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愛猫家にとって、“危険な沼”と言われているのが「フェリシモ「猫部™」(以下、「猫部」)。猫好きの心をわしづかみにするユニークな商品が多く、SNSでも頻繁にバズっている(実は筆者も「よく考えたら全然必要がないのに、気がついたら買っていた」という商品が多々ある)。サイトには266件のオリジナル商品が掲載されており、愛猫家がうかつに近づくと財布がガリガリにやせ細るまで買ってしまうという、恐ろしい“沼”なのだ。
フェリシモ「猫部」のオリジナル防災グッズのブランド「NYAN GA ICHI(にゃんがいち)」
もともとは2010年9月に株式会社フェリシモ(以下「フェリシモ」)の社内部活動として、猫好きの社員6人が集まって結成された部活動だった。だが同社が、協力企業を通じて多彩な商品作りができるSPA(製造小売)であることを強みにしており、利用客の声がダイレクトに商品に反映されることから、次々に猫好きの心をつかむユニークな商品が爆誕している。
毛布をめくってみると猫がいた!というあるあるを再現したタオルハンカチ「チラっとめくると猫がいる 毛布で眠る猫ハンカチの会」(月1枚/1,500円 ※税抜き、以下同)
ふわふわの子猫が脚にすり寄ってくるしあわせな瞬間をレッグウォーマーで再現した「子猫がちょこん もふもふレッグウォーマーの会」(月1組/2,980円)
猫が寝転ぶと西洋画の「裸婦画」のようなシーンが完成する「猫がくつろぐ名画が完成 アートな裸婦画風つめとぎ」(1セット9,000円)。画中画も茶トラ猫で芸の細かさが光る
そんな「猫部」が、2021年12月にスタートさせたのが、猫のかわいさを楽しめてかつ実用にも役立つオリジナル防災グッズのブランド「NYAN GA ICHI(にゃんがいち)」。コンセプトは「いつも使える、もしもも役立つ」。
販売価格の一部は飼い主のいない動物の保護と里親探し活動、野良猫の過剰繁殖防止活動、災害時の動物保護活動などに活用されるというのも、愛猫家には嬉しいポイントだ。
すべてのグッズに「NYAN GA ICHI」のキャラクター、しっかり者のハチワ猫“いつもくん”と、おっとりなトラ猫“もしもくん”が描かれている
かゆいところに手の届く防災グッズが多い!
NYAN GA ICHIのサイトに表示されている商品は現在、14品とそれほど多くないが、よく見ると「すごくよく考えられている」と感心するものが多い。例えば、手ぬぐいもそのひとつ。「手ぬぐいはいざという時、いろんな使い方ができる」と知識として知っていても、いざとなると思い浮かばないことがあるが、これは手ぬぐいそのものに、かわいい猫のイラストで12種類の使い方がプリントされている。
「タオルハンカチ」「巻いて防寒、ぬらして防暑」「SOS旗」「汗止め頭巾」「マスク」「縦に裂いてロープ」「タオルをはさんで簡易防災頭巾」「石を入れてハンマー」「三角巾」「ペットケージの目隠し」「簡易バッグ」「(水の)フィルター」など、これ1枚を持参しているだけで、被災を乗り切れるような気がするほど。
12種類の手ぬぐいの使い方をレクチャーする図柄が入った「NYAN GA ICHI もしもに備える 防災手ぬぐいの会」(月1枚/750円)
もしものときにはマスクやロープ、ハンマーにもなっていろいろ役立ち、猫のイラストに癒やしももらえる
あえて天地の縫製処理をしていない昔ながらの仕様なので、非常時は縦に裂いてロープなどに使える
また、防災グッズを収納するケースとしても、ウォーターボトルとしても使えるクリアケースなど、普段の生活の中で使えて被災時にも役立つアイディアが多い。
防災グッズケースにもドリンク用にも使える透明ボトル「NYAN GA ICHI もしもに備えて手軽に持ち歩き 防災ボトルの会」(月1個/1,400円)
中身がつぶれたりすることもなく、水ぬれも安心。もちろん普通のドリンクボトルとして水分補給にも
直径約6.5cm、高さ約19cm。内容量約500mlにこれだけの防災アイテムを収納できる。
だがフェリシモといえば女性好みのオリジナル商品に強いカタログ通信販売の老舗というイメージが強い。そのフェリシモがなぜ、「猫」をキーワードに、防災グッズに乗り出したのか。「猫部」を直撃した。
取材に協力してくれたフェリシモ「猫部」小木のり子さん、横田実希さん
阪神大震災直後に、本社が神戸に移転
現在、フェリシモの本社があるのは兵庫県神戸市だが、もともとは1965年に「株式会社ハイセンス」として大阪で設立した。1995年に本社を移転したのが、直前に阪神・淡路大震災で被災した神戸市だった。それ以来、地元と一体となって神戸の復興を盛り上げてきた歴史があるのだという。
また近年、地震だけでなく台風などの災害による避難も増えているため、「猫部で防災グッズも作って欲しい」という声が高まっていたことも背景にあった。
「災害時の不安な時こそ、猫から元気や癒しをもらって欲しい、猫が防災に取り組むきっかけになればという想いでスタートしました」(フェリシモ)