難しくても、感謝の気持ちが強まれば、自然に言葉にできるようになるでしょう。相手は素直な気持ちを伝えられることで、心を開き、信頼関係が築かれます。

また、感謝だけでなく、謝罪の言葉も率直に伝えることが大切です。自分に非があるときは素直に認めて謝ることが、謙虚さにつながります。

上司が部下の謙虚さを育成する方法

ビジネスを成功させるためには、人材に謙虚さが求められます。人材が謙虚さを身につける方法として、上司のサポートが効果的です。

育成の方法として、次の2つを取り入れるとよいでしょう。

  • 1on1ミーティングを行う
  • 360度評価を実施する

謙虚さを育成する方法をご紹介します。

■1on1ミーティングを行う

部下の謙虚さを育成する方法として、1on1ミーティングが効果的です。1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で定期的に面談する人材育成の手法のことです。信頼関係を築き、部下の自主性を高めて成長を促す目的で行われます。

1対1の対話形式で行うため、プライベートな話題や現在抱えている課題などを話しやすいのが特徴です。

上司が一方的に評価を行う人事評価面談とは異なり、部下自身が主体となってミーティングのテーマ策定や問題の解決策を考えさせることがポイントです。

ミーティングで部下は自分の失敗や成功の体験を振り返り、自分で考える習慣が身につきます。自分の考えを相手に伝えることで客観視できるようになり、上司からのフィードバックを受けて自分の思考や行動を客観的に捉える機会を得られるでしょう。

これにより、自分自身のことを客観的に見つめる「メタ認知」や、自分で改善点を見つける「内省」のスキルが育まれます。その結果、自ら成長しようとする意識が高まり、謙虚さが育成されるでしょう。

■360度評価を実施する

人事評価制度に360度評価を取り入れることも、謙虚さの育成につながります。360度評価とは、上司や部下、同僚など、さまざまな立場の人から評価を受ける手法のことです。多角的な視点から評価するため、客観的で公平な評価が期待できます。

働き方改革でリモートワークなど多様な働き方が導入されている今日、上司からの単一的な視点だけでは社員の評価がしにくいといった事情から、360度評価が注目を集めています。

360度評価ではさまざまな立場の人からの評価やフィードバックを受けられるため、自分では気づけない課題や改善点を見つけやすくなり、自己理解が深まる点がメリットです。

自分を客観的に捉えられるようになり、より謙虚になって自分を成長させる意識が高まるでしょう。

ビジネスを成功させるために謙虚さが大事

謙虚とは、控えめな態度で人に接することです。謙虚な人は周囲から信頼されやすく、良好な人間関係を築くことができます。

これはビジネスの場面でも同様であり、謙虚な態度を心がけることで、社内や社外の人々との信頼関係が強まります。謙虚さがあれば、自分自身の成長を促し、変化の激しいビジネス環境にも柔軟に対応できるでしょう。

謙虚になるためには、自分を過信せず、常に学ぶ気持ちを忘れないことが大切です。また、周囲への感謝の気持ちを忘れず、言葉にして伝えるようにするとよいでしょう。

社内で謙虚さを育成するためには、1on1ミーティングや360度評価の導入もおすすめです。謙虚さを育むことは、企業の成長にもつながります。

構成/須田 望

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