「以上」とは、それより上の範囲のことです。たとえば、「期待以上」といえば、期待を超えたことを意味します。 しかし、数量に「以上」が付く時は、それより上だけでなく、その基準も含みます。たとえば、「18歳以上」といえば、18歳より上だけでなく18歳も含む点に注意が必要です。 意外と難しい「以上」の使い方をわかりやすくまとめました。ぜひ参考にして「以上」を使いこなしてください。
目次
以上とは?状況に応じた意味をご紹介

「以上」と聞くと、小学校の算数で習った等号と不等号を思い出す方も多いかもしれません。「5以上」と「5以下」は「5」を含むけれども、「5未満」と「5より大」は「5」を含まないというように、「以上」はその基準を含んでそれより大きいといった意味で使われます。
しかし、「以上」の意味はそれだけではありません。程度や優劣、数量などでどのように「以上」が使われるのかご紹介します。
参考:デジタル大辞泉
■数量に使われる「以上」
数量の後に「以上」が使われる時は、その基準を含み、それより大きいという意味です。たとえば、18歳以上は、18歳と18歳よりも高い年齢の人を指します。「18歳以上の方なら申し込めます」と記載されている時は、18歳の人も申し込めます。
数字だけでなく学年などの序列を示す言葉の後に「以上」が使われる時も、その基準を含むことが一般的です。たとえば、「小学生以上」なら小学生を含み、それ以上の人を指します。「小学生以上対象」と記載されているなら、幼稚園児は対象外ですが、小学生や中学生、高校生などは対象です。
■程度や優劣に使われる「以上」
「以上」は常に基準を含むのではありません。程度や優劣に「以上」が使われる時は、基準自体は含まず、それよりも高いことを示します。
たとえば、「期待以上」という時は期待を超えている状態です。期待どおりのことが生じた時は、「期待以上」とはいいません。また、「実力以上」も本来の実力を超えている状態を指します。実力どおりの結果が出ても、「実力以上」とはいいません。
■前文を受けて使われる「以上」
「以上」は比較以外の場面でも使用されます。文章が続いた後で、前文を受ける意味で「以上」が使われることもあります。
- ~を説明いたしました。以上についてご理解いただけたでしょうか。
- 以上のとおり、相違ありません。
■数字の列挙の後に使われる「以上」
数字を列挙してから「以上」と述べる時は、「合わせて」や「合計」の意味を示します。
- ソプラノ14名、アルト20名、以上34名による歌唱でした。
- 内部進学者103名、外部からの合格者80名、以上183名が高等部に入学します。
■文末に使われる「以上」
手紙や目録、箇条書きの末尾に「以上」を記載する時は、「終わり」の意味があります。文末に「以上」と記載されていることで、それ以外の言葉やリストがないことが明確になります。
また、話し言葉でも末尾に「以上」と付けることが少なくありません。ただし、文章ではなく単語だけで話すと偉そうな印象を与えることもあるため、「校長先生の訓示」や「部長の朝礼の挨拶」など、上の立場の人が下の立場の人に一方的に話す場合に限られることが一般的です。
■活用語の連体形の後に使われる「以上」
活用語の連体形の後に「以上」と付ける時は、「~の上は」や「~からには」の意味を持ち、接続助詞のように使われます。
- 決定した以上、異論は受け付けません。
- ここが正念場である以上、普段以上の団結力を発揮して、克服していくべきだ。
含む・含まないが気になる数量に使う4つの言葉

その基準を含むのか含まないのかが気になる言葉は「以上」だけではありません。数量の後に使う用法について、さらに詳しく解説します。
■以上
数量の後に「以上」が使われる時は、基本的には常にその基準を含みます。その基準に加え、それよりも大きいものをすべてまとめて「以上」で表現します。
- 5以上の整数:5、6、7、8……
- 12歳以上:12歳、13歳、14歳、15歳……
- 1万円以上:1万円、2万円、10万円、100万500円……
- 中学生以上:中学生、高校生、大学生、大学院生……
- 初段以上:初段、二段、三段、四段……※
※制度は団体によって異なります。
■超、を超える
数量の後に「超」や「を超える」が使われる時は、その基準を含まず、それよりも大きいものを指します。
- 5を超える整数:6、7、8、9……
- 12歳を超える年齢:13歳、14歳、15歳、16歳……
- 1万円超:1万1円、2万円、10万円、100万500円……
- 中学生を超える方:高校生、専門学校生、大学生、大学院生……
- 初段を超える方:二段、三段、四段、五段……※
※制度は団体によって異なります。
■以下
数量の後に「以下」が使われる時は、原則として常にその基準を含みます。その基準に加え、それよりも小さいものをまとめて「以下」で表現します。
- 5以下の整数:5、4、3、2、1、0、-1……
- 12歳以下:12歳、11歳、10歳、9歳……
- 1万円以下:1万円、9,000円、700円、50円……
- 中学生以下:中学生、小学生、幼稚園児、保育園児、未就園児……
- 初段以下:初段、十級、九級、八級……※
※制度は団体によって異なります。
■未満
数量の後に「未満」が使われる時は、その基準を含みません。とくに条件がない限り、基準よりも小さいものを指して使われます。
- 5未満の整数:4、3、2、1、0、-1……
- 12歳未満:11歳、10歳、9歳、8歳……
- 1万円未満:9,999円、9,000円、700円、50円……
- 中学生未満:小学生、幼稚園児、保育園児、未就園児……
- 初段未満:十級、九級、八級、七級……※
※制度は団体によって異なります。
含む・含まないが気になる時間に使う3つの言葉

