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「たんぱく質=筋肉」だと思っていない?人体の20%を占めるたんぱく質の役割とは

2025.03.11

人の体の中のさまざまな活動に携わるたんぱく質。たんぱく質無くして体は機能しません。さらに、年を取るにつれ、若い頃と同じように食べてもたんぱく質の利用率は低下してしまいます。

だからこそ、45歳を過ぎたらたんぱく質は積極的に摂るべきと語るのは、医師で高齢者の栄養に詳しい吉田貞夫先生。たんぱく質というと筋肉というイメージですが、免疫力アップや血糖値の調整、血管や血液の健康にもかかわる重要な栄養素。おいしい「たんぱく質の朝ごはん」を取り入れて元気な体作りを始めてみませんか。

そこで、今回は吉田先生監修の『45歳過ぎたらたんぱく質の朝ごはん』宝島社)から、そもそもたんぱく質がどんな働きをするのかご紹介します。思った以上に体の中で使われているたんぱく質。不足すればさまざまな不調が起きるのもうなづけます。

たんぱく質はどんな働きをするの?

画像はイメージ

1.体を作る

たんぱく質には、大きな2つの役割があります。ひとつは体を作ること。たんぱく質は筋肉を作るというイメージが強いですが、筋肉だけでなく、皮膚、内臓、脳、血液、骨など、頭の先から爪の先まで全身の構造のほとんどはたんぱく質から作られています。人体の約60%が水分、約20%がたんぱく質と、水分の次に多くの割合を占めているのです。中でも、体重の30~40%を占めている筋肉は、水分を除くと約80%はたんぱく質で、体内のたんぱく質のおよそ3分の1が筋肉に分布しています。


水分を除くと、約60%が脂質で残りの約40%はたんぱく質。

髪の毛
約80%がたんぱく質で、その中でもケラチンというたんぱく質の一種が、90%を占めます。ケラチンは、柔軟性や弾力性を与える役割があるので、不足すると枝毛や切れ毛の原因になるほか、髪の毛が細くなって薄毛になる可能性も。

血管
コラーゲンの一種が血管の弾性を高める働きをしています。


髪の毛と同様に、爪の主な成分もケラチンで、不足すると爪が割れやすくなります。


コラーゲンにカルシウムなどが沈着し骨の形を作ります。

軟骨
軟骨もコラーゲンから作られます。関節の、曲げる・伸ばすといった動きをなめらかにする働きをしています。

皮膚
約60%は水分で約30%がたんぱく質、残りは脂質やミネラルです。皮膚のたんぱく質の代表的なものはコラーゲンで、肌のハリや弾力に大いに関わっています。体内のたんぱく質の約30%はコラーゲンで、そのうち約40%は、皮膚に存在しています。

心臓
心臓も心筋という特殊な筋肉の塊です。心臓が正常に動くために、たんぱく質は欠かせません。

筋肉
水分を除くとそのうちの80%はたんぱく質。たんぱく質の貯蔵庫でもあり、摂取が減って不足すると、たんぱく質が分解されて利用されるため、筋肉量の減少につながります。

肝臓
アミノ酸からたんぱく質を合成したり、アミノ酸をエネルギーに変えたりするなど、たんぱく質の工場として働きます。

2.体の機能を調整する

もうひとつの大きな役割は、体の機能を調整すること。この役割を持つたんぱく質を「機能性たんぱく質」といいます。血液中の細胞やホルモン、酵素などの材料となって、体の器官を調整したり、免疫システムを働かせたり、栄養成分の運搬を行ったりしています。ホルモンは、骨や筋肉の成長、血圧の調節、エネルギー代謝に深く関わる物質。酵素は、食べ物を消化、分解、吸収し、代謝を促すといった、化学反応を調整する触媒の機能を持った物質です。

画像はイメージ

■主な機能性たんぱく質

血液中で酸素を運ぶ「ヘモグロビン」
血液の赤血球に含まれるたんぱく質。酸素の運搬をする働きがあり、ヘモグロビンの濃度が下がった状態が貧血です。血液の量から計算すると、体全体には600~900gのヘモグロビンが存在していることになります。

血液中の運送屋さん「輸送たんぱく」
たんぱく質はさまざまな物質を輸送します。腸で吸収した鉄は、血管内ではトランスフェリンというたんぱく質と結合して輸送されます。血液中のブドウ糖はグルコーストランスポーター(GLUT)などのたんぱく質によって、細胞外から細胞内に輸送されます。生命の維持に必要な物質を、必要なところに送り届けているのです。

