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尿を用いた遺伝子検査で「進行性前立腺がん」を高精度で検出できる可能性

2025.02.23

尿検査で前立腺がんのリスクを早期発見!新検査「MPS2」は、自宅でのサンプル採取で高精度な診断を可能に。PSA検査を超える精度で進行がんを検出し、不要な生検を大幅に削減。患者と医師に安心をもたらす、前立腺がん診断の新たな選択肢。

尿を用いた遺伝子検査で進行性前立腺がんを高精度で検出

前立腺がんの診断を受けた場合には、どうすればよいのだろうか。がん自体が命に関わるものではない場合でも、治療の結果として失禁や勃起不全に悩まされることは少なくない。患者によっては、不安を抱えはするが、がんとともに生きながら経過観察を続ける方が良い場合もある。

こうした中、尿サンプルを用いた遺伝子解析に基づく新しい検査が、早期死亡につながる可能性の高い進行性の前立腺がんの特定に役立つ可能性が示された。研究グループは、この検査が、前立腺がんを治療すべきか、経過観察すべきかを判断する際に役立つ可能性があるとしている。米ミシガン大学泌尿器科学分野のGanesh Palapattu氏らによるこの研究結果は、「The Journal of Urology」に1月21日掲載された。

MyProstateScore 2.0(MPS2)と呼ばれるこの検査は、尿サンプルから抽出したRNAを用いて解析を行い、進行性前立腺がんに関連する18種類の遺伝子(高悪性度がん特異的遺伝子4種類、がん特異的遺伝子13種類、リファレンス遺伝子1種類)の発現レベルを評価する。MPS2のグレードグループ(GG)≧2(前立腺がんの悪性度の評価で用いられる指標であるグリソンスコアで7点以上に相当)の前立腺がんに対する検出精度は過去の研究ですでに検証済みであるが、その際には、直腸内触診(DRE)後に採取された尿サンプルが用いられていた。DREでは前立腺が押しつぶされるため、腫瘍からのDNAの破片が患者の尿サンプルに混入する可能性が高くなるという。

今回の研究では、検査の利便性を高めるために、DREを受けていない対象者から提供された起床後最初の尿(初尿)サンプルを用いてMPS2の性能を検証し、また臨床的影響を前立腺特異抗原(PSA)検査および前立腺がん予防試験リスク計算ツール(Prostate Cancer Prevention Trial risk calculator;PCPTrc)と比較した。対象者は、PSAの中央値が6.6ng/mLの男性226人で、うち103人(39%)は生検でGG≧2の前立腺がんが確認されていた。

その結果、GG≧2の前立腺がんの検出精度(AUC〔曲線下面積〕)は、PSA検査で57%、PCPTrcで62%であった。一方、MPS2では、バイオマーカーのみを使用するモデルで71%、バイオマーカーと臨床要因を含むモデルで74%、バイオマーカー、臨床要因に前立腺体積を含めたモデルで77%であることが示された。「GG≧2の前立腺がんの90%超の検出」という基準で比較した場合、MPS2検査では36~42%の生検を回避できるのに対し、PCPTrcではわずか13%の回避にとどまると見積もられた。さらに、過去に生検で陰性だった患者においては、MPS2検査を使用すれば44~53%の再生検を回避できるのに対し、PCPTrcではわずか2.6%の回避にとどまると推定された。

Palapattu氏は、「この検査の最大の利点は、進行性前立腺がんの発症リスクを正確に予測できるため、患者と医師の双方に安心感をもたらす点だ」と話す。現在の前立腺がん検査のゴールドスタンダードはPSA検査である。しかし、MPS2検査の製造元であるLynx Dx社によると、PSA値が上昇した男性のうち、実際に早急な治療が必要なのは25%未満に過ぎないという。

本研究で、DREを受けなくてもMPS2検査により進行性の前立腺がんを正確に予測できることが示されたことから、Lynx Dx社は、MPS2検査で使う尿サンプルを自宅で採取し送付する仕組みを整える予定だとしている。同社の最高医療責任者であるSpencer Heaton氏は、「自宅で尿サンプルを採取できるようにすることは、前立腺がんのリスク評価と患者中心のケアに対する当社の取り組みにおいて大きな進歩だ」と述べている。

研究グループは、MPS2検査により低リスク前立腺がんを検出できるかどうかを調べる予定であるとしている。(HealthDay News 2025年2月4日)

Copyright (C) 2025 HealthDay. All rights reserved.

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.auajournals.org/doi/10.1097/JU.0000000000004421

Press Release
https://www.michiganmedicine.org/health-lab/urine-based-test-detects-aggressive-prostate-cancer

構成/DIME編集部

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