
投資ブームの今、過去最大の売り上げを記録している投資マンガ『インベスターZ』をテスタさんはどう見たのか。そして同作品を三田紀房先生はどう描いたのか。ふたりの本音に迫る!
教えて、テスタさん!
投資をはじめ仕事で「勝つ」ためにどんなことが大切だと考えていますか?→成功の秘訣は始めることと楽しく続けること
三田 妻がテスタさんの大ファンで(笑)。お会いできて嬉しいです。ずっと聞きたかったんですが、どうして投資を始めたんですか?
テスタ 元々パチンコ好きで。当時、機種規制が更新されたのですが、移行期間として検定済みの機種は使えたんですね。興味本位で調べたら、それを売っているのがほぼセガサミーだけだった。それで株を買ったのが始まりですね。
三田 普通の人は調べるところまでなんですけど、実際に株を買う行動力がさすがだなぁ。そんなテスタさんから見た『インベスターZ』(以下、本作)はどうでした?
テスタ 投資を経験しないと生まれない視点が多く描かれていて、凄く濃い内容でした。事前に投資について調べられたんですか?
三田 実は準備期間がほぼなくて、制作と取材は同時並行だったんです。あれこれ準備していてもお金は生まないんですよ。価値を生むには、描くしかないわけですね。
テスタ えぇ!? そうなんですか? 不安だったのでは?
三田 いざ始まるといろんな人が協力してくれるので、割と何とかなっちゃうものなんです。
テスタ まず始めることが大事なんですね。そこからどうやって物語を作っていったんですか?
三田 投資マンガってあまり成功例がなくて、まずその理由を考えたんですよ。出た結論が「主人公に野望がある」から。例えば10億円利益を出して主人公が喜んでも、それは読者にとって他人事だから感情移入しづらい。だから本作の主人公には動機がないんですよ。
テスタ 主人公が投資部に入ったのも麻雀がきっかけですしね。
三田 それに本作は情報マンガなので、いかに読者が情報を受け取れるかが大事。だから主人公の目線はフラットなほうがいいと。これも描いていくうちに定まった方向性なんですけどね。
テスタ ちなみに本作は、21巻で完結しました。次の作品がヒットしなかったらどうしようって、思うことはないんですか?
三田 それはあんまりないかな。次にまた、がんばるだけ。僕の連載は長くても20巻程度と決めています。土日の2日間で読破できる程度のボリュームが、商品として優れているという持論です。連載期間でいうと5年程度。5年もあれば、世の中はガラッと変わりますよね。だから、次回作のネタはどこかに転がっているはず。
テスタ じゃあ新連載が始まる時は、大変だけど楽しい?
三田 そりゃもう。メチャメチャハイテンションですよ(笑)。
テスタ でもその気持ち少し分かるかも。僕も投資を20年ほど続けていますが、最初はお金のためでした。でもいつしか投資が自分の中で楽しいものになっていて。
三田 僕も似たようなものですよ。最初は継いだ家業が経営難で、一発逆転狙いでマンガを描いて応募したのがきっかけですからね。
テスタ そうなんですか!?
