
1月21日、商船三井さんふらわあの新造フェリー「さんふらわあ かむい」が就航した。
運航区間は大洗〜苫小牧間で行なわれ、2006 年 12 月より同区間で運航された既存船「さんふらわあ だいせつ」の代替船として運航されるものだ。
本船の魅力やちょっとしたお得な利用方法を紹介したい。
「さんふらわあ かむい」の魅力
「さんふらわあ かむい」は、日本で 3 番目の LNG(液化天然ガス)を主燃料として運航する長距離フェリー。主燃料の変更と航行時の風圧を低減する最新の船型を取り入れる等で、環境負荷の大幅な低減を実現し、従来船比約35%の CO2(二酸化炭素)排出量削減を実現している。
また、先客設備面での従来との大きな違いとしては客室の「完全個室化」が挙げられる。
フェリーを利用するトラックドライバーが快適に休息できる空間を提供することは、モーダルシフトの流れを促進し、「物流の 2024 年問題」の解決に貢献すると考えられるだろう。
商船三井さんふらわあの広報担当者は次のように説明する。
「ご乗船のお客様が直接体感できる点としては、客室の全室個室化です。 従来船からのゆったりしたパブリックスペースに加え、個室というプライベート空間が確保されたことで、移動中のプライベート空間が確保されたこと、ゆったりしたパブリックスペースで移動中を快適にお過ごしいただけます。また、夕方便で好評のウィズペットルームも、深夜便としては新たに設けました(8室)」
船体デザインは刷新され、海と空の美しい「青」をアクセントカラーとし、「夜明けの海」と「新しい時代を照らす光」をイメージしたデザインによって、LNGを主燃料とした環境性能に優れた「新たな未来へ歩みだす船」を表現した。
エントランス
客室(コンフォートSシングル)
客室(コンフォートSツイン)
客室(スーペリアウィズペットインサイト)
プロムナード
展望浴場
非日常な体験ができる船旅
「さんふらわあ かむい」は大洗〜苫小牧間の深夜便で運航される。
大洗〈01:45発〉 → 〈当日19:45着〉もしくは苫小牧〈01:30発〉 → 大洗〈当日19:30着〉となる。
上述した通り、「さんふらわあ かむい」はトラックドライバー・貨物利用の方々への利用を意識しているため、この運航スケジュールは彼らにとって大きなメリットでもある。出港時間が遅いと集荷範囲が広くなると同時に、さらには、到着地(道央圏/関東圏)への3日目朝の配送が可能となるという点だ。
このような背景を聞くと船旅を目的とした一般利用客にとっては無縁に感じるかもしれないがそうではない。
「大洗~苫小牧航路は太平洋を航行するので、天気が良ければ水平線から昇る太陽や、遮るものの無い満天の星空を眺めることができます。広々とした海上を移動することそのものが非日常の魅力的な体験であり、移動中の居住性・快適性、展望浴場に浸かり水平線を眺めながら移動する、といったことは陸路・空路では簡単に体験できないものと思います。 深夜便固有の魅力としては日中時間帯(日の出から日没まで)まるごと洋上でお過ごしいただけることで、海鳥の観察を目的にご乗船する方もいらっしゃいます。速達性については陸路・空路に比べ分が悪いですが、自家用車、オートバイごと移動できる点は、大きなメリットです」(同上)
関東圏から札幌や小樽といった道央エリアの旅行を考えている方は、フェリーという選択肢はひとつ面白いかもしれない。
取材・文/峯亮佑