通信業界がAIの活用を加速、ビジネスシーンにどんな影響をもたらすか？

2025.02.25

NVIDIAの第3回年次調査「通信業界における AI 活用状況」では、顧客体験、従業員の生産性、ネットワーク運用において AI の統合が拡大していることが明らかになった。

先日、調査結果からのインサイトをまとめたブログが公開されたので、内容を要約してお伝えする。

通信業界においてAIを活用した効率化の取り組みが成果を上げ始めている

NVIDIAの第3回年次調査「通信業界におけるAI活用状況」https://www.nvidia.com/ja-jp/lp/industries/telecommunications/state-of-ai-in-telecom-survey-report/の主な結果のひとつとして、RAN (無線アクセスネットワーク) へのAI導入に対する関心の高まりが明らかになった。回答者の3分の1以上が、AI-RAN への投資を行なっている、または計画していると回答したからだ。

本調査は、世界中の450名以上の通信業界の専門家を対象に実施され、AIがもたらす具体的なビジネス成果、AI導入のさらなる進展 (生成AIのユースケースの拡大など)、顧客体験の最適化や従業員の生産性向上といったメリットが示された。

本年度の調査の主な結果は以下のとおり。

・回答者の84%が、AIによって自社の年間収益の増加に貢献していると回答。
・回答者の77%が、AIによって年間の運用コストが削減されたと回答。
・回答者の60%が、AIの最大のメリットとして従業員の生産性向上に貢献と回答。
・回答者の44%が、顧客体験の最適化のために AIに投資していると回答しており、これは通信業界におけるAI投資で最も注力されている分野となっている。
・回答者の40%が、RANを含むネットワークの計画や運用にAIを導入していると回答。
・回答者の49%が、生成AIソリューションを導入していると回答。
・生成AIを活用している回答者の84%が、顧客にソリューションを提供することを計画。

■AIが通信業界のビジネスにもたらす影響

調査結果から、AIが通信業界のビジネスに収益の増加とコスト削減に効果をもたらしていることが明らかになった。回答者の84%がAIによって自社の年間収益が増加したと回答しており、そのうち21%がAIによって特定の事業分野の収益が10%以上増大したと回答している。

また、回答者の77%がAIによって年間の運用コストが削減されたと回答した。

AIの幅広いユースケースと収益への影響が、将来に対する期待につながっている。回答者の80%が、自社の将来の成功にAIが不可欠だと考えており、回答者の3分の2が2025年にAIインフラへの支出を増やすことを計画していた。

通信業界はAI導入をリードしており、従業員の生産性、顧客体験、ネットワーク運用の向上について、明確に重点を置いている。AIインフラやトレーニングへの投資を継続することで、通信企業は最前線を走り続け、AIがもたらす多くのメリットを享受できるだろう。

■AIをネットワークスタックに導入

通信ネットワークにおけるAIの活用が勢いを増している。回答者の37%がネットワークの計画や運用を改善するためにAIに投資していると回答している。

また、回答者の33%が、昨年、現場における業務最適化に、AIを活用する投資を行なったと回答した。

5Gの収益化や 6G の研究開発を目的にAIに投資している回答者の66%が、運用やユーザーのニーズへの対応を目的として、RANにAI サービスを展開するための投資を検討していた。

また、53%がRAN のスペクトル効率向上にAIを活用するための投資を行なっており、50%がAIとRANアプリケーションを同じインフラ上に配置するための投資を行なっている。

■通信業界における生成AIの普及

生成 AI は通信業界で大きな注目を集めている。生成AIを使用していると回答した回答者の半数以上が、すでに最初のユースケースを展開しており、3分の1が2025年中の導入を計画している。

生成AIを導入していると回答した人の84%が、外部の顧客に生成AIソリューションを提供することを計画。また、半数強 (52%) がSaaSソリューションとして生成AIを提供すると回答しており、約3分の1 （35%）がコンピューティングサービスなどの開発者向けのプラットフォームとして生成AIを提供する予定だ。

AI開発では、複数のアプローチを活用する傾向が強まっており、その中でも自社開発やオープンソースの機能の活用が拡大している。

構成／清水眞希

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