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毎年3月4日は「世界肥満デー」。世界肥満連合(WOF)が定めた日であり、肥満についてのリスクと予防策を検討するのに良い機会だ。近年は肥満治療や対策も進んでおり、昨年4月には、ドラッグストアで買える日本初の内臓脂肪減少薬が登場した。肥満対策に新たな光が差したが、果たしてその効果実感は?
今回は、その内臓脂肪減少薬を服用した40代の太め男性のリアルな体験談を紹介する。
ドラッグストアで買える内臓脂肪減少薬
内臓脂肪減少薬として店頭に並んでいるのは大正製薬の「アライ」と呼ばれる医薬品だ。「腹部が太めな方向け」と謳われている。この薬には「オルリスタット」という成分が配合されている。
オルリスタットは厚生労働省に2023年2月に製造承認を受けた成分で、内臓脂肪と腹囲の減少(生活改善の取り組みを行っている場合に限る)を効能とする。
食事中に含まれる脂肪は、すい臓から分泌される脂肪分解酵素リパーゼによって分解され、消化管(腸管)から吸収されるが、オルリスタットはリパーゼと結合して不活性化させ、脂肪が分解されるのを防いでくれる。さらに分解されなかった脂肪は吸収されず、そのまま便として排泄されることになる。体内への吸収を低下させることによって内臓脂肪を減少させる仕組みだ。
オルリスタット配合の医薬品は「要指導医薬品」であり、薬局・薬店で薬剤師の対面による指導を受けて購入することができる。アライの購入条件は、18歳以上の成人で、腹囲条件(男性85cm、女性90cm以上)に当てはまり、3ヶ月以上前から生活習慣改善の取り組み(食事の改善・運動)を行い、定期的に健康診断を受けていること。購入の際には、直近1ヶ月間の生活習慣記録を提示する必要がある。
服用した人の体験談では、「便と一緒に油が出てくる」との声や、無自覚で油が漏れる現象も起きており、一時期、話題になった。
そんなアライ、実際に服用するとどんな変化があるのか。ここからは40代男性の体験談を紹介する。
購入時に「1ヶ月分の食生活」を提出
――アライを服用することを決めた理由やきっかけを教えてください。
日頃から周囲の女性社員に、「若手時代よりだいぶ大きくなったよね」などと言われていたので、常々気にしていたのですが、確かに毎日仕事終わりの外食でビールを大ジョッキ2杯は欠かさない生活。昔は週末に運動すれば気にならなかったお腹の肉が、計ってみたら90センチ以上あって衝撃を受けました。ちょうどその頃「アライ」のことをCMや、ニュース番組で見て、「自分の腹周り、該当しているな…」と思って、薬局で相談してみました。
――アライの購入はスムーズに行きましたか?
過去1ヶ月分の食生活をメモしていないといけないと聞いて「えー、ちょっと面倒くさい…」と思ったけれども、毎週1回以上の記録でOKということで、それなら!と。週末の外食の記録などは予定をたどれば思い出せたので、その場で手帳を見ながら食事内容を思い出せる日を複数記述したら問題ありませんでした。けっこう覚えているものですね。
こうやって振り返るだけでも、自分が結構食べすぎ、飲みすぎなのを実感しつつ、気づくと薬剤師さんからいろいろ食生活や生活習慣のアドバイスをもらう機会になり、よかったですね。