三田 レジ横のカウンターで描いていましたもんね。でも今は、純粋にマンガを描くのが楽しいから続けられている。やっぱり何事も長く続けられる人が最後に勝つのかもしれませんね。
テスタ そのためには楽しいと思えないとダメなのかも。投資家にも何十億と稼いだら目的がなくなって辞める人はいますしね。
三田 あと今日のお話を聞いて、テスタさんは着想から行動までのスパンがすごく短い人だなと思いました。その決断力と行動力も、成功の秘訣なのかもしれません。
テスタ 今から何かしたいと思う若い世代に伝えたいのは、周りに反対されても自分がやりたいならやるべき。明日から投資家になる! とか言ったら当然、親も友達も反対するわけです。でもそこで挑戦したからこそ今がある。
三田 本作では「美人の隣に座れるのは、美人に告白した男だけだ」って台詞が出てきますが、まさにその通りだなと。失敗してもまた挑戦すればいいだけなんですよ。
『インベスターZ』
(三田紀房)ⓒ三田紀房/コルク
創立130年の超進学校、道塾学園の運営資金3000億円を運営する投資部に図らずも入部させられた主人公の財前孝史が、投資を通じて世の中の仕組みを知る物語。貨幣など投資に関連する事柄の歴史をはじめ、投資での成功に必要な心構えといった、一般社会でも役立つような知識を学べるのも本作の魅力だ。
漫画家 三田紀房さん
1958年生まれ。漫画家のキャリアとしては遅めの30歳でデビューして『ドラゴン桜』『インベスターZ』『アルキメデスの大戦』など数々の名作を手がけてきた。2024年3月、自身の半生を語った自伝『ボクは漫画家もどき イケてない男の人生大逆転劇』を出版。
個人投資家 テスタ
兵庫県出身、171cm、59kg。A型。2005年から株式投資をスタートし24年に累計利益100億円を達成。14年からは全国の児童養護施設、保護猫・保護犬への寄付活動を継続的に行なっている。テスタの名は、中学校の時に飼っていた鳥の名前に由来。監修著書に『マンガでわかるテスタの株式投資』(大和書房)。
取材・文/桑元康平 撮影/園田昭彦
DIME4月号の特集は「100億円投資家テスタに学ぶ、勝ち続ける投資術」
今、最も注目を集める超売れっ子個人投資家、テスタさん。
講演会を開けば即満席、メディアでも引っ張りだこという彼が、新NISA2年目の攻略法から、負けない投資の独自ノウハウ、思考法、年齢別資産運用シミュレーションまで、徹底的に深堀り解説。
勝者の戦略と哲学を学び、資産形成のヒントを掴んだら後は行動に移すだけだ!
主要オンライン書店は完売しております。お近くの書店でお買い求めください。
<DIME SPECIAL1>
【投資の鉄則】【保有銘柄】【ポートフォリオ】【情報収集術】【仕事部屋】【1日のスケジュール】全部見せます!100億円投資家 テスタの投資術
知識ゼロからわかる!元手100万円を4年後に1億円にする方法
『インベスターZ』作者三田紀房、川合俊一、小倉優子、テスタにぶつける3つの疑問
2025年、トランプ2.0時代の安定資産の築き方
世代別の〝正解〟は?新 NISA2 年目の投資戦略
投資哲学から趣味、さらには??野家愛まで!テスタを紐解く 25 の質問
投資をギャンブルにしないためのテスタ式思考術
投資初心者が「オルカン」の次に選ぶ一手は? など
<DIME SPECIAL2>
『SHOGUN 将軍』『地面師たち』を超える!動画配信サービス今後の注目作&知られざる名作63
今や動画配信サービスのサブスクは、2人に1人が利用している時代に。コンテンツがあふれる今、ビジネスパーソンはハズレは引きたくないもの。
そこで各ジャンルに詳しい映画評論家らに「絶対見るべき!」と大絶賛する作品をセレクトしてもらった。
【Interview】
中島健人×桐谷健太
価値観が真逆な二人の仕事論
津田健次郎
劇場版『トリリオンゲーム』で魅せた声優×俳優の二刀流
PayPay銀行 代表取締役社長
田鎖智人
銀行の常識を変えた〝脱トップダウン〟習慣
【Trend Watching】
規格外野菜をブランド化!「闇堕ちトマト」とは?
あの女性向けブランドがメンズ市場へ参入するワケ
興行収入15億超も!ライブは映画館で楽しむ時代へ
【BuzzWord】
大阪万博以来55年ぶりに復活した「ミライ人間洗濯機」
使わない時は取り外せる自由なバスタブ「bathtope」
着座確率を推定してくれる「座れるルート検索」
■REGULAR CONTENTS
・玉川徹から働き盛りの君たちへ
・山崎怜奈の好奇心のとびら
・ヒャダインの温故知新アナリティクス
・NIKKIのKINIなる世界
・竹田ダニエル Z世代の<はたらく>再定義
・小山薫堂のscenes
・データウオッチング
・キーワードで読み解く社会学 Buzz Word
・DIME LOUNGE STORE
・BUSINESS BIBLE SELECTION
・CAR of the DIME
主要オンライン書店は完売しております。お近くの書店でお買い求めください。