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25歳以上は危険?多くの人の体内ではしかの抗体がきちんと作られていない理由

2025.02.25

ワクチンを子どもの頃に打っているから、はしかにはもう罹らないはず――。

たしかに今25歳以下の人はその考えで間違いないが、それ以上の人は注意が必要だ。実は、25歳以上の人は抗体が弱まっていて、感染する可能性があるというのだ。

感染力・危険度共に最強クラスの感染症である「はしか」。ワクチンの2回目接種の重要性をクリニックで積極的に発信をしているナビタスクリニック新宿の上昌広医師に話を聞いた。

2000年より前に生まれた人は要チェック

「はしか」とは麻疹ウイルスがもたらす感染症だ。「麻しん」や「麻疹」、「はしか」と表現される。

「はしかは、ワクチンを打っていない場合、38℃前後の高熱や咳、鼻水などが出ます。肺炎や脳炎など重篤な合併症を起こしやすく、亡くなる人や後遺症が残る人もいる。空気感染や飛沫感染をし、感染力も最強クラス。怖い感染症の代表と言っていいほどです」

国立感染症研究所によれば、はしかの免疫を持たない集団の場合、1人の感染者が12人~14人感染させるそう。インフルエンザは1~2人と、感染力の違いは明らかだ。

「このような危険なウイルスであるため、ワクチンの定期接種が行われています。ワクチンを1回でも打つことで、感染や発症はしにくくなりますし、重症化も防ぎます。しかし、現在多くの国で2回接種が推奨され、1回の接種では不十分だと言われています」

定期接種の制度が整えられたのは、1978年だ。それから1999年までは1回の接種が行われ、2000年生まれ以降の人は、2回打っている。

「基本的に、抗体価というものは年を重ねるごとに下がってくるものです。麻しんワクチンに関しても、1回しか打てていない人は、10年で下がってくるとされています。しかし、2回打っている人は10年くらいでは下がってこないというデータもあり、やはり2回接種が理想的です。つまり、現在の25歳以上の人は抗体を持っていても力が弱っている状態と言っていいでしょう」

弱まっているとはいえ、抗体を持っていて重症化は防げる可能性が高いのであれば、そこまで警戒する必要はない気もする。しかし、その考えは間違いだ。

「抗体があるとはいえ、インフルエンザよりもきつい症状が出るケースもあると思っていてください。そして、なにより自分のことだけではなく周りの人の命を奪わないために、2回目の接種は検討してほしい」

78年より前に生まれた人は特に注意が必要!?

特に注意すべき対象が、はしかに罹ったことのない78年生まれより前の人、高齢者、妊婦、そして0歳児だ。このような人が周りにいる人や、今後そういう状況が想定される人は急ぎ検討すべきだ。

「定期接種が行われるようになった78年より前に生まれている人で、はしかに感染したことがない人は、抗体の無い状態で罹ることになるのでかなり危険。すぐにワクチンを打ってほしい。もし、はしかに罹ったことがあるならば、しっかりと抗体がついているため、心配する必要はありません」

高齢者は風邪やインフルエンザでも肺炎など合併症を起こし、中には死んでしまう人もいる。高齢になればなるほど抗体価は下がってきていると考え、周りの人も気を付けるべきだ。

これから生まれる子どもに移さないためには

「問題になるのが、0歳児です。特に生後半年~1歳までが危険です。ワクチンを打つのは1歳です。産まれたすぐは、母親がはしかの抗体をしっかり持っていれば、免疫を貰うことができます。しかし、その免疫も半年くらいで抗体価が下がってきてしまう。もし生後半年~1歳までの間に感染してしまうなんてことになれば、命の危険に繋がる可能性が高く、なんとか命は助かっても脳の病気などを起こし、後遺症が残るケースもある」

“母親にはしかの抗体がしっかりついている=2回接種を終えている”という意味だ。1回だけでは心もとない。では、妊娠が発覚したらワクチンを打てばいいかというと、それはできない。

「はしかのワクチンは“生ワクチン”と言われるもので、ウイルスを弱毒化させたもの。このようなタイプのワクチンは、妊娠中に打つことができません。妊娠中にはしかに感染するのもハイリスクです。だからこそ、妊娠する前に打つことが推奨されます」

日本ではしかは流行しているウイルスではなく、2015年にはWPROにより麻疹撲滅国と認定された。しかし、油断は禁物だ。

「今の世の中、海外との交流は避けられない。日本の中で流行の兆しがなくとも、海外から持ち込まれる可能性も十分にある。麻疹撲滅国は先進国に限られており、まだまだはしかが流行している国はたくさんあります。自費にはなってしまいますが、1回しか打てていない人は2回目を打って対策をすることをおすすめします」

クリニックによるが、自費でだいたい10000円前後だという。罹らない、そしてうつさないために、2回目の接種を検討してみてほしい。

上昌広医師プロフィール

医療ガバナンス研究所理事長。医学博士。東京大学医学部卒業。虎の門病院や国立がんセンター中央病院などを経て、現在はナビタスクリニック新宿などに勤務。専門は、医療ガバナンス論、血液・腫瘍内科学、真菌感染症学、メディカルネットワーク論。

文/田村菜津季

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