
JR東日本によると、Suicaは今後10年以内に「Suicaの当たり前を超える」として、Suicaのデジタルプラットフォーム化を目指すという。この記事では、Suicaが2034年までの実現を目指す具体的な機能をまとめて解説する。
目次
Suicaは10年後までにデジタルプラットフォーム化を目指している。具体的には、コード決済機能の追加や鉄道チケットの提供、タッチレス改札機能など、聞くだけでもワクワクするような内容だ。
今回は、2024年12月10日にJR東日本が公開した資料をもとに、10年以内を目標に描かれる新たなSuica構想を紹介する。興味のある人はぜひチェックしてほしい。
Suicaが10 年以内に実現を目指すと掲げること
Suicaが2034年までに実現を目指すと掲げていることは、大きく3つに分けられる。まずは、大まかにどのようなSuicaを目指しているのかを解説しよう。
■Suicaのデジタルプラットフォーム化
デジタルプラットフォームとは、インターネットやデジタル技術を利用したサービス、またはシステムの総称。10年以内にSuicaをデジタルプラットフォーム化し、生活の中で幅広く使用できるデバイスを目指すそうだ。
現在、Suicaは主に乗車券および電子マネーとして使用されている。今後はさらなる機能とサービスの追加により、より日常生活に溶け込むデバイスへの生まれ変わりが期待できるだろう。
■決済機能の強化
Suicaのデジタルプラットフォーム化を推進する取り組みの一つが、Suica決済機能の強化だ。具体的な内容は後述するが、例えばコード決済機能の追加や、新しいアプリを使用した鉄道チケットの提供、あと払い機能などが挙げられる。
■各地域・生活に根差したSuica
Suicaは、自治体や地域社会に役立つコンテンツおよびサービスの追加を目指す。また、地域連携やSuicaエリアの拡大も、近い将来実現が期待できるようだ。
マイナンバーカードとの連携による行政申請サービス、給付金などの受け取り、Suica未導入エリアにおいてSuicaの提示で利用できるサービスなど、まさに地域・生活に根差した進化を目指している。
10年後のSuicaはどうなっているか予想
ここでは、10年後のSuicaはどうなっているのかを具体的に予想する。JR東日本が2024年12月10日に公表したJR東日本ニュースの内容をもとに、主な機能・サービス追加の内容をピックアップしてみよう。
■地域連携の拡大
Suicaは直近ですでに地域連携の拡大を実現している。2024年12月14日、長野県高井郡野沢温泉村の路線バスでSuicaによる乗車ができるようになった。2025年春以降は、長野地域へのさらなる連携拡大を掲げる。
■Suicaエリアが一つに
2027年春頃には、仙台・青森・盛岡・秋田エリアと、新潟エリア、首都圏エリアのSuicaエリアを、東日本エリアとして一つにまとめる構想も公開されている。
Suicaは利用可能エリア内で乗車を完結させる必要があるため、エリアがまとめられればエリア外への乗り越しを気にする必要もなくなるだろう。例えば、常磐線をSuicaで上野から仙台まで通しで利用できるようになる。
将来的には、位置情報などを活用した新しい改札技術の導入により、JR東日本全線でSuicaを利用できるようにしたいとのこと。
■海外利用者向けサービスの開始
2025年3月、訪日外国人向けに新たなiOSアプリをリリース予定となっている。各国の規制の範囲内にはなるが、日本入国前でもアプリのダウンロードやチャージができるそうだ。
海外利用者向けアプリでは路線の情報収集もできるようになり、将来的に在来線特急の対応や、JR東日本全線への対応を目指す。
■Suica上限額を超えたコード決済機能
2026年秋頃には、モバイルSuicaアプリの大幅リニューアルを予定している。それに伴い、時期は未定だがSuicaの上限額2万円を超えたコード決済機能や、電子マネーの送る・受け取る機能、買い物に使えるクーポン機能などを順次追加予定とのこと。
Suicaは現在も電子マネーの機能があるが、より身近なキャッシュレス決済サービスへの進化が期待できそうだ。
■マイナンバーカードとの連携
昨今、保険証や運転免許証との一体化で何かと話題のマイナンバーカード。将来的にはSuicaとの連携も可能とし、行政手続きの申請や、商品券・給付金の受け取り、ライドシェア、オンライン診療など、生活に根差したサービス提供を目指すという。
■Suicaアプリ(仮)にて鉄道チケット提供
2028年度にリリース予定のSuicaアプリ(仮称)を使用し、鉄道チケットの提供を開始する。具体的には、運賃割引付きの(割引上限有り)サブスクリプションの開始や、イベントなどでの買い物でもらえる鉄道クーポンの発行などを予定しているそうだ。
これまで改札機の中で処理されていたデータを、専用のシステム(センターサーバー)で管理することにより、今までの交通系ICカードにはないサービスも実現可能となる。
■今後10年以内の導入を目指すその他の機能
その他にも、ウォークスルーを利用したタッチレス改札や、あと払い機能、位置情報機能による改札の通過など、Suicaのセンターサーバー化によるさまざまな機能・サービスを拡充予定だ。
Suicaは他社交通事業者との協調・共生を掲げ、交通系ICカードシステムを通じた社会貢献を宣言する。海外マーケットへの進出も視野に入れるなど、今後注目を続けたいサービスの一つといえるだろう。
今後10年以内に導入予定の機能は以下の通りだ。
タッチレス改札
現在は改札機を通過するのにICカードの「タッチ」が必要だが、将来的にウォークスルー改札を導入することでICカードのタッチが不要となる。
あと払い機能
クレジットカードや銀行口座との紐づけにより、チャージ不要で支払いが可能に。
位置情報機能
改札機のない駅での改札利用や、JR東日本全線でのSuica利用を可能とし、対応エリアの拡大を目指す。
Suicaに関するQ&A
最後にSuicaに関するQ&Aをまとめた。気になる項目があれば参考にしてほしい。
■直近で導入予定のSuicaの新機能は?
2025年3月1日、地域連携が長野県域へと拡大する。また、2025年春頃には、海外利用者向けのiOSアプリ「Welcome Suica Mobile」をリリース予定だ。
■20年前のSuicaは使える?
最後の利用日から10年間、一度も利用されていない場合は新しいSuicaカードへの交換、または払い戻しの手続きが必要となる。20年前のSuicaで長期間利用せずに放置されたカードを持っている人は、一度Suicaエリア駅内の改札係員へ確認しよう。
■Suicaは2024年に再販された?
半導体不足によって一時販売を中止していた記名式のSuicaとPASMOは、2024年9月1日に販売が再開されている。
■Suicaのセンターサーバー化とは?
これまで、SuicaのデータはICカードと改札機など機器の間で処理が行われていた。このようなローカル処理では、使える機能やサービスに限りがある。センターサーバー化したSuicaは、Suicaの読み込みや書き込み自体は改札機で行い、運賃計算はサーバーで行う。
センターサーバーはネットワーク通信を利用してデータをやり取りするため、この仕組みを利用すれば、ここまで紹介してきたようなサービスや機能の拡充が可能となるのだ。
■Suicaはいつから始まった?
Suicaは2001年11月18日より、東京近郊区間の424駅でサービスの提供が始まった。当初は磁気式のプリペイドカードであったが、現在はICカードへ移行している。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部