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パナソニック ホールディングス(以下パナソニックHD)は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のパナソニックグループパビリオン「ノモの国」の建築・展示内装工事の完了に伴い、2025年2月14日に竣工式を開催した。
また、大阪・関西万博に来場できない人にも「ノモの国」の世界観を理解してもらうための「オリジナルアニメ」の「ティザー映像」も同日公開した。
◎映像はこちらからチェック https://channel.panasonic.com/jp/contents/42635/
工事には使用済みの家電から回収したリサイクル鉄・銅・ガラスなどを活用
「ノモの国」は、2023年7月に着工し、使用済みの家電から回収したリサイクル鉄・銅・ガラス(※2)などを活用して工事が進められてきた。
※2 リサイクル鉄は主な柱・梁(接合部のプレート等を除く)の約98%にあたる97.1トン、リサイクル銅は主要幹線ケーブルの銅として約1.2トン、リサイクルガラスはドラム式洗濯乾燥機約9200台分を外構部の舗装ブロックに活用。
2024年8月にファサード膜の施工を除く建屋の工事が完了。
その後、内装・展示工事を進め、2025年1月末までにファサードフレーム730個にファサード膜が施工(フレームは全部で1404個)されてパビリオンの外観が完成した。
屋外には、障がいのある作家が描くアート作品で街を彩るプロジェクトを数多く手がける株式会社ヘラルボニーとのコラボレーション作品として、作家の輪島楓さんのデザインによる「ガラス型ペロブスカイト太陽電池」のプロトタイプを展示している。
また内装・展示や各種コンテンツのインストールも2025年2月上旬に終え、すべての工事が完了した。
■館内は「Unlock体験エリア」と未来社会のアイデアを具現化した「大地」で構成
パビリオン「ノモの国」は、パナソニックグループが長年培ってきた「ひとの理解」研究に基づく技術などを活用し、子どもたちの感性を刺激することで想像する力を解き放つ体験型パビリオンだ。
ワクワクする体験を通じて子どもたちが常識や思い込みから解き放たれ、自身に秘められた力を解き放つ約30分間の非日常体験ができる「Unlock体験エリア(922平方m)」と、未来社会のアイデアを具現化した展示エリア「大地(165平方m)」で構成されている。
「ノモの国」の「Unlock体験エリア」では、立体音響システムや360度映像システム、振動や風によるハプティクスなど光・映像・音・空気に関する技術を用いた体験や巨大な映像を映し出す幅7m×高さ3.5mの「滝=ミストウォール(※3)」を潜り抜ける体験を提供するほか、直径1.3mもの映像が天井から目の前に降り注ぐ「ボルテックスリング(※4)」による幻想的なミスト演出なども行ない、子どもたちの五感を刺激するイマーシブな空間を実現している。
また、無線タグ(RFID)やカメラによって一人ひとりの行動データを独自開発した感性モデルで分析するほか、表情データを基に感情を分析することで、子どもたち一人ひとりの秘めた力や可能性をストーリーとして、「蝶(※5)」のモチーフと一緒に描きだす。
※3 拡散を抑制して遠方まで気流を届ける技術で作られた粒径6 μmの極微細ミストの映像スクリーン。
※4 渦輪気流にミストを閉じ込めて遠方まで飛ばす技術で作られたミストの輪。5台のボルテックスをつくり出す装置を設置。
※5 「ノモの国」のために独自開発された感性モデルにより「性格的な強み4パターン」と「強みを発揮する環境8パターン」に分類し、表情分析を組み合わせることによって一人ひとりの蝶を描きだしていく。
また、歌手の大原櫻子さんがテーマソング「夢は翼」を歌う「オリジナルアニメ」の公開(2025年3月20日オンラインにて公開予定)や、閉幕後も子どもたちとつながり続けるための「(仮称)オンライン次世代共創プラットフォーム」の公開(2025年4月13日予定)も順次行なわれる。
