
この「利上げ」や「追加利上げ」が、私たちの生活にどのような影響があるのかをわかりやすく上手に説明できる人は少ないのかもしれません。
まず、「利上げ」とは、日本の中央銀行(日本銀行)が政策金利を引き上げることを意味します。日本銀行は、紙幣や貨幣を発行したり、金融政策を行ったりしていますが、金融政策のひとつとして「政策金利」を設定していて、利上げをすることでお金を借りにくくして、「借り入れての経済活動をしにくくする」ようにしているわけです。
一般的に、この「利上げ」をすると物価が下がりやすくなると言われています。物価が上がりすぎると暮らしにくくなるため、経済の動向を見ながら通貨量などを調整しています。
実はこれ以外にも、私たちの生活への影響はたくさんあります。
「利上げ」による影響はたくさんある
この「利上げ」による効果はどういったものがあるのでしょうか。先ほど説明した「物価が下がる」以外にも影響があると考えられています。
・銀行預金の金利が上がる
「利上げ」により金利が上がると、お金を銀行に預けておくと利子が多くもらえます。
一方で、借入には不利です。企業でお金を借りているのなら、金利が高くなることで返済額が高くなる可能性があり、個人でも住宅ローンを借りていると金利が高くなり返済が大変に感じてしまうこともありえます。
・株価は下がる
利上げが行われると経済活動が抑制され、物が売れにくくなり、業績が上がりにくくなり、企業の株価が下がるのではないかと考えられています。
・為替は円高になる
利上げが行われると、為替にも影響が出て、円高になりやすくなります。
金利が低い国の通貨より、金利が高い通貨の方が人気です。なぜなら、お金を預けるにしてもより高い利子がついた方が魅力的に映るからです。そのため、金利が低い国より高い国の通貨に「交換する人が増える」のです。
重要なのは私たちの暮らしへの影響
「金利が上がる」ことで、重要なのは、私たちの家計にどういった影響があるのかということです。
マイナス面から見ると、企業が借金をして経済活動をすることで利息を多く払わなくてはいけないため、基本的には景気が悪くなります。つまり「お金を使わずにとっておく」人が増えるわけです。
また、株価は下がるため、株式、投資信託への投資をしている人は利益が出しにくくなります。
そして、「住宅ローン」を組んでいる人は金利が上がれば返済額が増えるため、注意しておかなくてはいけません。固定金利型よりも変動金利型の住宅ローンの金利の方が一般的には低く設定してあることが多いものの、それでも家計を圧迫してしまうこともあります。
プラス面では、物価が下がることが期待できるため、物価が下がれば買い物がしやすくなります。物価高が抑えられれば、節約を無理してしなくても食費や日用品費がかからなくなったと感じる人は増えるはずです。
金利が上がることで儲かる企業やセクターは何があるか考えてみよう
私たちの生活への影響だけでなく、「利上げ」で儲かる企業、セクターがあるのかも考えてみましょう。王道なのは、ズバリ、金融業です。
金融業が儲かる理由としては、調達した資金を高い利回りで貸し出すことで「預金と貸出金との差」が得られる点が挙げられます。いわば、金融セクターにとって利上げは“追い風”です。
実際、すでに業績がよくなって、結果として増配(配当金を増やすこと)を発表している企業もあり、実例を出すと、メガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループは2024年11月に増配を発表し、配当利回りも上がっています。
これは、「通期業績目標の上方修正」をふまえての増配で、売上高や経常利益も順調に上向き。株価も上がっていき2月19日に年初来高値の2,000円をつけて話題にもなりました。
また、同じくメガバンクの三井住友フィナンシャルグループでも増配を発表し、実現すれば4期連続増配の予定。「2025年3月期第2四半期決算において2025年3月期の連結業績予想を引き上げたこと等に伴い」、今回の「増配」を決定したとあり、売上高や経常利益の順調さに伴った増配だといえます。
また、メガバンクだけでなく利上げによって株価上昇が期待できるのは都市銀行や地方銀行(地銀)銘柄も当てはまり、この中には魅力的な株主優待がもらえる銘柄も多いです。
一例を出すと、500株でカタログギフト(3,000円相当)がもらえ、ゆうちょPayポイントも選べるゆうちょ銀行や、紅まどんなが選べるカタログギフトが魅力のいよぎんホールディングス、2025年3月から優待を導入すると発表のあった山形銀行もあり、株価上昇だけでなく株主優待でもらえる個性的なカタログギフト内容にも注目してみましょう。