数量ではなく時間に使う言葉も、その基準を含むのか含まないのかがわかりにくい時があります。
プライベートだけでなくビジネスシーンでも、時間を決めて約束する機会は少なくありません。その基準を含むかどうかを間違って理解すると、約束を反故にすることになってしまいます。よくある言葉の使い分けをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
■以降
「以降」とは、基準となる時点を含み、その時点から後のことです。たとえば、「平安時代以降に発展した芸術」なら、その芸術が発展したのは平安時代の可能性もあり、平安時代よりも後の時代の可能性もあるが、平安時代より前ではないという意味です。
また、「4月以降に受賞者を発表する」といえば、受賞者の発表は4月になる可能性もあり、5月以降になる可能性もあるが、3月31日以前になることはないという意味になります。その他にも、次のように使われます。
- 明日以降:明日、明後日、明々後日、10日後、1年後……
- 午後3時以降:午後3時、午後3時半、午後4時、午後5時、午後5時15分……
- 今週の水曜日以降:今週の水曜日、今週の木曜日、来週の日曜日……
- 翌年以降:翌年、2年後、3年後、10年後……
■以後
「以後」も、基準となる時点を含み、その時点より後を指す言葉です。たとえば、「午後8時以後は在宅しています」といえば、午後8時には確実に家にいることを意味します。午後8時より前も家にいる可能性はありますが、定かではないため、自宅への電話や訪問には応対できるとは限らない……といったニュアンスも含んでいます。
基準となる時点を含んでいるのは、「以降」も「以後」も同じです。そのため、ほとんどのケースにおいて「以降」と「以後」は置き換えが可能です。
ただし、どちらかといえば「以降」は「ある時点からの時の経過」に重点を置くことが多い傾向にあります。たとえば、「明治時代以降、日本の近代化が急速に進んだ」のように、明治時代から現代までの流れに注目する時は、「以後」よりも「以降」のほうがしっくりとくるかもしれません。
このように「ある時点からの時の経過」を示す言葉としては、「以来」や「このかた」も挙げられます。いずれも、基準となる時点から現在までずっとといったニュアンスで使うことがあります。
- インターネットが普及して以来、「検索する」ことが日常生活に根付いた。
- 2000年以来、一度も彼女とは会っていない。
- 生まれてこのかた、外国に行ったことがない。
- 10年このかた、彼とは音信不通だ。
また、「以後」は「これから先」や「今から後」といった意味でも使われます。この場合は、時間を意味する言葉の後ろには付けません。
- 以後は班別行動をします。各自責任を持った行動を心がけてください。
- 以後、気を付けます。
■以前
「以前」は、その時点よりも前を指す言葉です。「以」は通常は基準となる数値を含みますが、「以前」は基準を含まず、それよりも前のみを指すことがあるため注意が必要です。
たとえば、「明治以前」という時には、明治を含まず、それよりも前の時代を指すことがあります。しかし、状況によっては「明治以前」が明治を含み、それよりも前の時代を指すこともあるため、常に基準を含まないとは断言できません。前後の文章を精査し、含むのか含まないのか判断するようにしましょう。
また、時間を指す言葉につなげずに「以前」を使う時は、今より前の時点で現在から見て近い過去を指します。たとえば、次のように使います。
- 以前とは打って変わって、彼女は愛想がよくなった。
- 以前、お会いしたことがありますよね。
ある状態に達する前の段階を指して「以前」と表現することもあります。
- 結婚以前の住所をこちらに記入してください。
- 彼女を採用しないのは、能力以前の問題だ。
含む・含まないに注意して言葉を使い分けよう

数量や時間を扱う時は、その基準となる数字・時点を含むのか含まないのかに注目しましょう。ただし、以前のように、状況によって含むのか含まないのかが変わる言葉もあるため注意が必要です。わからない時は先方に尋ね、誤解のないようにしておきましょう。
構成/林 泉







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