Unlock体験エリア:各ZONEの体験概要
■ZONE1:カガミイケの奥深く
<ノモの国に迷い込む>
~「ノモの国」に迷い込んだ子どもたちは立体音響・映像・振動によってクロスモーダル(感覚複合的)に感覚が研ぎ澄まされ、「風、水、光、生命」など普段は意識せず、当たり前に感じている世界を全身でとらえるようになり、Unlock体験が始まっていく~
部屋の設置場所に合わせて最適な音質に調整する「Space Tune」を応用した技術や、Technicsの高音質スピーカーで構成された23.4チャンネルの立体音響サウンドシステム、高輝度プロジェクターなどを活用。振動や映像で五感を刺激することで体験者が普段意識しない感覚を呼び覚ます。
■ZONE2:ノモの森
<未知の世界を探索>
~「ノモの森」に足を踏み入れた子どもたちは「結晶」を見つける。そこには生命やエネルギーが巡る美しい森が広がっており、自分の感性(ココロ)の赴くままに未知の世界を探索する。結晶をかざすと森はまるで生命のように光や音や風を発し、子供たちの感性に反応する~
ZONE2では、一人ひとりが無線タグ(RFID)を埋め込んだ「結晶デバイス」を持ち、自由に展示空間を探索する。「結晶デバイス」を岩や木を表現した展示物にかざすとそれぞれが呼応し、音や光を発する。6台のカメラが設置されており、無線タグとカメラの情報から、体験者の行動を分析していく。
■ZONE3:古木の谷
<結晶から蝶を解き放つ>
~古木をのぞき込むと、一人ひとりの感性とその可能性が描き出され、やがて蝶が結晶から解き放たれ、「滝=ミストウォール」の向こうへと子どもたちを導いていく~
展示空間にある17本の古木にはそれぞれ透明OLEDディスプレイや表情を解析するための4台のカメラが内蔵されており、体験者が古木をのぞき込むと、表情分析を行い、ZONE2での行動データを「感性モデル」で分析する。そして子どもたち一人ひとりの個性や特性を反映した映像が表示されるほか、一人ひとり違う“色”や“形状”の「蝶」が生まれ、次の体験へ誘っていく。
■滝
<勇気を出して一歩を踏み出す>
~結晶から解き放たれた自分だけの「蝶」に導かれるまま、後を追いかけていくと空中に巨大な映像を映し出す「ミストの滝」が現れる。子どもたちは勇気を出して一歩を踏み出していく~
2流体ノズルから生み出される極微細ミスト「シルキーファインミスト」を用いて、幅7m×高さ3.5mの滝状のミストのスクリーンをつくりだす。そこに「蝶」などの映像を高輝度プロジェクターを用いて投影する。
■ZONE4:大空へ
<解き放たれた蝶たちは羽ばたき、響き合う>
~勇気を出して「ミストの滝」を抜けると、そこには新しい世界が広がっている。ZONE3で一人ひとりが解き放った蝶は子どもたちが起こす風に乗って音を奏でながらやがて周囲の蝶たちと響き合い、大きなエネルギーとなって空からミストの輪が降り注ぎ、やがて大空へと羽ばたいていく~
ZONE4は、21台の高輝度プロジェクターによって360°の空間に映像が映し出され、音と映像が立体的に連動するダイナミックなイマーシブシアターだ。
体験者がそれぞれの結晶デバイスを指定の場所にかざし、「葉っぱ=うちわのようなデバイス」をもって風を起こすと、床面に蝶が生まれ、大空へ羽ばたきながら様々な音を奏でる。
別々の音はやがてハーモニーとなって音楽を奏で、映像が照射された直径1.3mのボルテックスリング(ミストの渦輪)が天井の5か所から降り注ぎ、没入空間を創り出していく。
■エピローグ
体験終了後、結晶デバイスを指定場所へ返却すると、一人ひとりに体験結果が反映されたUnlockカード」が発行される。カード記載のQRコードにアクセスすると「ノモの国」での体験を振り返ることができる。
関連情報
https://the-land-of-nomo.panasonic/
構成/清水眞希