特急VS中央線快速・青梅線グリーン車 どっちを選ぶ?
ここまでグリーン車について解説してきたが、中央線には他にも追加料金が必要な列車として特急「あずさ」・「かいじ」・「富士回遊」が運行中。甲府や松本など遠方に行く際は特急利用一択となるが、立川や八王子といった比較的近距離での利用ではどちらがお得だろうか。試しに当日すぐに乗車するケースで見てみたい。なお、特急列車にもグリーン車はあるが今回は除外して考える。以下文中での「グリーン車」は中央線快速・青梅線グリーン車を指している。
中央線特急で運行されるE353系。「あずさ」や「かいじ」として走る
新宿~八王子間の場合、グリーン車では750円で、特急利用の場合は760円となる。さらにオンラインで予約できる「えきねっと」で利用できるチケットレス特急券なら660円となんと特急の方が割安になる。(グリーン券はSuicaグリーン券料金)
特急といえば速達性も重要だが、同区間の所要時間は列車によって多少の差はあるもののグリーン車なら速達性の高い「中央特快」で約37分、特急なら約30分。実は特急のほうが安くて早いという結果になる。さらに中央線の特急列車は全席指定のため、着席保証がされているのに対し、グリーン車は混雑状況こそ事前把握できるが座席指定はできない。そして、今度のダイヤ改正で16時30分以降に都心を発つ特急列車が、新宿発から東京発に変更されるため、各新幹線からの乗り継ぐ際もこれまで新宿からが主だった特急利用が便利になる点も見逃せない。
E353系普通車車内。特急列車らしい快適な車内
そうなるとグリーン車の優位性に疑問が残るが、もちろんグリーン車の魅力も負けていない。まず、決定的に違うのは運転本数だ。特急列車は基本30分ヘッドなのに対し、グリーン車であれば、時刻表を見ずとも駅に向かえば列車がやってくる感覚で利用できる。また、停車駅も多いので普段使いの駅から好きな駅までフレキシブルにいつでも使うことも可能。実際、筆者も昼食を移動中に摂りたい際などに重宝している。洗面台には鏡も用意されているので、簡単な身支度も「いつもの電車」で整えられるのもメリットだ。座席こそ指定はできないが、JR東日本アプリで混雑状況はあらかじめ把握できる上、定員が多い2階建て構造で、しかも2両連結されているため、定員は合計で180名とかなりの席数が用意されている。
天気がよければ富士山もばっちり。2階席から楽しみたい
料金面では最安値となるSuica・交通系ICで750円からとなるが、鉄道や駅ナカ商業施設などでポイントが貯まる、「JRE POINT」を貯めておけば距離に関係なく600ポイントからSuicaグリーン券へ交換できる。「JRE POINT」は首都圏でJRを多用するのであれば、ぜひ入会をお勧めしたいポイントサービスで、さらにポイントを貯めるのであればクレジットカード「ビューカード」を作るのもよい。
「JRE POINT」には利用したポイント数やサービスによってステージが設定されており、最上位となる「プレミアム」になると、Suicaグリーン券の引換必要ポイント数が400ポイントまで優遇される。商業施設では1P=1円換算なので、400円でグリーン車が利用できると考えると、メリットもさらに大きく感じる。そしてなにより、2階建て車両という、乗り物としての魅力も特急列車にはない長所だと個人的には思っている。
利用シーンに合わせて新たな選択肢が登場する中央線快速・青梅線。無料試乗をご希望の際はお早めに!
取材・文/村上悠太