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宇宙に夢を馳せるすべての人へ!宇宙ライターと図鑑NEO「宇宙」担当編集者が語る、宇宙を仕事にするということ

2025.02.21

2月5日に話題の新刊「宇宙を編む」を発刊した、宇宙ライターの井上榛香さん。小学館の図鑑NEO「宇宙」を担当する副編集長大藪百合さんと、宇宙の魅力などについて対談した。二人が語る宇宙から見えた世界や、宇宙開発の現状など、新刊が二倍楽しめる対談の一部を紹介しよう。

執筆のきっかけと宇宙にはまった転機とは?

大藪 井上さんは宇宙ライターという職業を「総合格闘技」と表現されていますね。

井上 宇宙開発を取材して原稿を書くには、工学やサイエンスのほか、政治や国際関係、安全保障、歴史、法律、ビジネスなどの幅広い分野の知識が求められ、勉強するところが多いのです。大変ですが、それでも宇宙を仕事にできるのは幸せなことだと思います。

井上榛香さん
宇宙開発や宇宙ビジネスを専門に取材・執筆活動を行うフリーライター。1994年生まれ、福岡県小郡市出身。小惑星探査機「はやぶさ」の活躍を知り、宇宙開発に関心を持つ。学生時代は留学先のウクライナ・キーウで国際法を学んだ。一般社団法人九州みらい共創理事。好きな食べ物はホタテ。趣味は街歩き。

大藪 確かに宇宙産業は他の産業に比べると社会情勢や経済状況、国際問題に大きく左右される分野のひとつでもあります。進歩するためには国際協力が必須なのに、もどかしいと感じる場面もありますね。

井上 私は子どもの頃からプラネタリウムとか、宇宙が大好きで、高校時代は小惑星探査機「はやぶさ」の地球帰還に感銘を受けました。世界で初めて小惑星から表面物質を採取して戻るミッションには、ワクワクしましたね。ほんの少しの砂から太陽系誕生の謎の解明に近づけるかもしれないと聞いて、「だったら世界中ではやぶさを100機ぐらい打ち上げたら良いんじゃない?」と思ったのですが、宇宙開発を知ると、世界同時で100機がどれほど非現実的なことかと(笑)。

大藪 大好きな宇宙を一生の仕事にしようと考え、実行されました。

井上 JAXAで働きたいと思い、高校の文理選択では理系を選んだのですが、数学と化学が苦手でした。文系では宇宙の仕事は無理だとあきらめていたところ、JAXAの職員が日本全国で講演し、参加者と意見を交換するタウンミーティングが地元の近隣で開催されたのです。図鑑NEO「宇宙」のDVDにも登場している天文学者の阪本成一先生が講演をされて、宇宙法について言及した上、「文系でも自分の専門分野を極めればJAXAで働くことができますよ」と教えてくれたのです。そこで、大学では法律を専攻し、さらにウクライナに留学して国際法や宇宙法を学びました。

大藪 どうしてウクライナで学ぼうと思ったのですか? 宇宙法についても簡単に教えてください。

井上 宇宙法は宇宙に関わる法律の総称です。ロケットを打ち上げる際の許可制度や、スペースデブリの発生を防止する規制や、民間企業が月面で採掘した水や鉱物などの所有権を認める法律など、多岐にわたるものです。民間企業が主体となって宇宙開発が進むようになったり、技術の進歩によって新しい取り組みが行われるようになったことをふまえて、各国が新しい法律を制定しています。

ウクライナはあまり目立ちませんが、旧ソ連時代の名残もあって、今もロケットや衛星の開発技術を持っている、世界有数の国の一つなのです。私は2017年から交換留学でキーウの大学で学びました。

飛んで当たり前ではなかったロケット

大藪 新刊書では巻頭に宇宙関連の写真がたくさん掲載されています。宇宙飛行士の若田光一さんが乗ったNASAのケネディ宇宙センターの打ち上げ写真は、見事です。

井上 この写真、実はまつげが入っているので迷ったのですが(笑)、そのまま掲載しました。

大藪 この写真を見て思い出しましたが、私は図鑑NEO「宇宙」を担当するまで、ロケットの打ち上げは成功して当然だと思っていました。

井上 確かに! 私も詳しく取材する前は、探査プロジェクトでも、飛んで当たり前という感覚でした。でも実際に携わっている人々を取材すると、そうじゃない。あらゆる試行錯誤をくり返し、それにかける人々の熱い思いが込められていました。

取材すると、人生のような大きく重たいものが胸に迫ってくる。宇宙にはそうした夢と血と汗と涙が飛び散っているようなドラマがありました。特にロケットを取り巻く人の熱い思いや感動は、成功や失敗といった結果に関わらず、常に存在しました。

私自身は、宇宙開発事業では失敗を許せる空気があってほしいなと思います。特に試験機は、打ち上げるための試行錯誤が必要ですから。とはいえ、確かに予算などの関係で難しい面もあるのも理解できます。H3ロケット試験機1号機は、試験機であるにもかかわらず、災害時の情報把握などを担うはずだった衛星「だいち3号」を搭載して打ち上げました。1号機の打ち上げは失敗し、だいち3号は失われてしまいました。震災が起きるたびに「だいち3号が無事に打ち上がっていれば……」と思えてなりません。これもいろいろな経緯や理由があってのもので、新刊書でもそうした宇宙開発事業の背景や難しさについても言及しています。

そう言うと、この本が他の宇宙ビジネス関連書籍の様に、机の上で構えて読むような難しい本のようですが、実際はもっとさらっと、楽しく読めるように工夫しました。

大藪 宇宙専門ライターの御経験からも、JAXAの月面探査フィールドや、宇宙ビジネスの現状や、アメリカのアルテミス計画など、最新の情報も載っていて、宇宙事業の今を、わかりやすく読むことができました。私は図鑑NEO「宇宙」を読んで、宇宙を目指す子どもが一人でもいてくれたら良いなと思いますが、この「宇宙を編む」を読んで宇宙に興味をもち、仕事にしたいと思う人が出てくれると良いですね。

井上 はい。今回はじめて自分自身について書きましたが、将来、自分自身が体験した宇宙旅行について、記事を書けたら良いなとも思います。

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『宇宙(そら)を編む はやぶさに憧れた高校生、宇宙ライターになる』
著/井上榛香
定価 1,870円
2024年1月31日発売
四六判/202ページ
ISBN 9784093891905
小学館
https://www.shogakukan.co.jp/books/09389190

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