「お大事に」は相手の体を労わる挨拶の言葉です。 家族や友人に使うのは問題ありませんが、あまり丁寧なニュアンスではないため、目上の人にはNGとされています。 ビジネスシーンや改まった場でも使える言い換え表現を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次

「お大事に」を目上の人に使うには?
お大事に(御大事に、おだいじに)は、相手の体を労る心持ちを表す挨拶の言葉です。「お(御)」は丁寧を意味するため、「お大事に」と言っても不躾な印象にはなりません。
しかし、相手への尊敬の言葉が含まれていないため、気遣いは示せても、目上の人には適切とはいえない可能性があります。
目上の人に話すときやビジネスでは、相手に不快感を与えないためにも、尊敬していることがわかるような言葉を選ぶようにしましょう。相手への気遣いと尊敬の気持ちを同時に表現できる言い回しをご紹介します。
参考:デジタル大辞泉
■お大事になさってください
「お大事になさってください」は、目上の人に話すときやビジネスシーンでよく使う言葉です。相手への気遣いだけでなく「なさる」という尊敬語を使うことで、明らかな尊敬の気持ちを表現できます。
- お風邪を召されたと伺いました。どうぞ、お大事になさってください。
- 病み上がりではないですか?ご無理をせずに、お大事になさってください。
- 時節柄、体調を崩す方も多いようです。お大事になさってくださいませ。
■お大事にしてください
「お大事にしてください」も、丁寧な印象を与える言葉です。
- ゴルフ場で怪我をされたと聞きましたよ。お大事にしてくださいね。
- まだまだ寒さが続きそうです。無理をなさらず、お大事にしてください。
- 喉が辛そうですね。お大事にしてください。
「お大事にしてください」の「ください」は、相手に何かを要望・懇願する意味を示す補助動詞です。丁寧ではありますが、「なさる」のような尊敬語を使った表現ではないため、敬語ではなく誤用とされています。
しかし、文化庁が2000年1月に実施した「国語に関する世論調査」によれば、「お大事にしてください」の表現が「気になる」と回答した方は16.7%で、80.1%の方は「気にならない」と回答しました。
言葉は移り変わっていくものです。元々は誤用であっても、時間が経過するとともに慣用的な表現として受け入れられ、正しい日本語と判断されるようになることがあります。「お大事にしてください」も、すでに正しい日本語なのかもしれません。
参考:文化庁「平成11年度「国語に関する世論調査」の結果について」
ビジネスでも使える!「お大事に」の言い換え表現

「お大事に」は相手を気遣う言葉ですが、尊敬の意味が含まれていないため、目上の人やビジネス上で付き合う人に対しては不適切といえます。「なさる」という尊敬語を使い、「お大事になさってください」と表現するか、別の言葉で言い換えるようにしましょう。ビジネスでも使える言い換え表現をご紹介します。
■ご自愛ください
「自愛」とは、自分を大切にすることや自分の健康状態に気を付けることです。「ご自愛ください」と言えば、相手に対して「ご自身の健康状態に気を付けてください」という気持ちを伝えられます。
- お忙しいとは思いますが、どうぞご自愛ください。
- 心なしかお元気がないようにお見受けいたしました。無理をせず、ご自愛くださいませ。
- 少しだけで申し訳ないのですが、喉によいと言われるはちみつをお送りしました。どうぞご自愛くださいませ。
「お大事になさってください」や「ご自愛ください」の語尾に「ませ」を付けることもあります。「ませ」は丁寧の助動詞「ます」の命令形で、相手にある動作を要求するときや丁寧の気持ちを込めて挨拶するときに使われます。
■お労りください
「労る」とは、弱い立場にある人などに同情の気持ちをもって親切に接することや、気を配って大切に世話をすること、養生することを意味します。「お労りください」と表現すれば、相手にご自身の身体に気を配り、養生してほしいという気持ちを伝えられます。
- 今日はお忙しかったでしょう。ゆっくりとお労りくださいませ。
- お疲れさまです。明日と明後日はお休みですので、ゆっくりとお労りください。
- 足場の悪い中、ご足労をおかけいたしました。こちらでお労りください。
■養生なさってください
「養生(ようじょう)」とは、生活に留意して健康の増進を図ることや摂生することを意味する言葉です。また、病気の回復に努めることも「養生」と表現します。
- まだおやつれのようにお見受けいたします。養生なさってください。
- 時間が経てばきっとまたお元気になられます。気長に養生なさってください。
- まだ回復なさってから日が経っていないのですから、養生なさってくださいませ。
なお、「養生」は人に対してだけ使う言葉ではありません。運搬や塗装作業の際に、周囲の汚損を防ぐためにシートや板などで保護することも、「養生」と表現します。
- 引っ越し作業を始める前に、廊下やドアのすべてに養生シートを張った。
- 養生が十分ではなく、外壁以外の部分にも塗料が付着してしまった。
「お大事に」を使うときの注意点

「お大事に」は丁寧な表現ですが、尊敬語ではないため、目上の人に話すときやビジネスシーンではふさわしくない恐れがあります。そのまま使うのではなく、「なさる」などの尊敬を意味する言葉を加えるようにしましょう。
その他にも、次のポイントに注意が必要です。
- 労りの気持ちを示したいときに使う
- 無理な要求をしない
- 年下の人にも労りを示す
それぞれの注意点をご紹介します。
■労りの気持ちを示したいときに使う
「お大事に」は相手の体を気遣うときに使う言葉です。相手が健康なときに使うと、「調子が悪そうに見えるのだろうか」と、かえって嫌な気持ちにさせてしまう恐れがあります。
病気や怪我をした・していることを知っているとき、あるいは疲れていることが明らかなときなど、相手を労ることが自然だと思われる場合のみ、「お大事に」と伝えるようにしましょう。
■無理な要求をしない
「お大事に」は労りの言葉です。「お大事に」の後に、「明日までに納品してください」といった相手に労力をかける言葉をつなげるのでは、口先だけで労っている印象になってしまいます。
「お大事に」と相手を労るときは、無理な要求をしないように心がけましょう。また、どうしても相手に労力をかける必要がある場合は、「お大事に」ではなく「大変なことは重々承知しているのですが……」といったクッション言葉を置くとよいかもしれません。
■年下の人にも労りを示す
「お大事に」と労る相手は、年上や目上の人に限りません。元々「お大事に」は丁寧な言葉ですが、尊敬の意味は含まれていないため、誰に対しても使えます。
年下や同僚などの幅広い相手に、労りの言葉が必要なときは「お大事に」と声をかけるようにしましょう。たとえば、次のようなシチュエーションで使えます。
- 週末、寝込んでいたと聞いたよ。もう出社しても大丈夫なの?お大事にね。
- お子さんが階段から落ちたんだって?大怪我でなくて良かったね。「お大事に」と伝えておいてね。
- 顔色があまりよくないよ。無理をしないで、お大事にしてね。







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