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一瞬でメイクができる技術で世界進出!CESで話題になったコーセーの「Mixed Reality Makeup」とは?

2025.02.19

コーセーと東京エレクトロンデバイスがタッグを組み、米国で開催された世界最大級のデジタル技術見本市「CES 2025」に出展した。

展示されたのは、瞬時にメイクを試せる『Mixed Reality Makeup』という技術。革新性が高く評価され「CES Innovation Awards 2025 Honoree」を受賞した。

プロジェクションマッピングでメイクが試せるという『Mixed Reality Makeup』

出展の狙いと世界の反響について、コーセーの小林一俊代表取締役社長と、東京エレクトロンデバイスの徳重敦之代表取締役社長に取材した。

コーセー 小林代表取締役社長、東京エレクトロンデバイス 徳重代表取締役社長

化粧品メーカーが、世界最大のデジタル技術見本市に挑む理由

Mixed Reality(MR)とは複合現実、つまり現実とデジタルの融合を指す言葉だ。『Mixed Reality Makeup』は、その名の通り、現実の人の顔にプロジェクションマッピングで、メイクをシミュレーションできる技術。コーセーと、東京科学大学 工学院情報通信系 渡辺義浩研究室が共同開発した。AIを用いて、目、鼻、口の位置を学習し、東京エレクトロンデバイスの世界最速レベルの高速プロジェクター『DynaFlash』で、動いても正確に投影できる。すでに2022年8月から、コーセーのコンセプトストア「Maison KOSÉ 銀座」で体験が可能。2年前の「CES 2023」にも出展されている。

「前回の出展は、本サービスが世界のお客さまからどう評価されるかを確かめたいという側面がありました。その結果、多くの体験者から驚きや感動の声をいただけた。今回はその手ごたえを踏まえ、楽しさに加えて、メイクの試着から実際の化粧品選びにつながるようなカウンセリングブースを追加し、商業性の確認や拡販のきっかけとすることに重きを置きました」(小林社長)

化粧品メーカーがなぜ、デジタル技術の見本市である「CES」に?という疑問に、小林社長は、「コーセーではグローバル(Global)、ジェンダー(Gender)、ジェネレーション(Generation)の3Gをキーワードに、新たなお客さまづくりを進めています。これまでのビューティー領域に加えて、ウェルビーイング領域や体験価値にも事業を拡張すべく、挑戦を続けています」と語る。

「CESは世界中から技術やプロダクトが集まるため、国内外から注目されている世界最大級のイベントです。近年ではビューティーテックにも注目が集まっています。今後、グローバルビジネスとして展開したい『Mixed Reality Makeup』を認知いただき、本サービスの革新的なメイク体験を、世界中のみなさまに届けたいという想いがありました」

同社ではあわせて「社内のリソースのみにこだわらずに共創することで、多様化するお客さまに対する新たな価値提供に繋がる」との考えから、オープンイノベーションや共創にも積極的に取り組んでいる。共同出展に至った背景には、こうした考え方もありそうだ。

「顔の細かな動きに、プロジェクションマッピングでメイクを追従させるためには、東京エレクトロンデバイスの高速プロジェクターが欠かせません。今後サービスを拡販していくにはその安定供給が欠かせないため、重要なビジネスパートナーです」

4日間で1400名が来場!業界の垣根を越えた多くの反響を得る

東京エレクトロンデバイスにとっても、今回のメイクシミュレーションは「高速プロジェクター『DynaFlash』 の性能を実感していただく上で、どなたにも伝わりやすい、優れた表現手段」だと、説明するのは徳重社長。

「世界中から先進的な技術が集まるCESは、 『Mixed Reality Makeup』を披露する場として最適な舞台であると考え、共同出展を決めた」と言う。

CES 2025の『Mixed Reality Makeup』の展示ブース

両者の『Mixed Reality Makeup』の展示ブースには、4日間で少なくても1400名が来場。多くの体験者からメイク試着の簡単さ、楽しさ、パターンの比較のしやすさなどを評価された。

「顔を動かしても追従するメイクの自然さに、驚かれている方もいたと聞いています。美容以外の業界関係者も含めて、アンケート回答者の半数以上がビジネスでの応用性を感じると答えていて、ビューティーはもちろん、エンターテインメントなど業界の垣根を越えた展開が期待できる結果となりました」(小林社長)

「今回の出展で得た多くの声を今後の発展に活かしていきたいという狙いは当初からありましたが、早くもその価値が認められ、具体的なビジネスへの活路を見いだせたことは大きな成果です。ブースは常に賑わっている様子が伺えましたし、会期中は美容・化粧品業界のみならず、エンターテインメント業界など有力企業と新たなつながりを築くことができました」(徳重社長)

業界を越えて世界中の様々な人々が『Mixed Reality Makeup』を体験した

事業展開への大きな課題はメイクアップならではの「色彩表現」

CESでは両者ともに、大きな手ごたえを得たようだ。一方で事業化に向けては、まだ課題もあるという。

「『Mixed Reality Makeup』では、実際の化粧品と同じ色再現を求められます。顧客満足度向上のためには、継続的な色彩表現の追求が必須です」と、徳重社長。

すでに『DynaFlash』の明るさを従来比2倍、色彩表現を約25%向上させる新機種の開発にも取り組んでいるという。

当面はコーセーとともに「『Mixed Reality Makeup』の市場開拓・事業展開に向けての技術支援に注力していく」という徳重社長。さらにその先には「ビューティーやエンターテインメントなど超高速画像処理技術の応用範囲を広げ、幅広い業界への展開を目指していく」としている。

「1000fps(1秒間に1000フレーム)の映像を投影できる高速プロジェクターの応用技術は、ファッションショーや舞台演出、テーマパークなどのショービジネス、スポーツ、アミューズメントでも活用できると考えています」(徳重社長)

小林社長は2026年内を目途に、『Mixed Reality Makeup』をコーセーの直営店以外にも拡販していく考えだ。「日本と海外それぞれで、店舗やイベントに2~3件導入することを目指す」という。

「ゆくゆくはお店でのメイク選びの新たなスタンダードにしていきたい。そうなれば、化粧品業界やユーザーにとって、大きな変革となります。だれでも簡単に短時間で多くのメイクパターンを試すことができれば、これまで試すことすらなかったメイクの購入に繋がり、新しい自己表現の発見にもなります。メイクの可能性もより拡がっていくでしょう」(小林社長)

デジタル技術で、誰もが気軽にメイクを試せるようになる

いろいろ試してみたいと思っても、これまではたくさんの化粧品を続けて試すのは難しかった。『Mixed Reality Makeup』では、実際に使ったらどんな印象になるのか、誰もが簡単に自分の顔で試すことができる。世界の反響を得て、事業化への道筋も見えてきた今、そんな新しい化粧品の選び方、買い方が当たり前になる日は、案外早くやってきそうだ。

文/太田百合子

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