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2025年2月20日(日本時間)、アップルは最新端末となる「iPhone 16e」を発表。通例通りいけば、新端末はiPhone SE(第4世代)となるところだが、命名ルールを新たにし、iPhone 16シリーズの一員としてラインアップされることになった。
iPhone 16eは、iPhone 16シリーズの中では最もお手頃な価格で販売される端末であり、価格は9万9800円からで、2月21日午後10時に予約開始、2月28日に発売となる。
本記事では、発表イベントにて紹介された、iPhone 16eの詳細についてまとめていく。
iPhone 16eの基本性能をチェック
搭載チップセットは、iPhone 16、iPhone 16 Plusと共通のA18 Bionic。第2世代の3ナノメートルプロセスで設計されており、iPhone 16の場合は、iPhone 15比で30%も性能が向上している。
また、16コアのNeural Engineを備え、機械学習の速度は最大で2倍。パフォーマンスだけを見ても、iPhone SE(第3世代)以前の機種や、iPhone 11、iPhone 12といったモデルからの機種変更であれば、恩恵は大きいだろう。
注目ポイントとして、iPhoneシリーズで初となるセルラーモデム「Apple C1」を搭載している点。どのようにパフォーマンスが向上するかは、実際に試してみてになるが、高速かつ滑らかなパフォーマンス、バッテリー駆動時間が提供されるとのことだ。
ディスプレイは6.1インチで、本体はアルミニウムボディを採用。ディスプレイサイズとしては、iPhone 16と共通になっており、標準的で扱いやすいサイズ感。iPhone SEシリーズで踏襲されていたホームボタンは廃止となり、Face IDに対応したため、ディスプレイ領域が格段に大きくなっている。
また、ディスプレイにはセラミックシールドの加工が施されており、耐久性にも優れている。もちろん、IP68の防水防塵性能も有する。
本体側面、音量ボタンの上部にはアクションボタンが搭載され、よく使うアプリや機能へのショートカットとして利用できる。アクションボタンから、ビジュアルインテリジェンスの起動も可能だ。一方で、iPhone 16シリーズに搭載されたカメラコントロールは、iPhone 16eには非搭載となっている。
バッテリー性能も向上しており、動画再生は最大26時間に対応。6.1インチディスプレイを搭載したiPhoneの中では、最高のバッテリー性能となっている。iPhone 11と比較すると6時間、iPhone SE比だと12時間分も待機時間が長くなった。
iPhone SEシリーズ最新モデルとしてiPhone 16eを見ると、大きなアップデートポイントに、充電ポートがUSB-Cになった点があげられる。iPhoneとしては、iPhone 15シリーズからUSB-Cに対応しており、MacやiPadシリーズも含め、ほぼすべてのアップル製品が、USB-Cでの充電に対応したことになる。いうまでもなく、ケーブルの規格がUSB-Cに統一されると、充電、伝送速度が向上するだけでなく、複数のケーブルを持ち歩く必要がなくなるといったメリットがある。
アウトカメラはシングルレンズで、48MP Fusion カメラとなる。等倍での撮影に加え、光学相当の2倍ズーム撮影が可能だ。動画撮影は4K60fpsでの撮影に対応。オーディオミックスで、バックグラウンドのノイズを除去し、人の声をブーストするといった編集機能も利用できる。インカメラは、iPhone 16と同様に12MPとなった。
初期搭載OSはiOS 18となっており、衛星通信にも対応している。
ついに日本語対応するApple Intelligenceでできること
iPhone 16シリーズの発表とともに話題となった、アップルの新しいAI機能であるApple Intelligence。現時点ではまだ日本語に対応していないが、2025年4月に対応予定となっており、iPhone 16eでも利用できる。
Apple Intelligenceの機能として、写真アプリの情報から、新しいビジュアルの生成ができるImage Playground、ジェン文字による絵文字の作成などがある。
個人的に期待を寄せているのが、作文ツールとSiriの進化。作文ツールは、メールの返信文の生成や要約といった使い方ができ、Siriはより人間らしく、会話能力が向上。人同士の会話にありがちな、言葉に詰まるシーンや、主語のない会話も、高精度にできるようになる。
また、作文ツールとSiriには、ChatGPTが統合されており、アプリの切り替えなくChatGPTが利用できるようになる。専用のアカウントを作成しなくても利用できる点も、本機能の推しポイントだ。
iPhone 16eは、アップルの新しいAI機能であるApple Intelligenceにも対応している。Apple Intelligenceの日本語対応は2025年4月を予定していることから、ほかのiPhone 16シリーズと共通のタイミングで、利用できるようになる見込みだ。
iPhone 16eはどんな人が乗り換えるべき?
iPhone 16eは、名前こそ新しい命名ルールに乗っ取ったモデルだが、実質iPhone SEシリーズの後継機種といえる。前モデルであるiPhone SE(第3世代)は、2022年3月に発売されており、およそ3年ぶりのアップデートモデルとなる。
もちろん、iPhone SEシリーズからの機種変更は十分おすすめだが、現時点で最新のiOS 18に対応していない、iPhone X以前のモデルを利用している人も、乗り換えのタイミングといえるだろう。もちろん、処理性能の優位性から、iPhone 11、iPhone 12といった機種からの乗り換えもおすすめ。ただし、シングルレンズになる点は事前に押さえておいてほしい。
また、PCやタブレットといった別のデバイスを頻繁に持ち歩く人の場合は、iPhone 16eがUSB-Cに対応したため、ケーブルをまとめられるというメリットがある。特に出張時などに、LightningケーブルとUSB-Cケーブルをそれぞれ忍ばせる必要がなくなるのは、うれしいポイントだ。
一方で、iPhone SEシリーズのホームボタンを気に入っており、手放せないという人や、iPhone 12 mini、iPhone 13 miniのサイズを気に入り、次のコンパクトとしてiPhone SE最新モデルを待っていた人にとっては、残念なアップデートかもしれない。
もちろん、コンパクトデザインや指紋認証の利便性は筆者も承知しているが、Face IDへと移行しても、慣れるまでの辛抱というのが個人的な見解だ。普段使用していて、「今、指紋認証だったら便利なのに!」と思うこともあまりない(ウォレットアプリを使うときくらい)なので、このタイミングで機種変更をしてもいいのかもしれない。
取材・文/佐藤文彦