血糖を下げるホルモン「インスリン」
膵臓から分泌されるホルモンの一種。食事をして血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が上昇すると分泌され、血液中のブドウ糖を取り込んでエネルギー源として利用します。余ったブドウ糖はインスリンによって、グリコーゲンや中性脂肪に合成され蓄えられて、血糖値が下がります。インスリンが十分に働かなくなると糖尿病を引き起こします。

免疫に重要「グロブリン」
ウイルスや病原体などから体を守る免疫に必要なたんぱく質。IgG、IgA、IgEなどいくつか種類があり、体内に侵入してきた病原体に結合して駆除する働きがあります。

脂を水に溶けやすくする「アポリポたんぱく」
脂質の輸送を行っているたんぱく質のグループをアポリポたんぱくと呼びます。水に溶けにくい脂質は、たんぱく質と結合し、リポたんぱくとなって血液の中で運搬されることができます。LDLコレステロール、HDLコレステロールなどもアポリポたんぱくから作られます。

生体維持のために働く「酵素」
化学反応を調整する役割を持つたんぱく質が酵素。でんぷんを分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するペプシン、トリプシン、脂質を分解するリパーゼのような消化酵素のほか、細胞内で有害な活性酸素を分解するカタラーゼなどがあります。健康診断でAST(かつてはGOT)、ALT(かつてはGPT)という言葉をお聞きになったことはないでしょうか? このASTやALTも、肝臓内でアミノ酸を代謝する酵素です。さまざまな酵素が生体維持のために働いています。

内臓の機能や代謝を調節「ペプチドホルモン」
たんぱく質はホルモンとしても働きます。代謝の調整に関わる甲状腺ホルモン、血糖の調節をするインスリンやグルカゴン、血液中のカルシウムの濃度を調節し、骨を丈夫に保つ副甲状腺ホルモン、消化管の運動を調節する消化管ホルモンなど、体のあらゆる機能を調整するためにたんぱく質が重要な働きを担っています。

細胞外からの信号伝達を行う「受容体(レセプター)」
細胞膜には、細胞外からのシグナルを受け取り、細胞の機能を調節する役割のある受容体(レセプター)や、ナトリウムやカリウム、 カルシウムといったイオンが出入りするイオン透過型チャンネル(イオンが通過するトンネルのようなもの)があります。これらもたんぱく質です。毛細血管の血流が変化したり、環境に応じて血圧が変化したり、味を感じたり、痛みや温かさ、冷たさを感じたり、筋肉が動いたりするのは、受容体、イオン透過型チャンネルなどの働きのおかげです。

血管内の水分量を調節「アルブミン」
血管内の水分は、血管の外に漏れ出していこうとする性質があります。血管内の水分が漏れ出すと、血液が濃縮されてしまうとともに、皮下組織などに浮腫(むくみ)を発生させます。浮腫の原因はさまざまですが、なかには、血液中のたんぱく質が減ることによって起きるものがあります。血管内の水分を維持するたんぱく質がアルブミン。栄養不良、肝硬変、重度のたんぱく尿などのときに、血液中のアルブミンが減少し、浮腫を発生させることがあります。

血液のカタマリやすさを調節「血液凝固たんぱく」
けがなどで出血した際、もしも血が固まらず出血が続くと命に関わります。その反面、出血した血液は固まるのに、血管を流れている血液は固まりません。もし血管の中で血液が固まってしまうと、血栓となって、心筋梗塞や脳梗塞、肺塞栓、下肢の壊疽(下肢に血液が流れなくなり、壊死してしまった状態)といった疾患を起こしてしまいます。このように、血液の固まりやすさを調節しているのもたんぱく質です。

☆ ☆ ☆

45歳過ぎたらたんぱく質の朝ごはん』(宝島社)1320円

監修・吉田 貞夫
医師、医学博士。ちゅうざん病院副院長。沖縄大学健康栄養学部、金城大学の客員教授を兼任。日本栄養治療学会、日本病態栄養学会、日本離床栄養学会指導医。
2004年に沖縄に移住、2018 年より現職。2022年、骨格筋量推定システムで特許を取得。医療・介護従事者向けの講演のほか、一般向けのわかりやすくユニークな講演も人気。
著書に、『患者に話したくなる たんぱく質のすべて』、『患者に話したくなる 食物繊維・腸内環境のすべて』、『高齢者を低栄養にしない20アプローチ MNAで早期発見 事例でわかる基本と疾患別の対応ポイント』(以上メディカ出版)、『GLIMで低栄養診断 徹底解説』(三輪書店)、『パズルで紐解く病態別栄養療法』(じほう)、『認知症の人の摂食障害 最短トラブルシューティング』、『MNAガイドブック』(以上医歯薬出版)など。日本ソムリエ協会認定シニア・ワインエキスパートや、泡盛マイスターなどの資格も取得。

構成/DIME編集部

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