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創業200年の木内酒造が醸造と発酵の技を極めたレストラン「母屋」をオープン、地方の酒蔵が示した生き残る道

2025.02.24

木内酒造のイノベーティブは“捨てない”循環型

ところで、「母屋」のコンセプト「イノベーティブフレンチ」のイノベーティブとはどういう意味だろうか。

料理長の白井啓介氏は、「麹をベースにした発酵技術を駆使した料理」であることに加え、「木内酒造グループ全体で資源を循環させていく。“捨てない”こと」と語る。

木内酒造は1823年に日本酒で創業し、1996年に「常陸野ネストビール」の醸造を開始。醸造酒だけでなく、2016年にウイスキーの製造を開始。2020年には八郷蒸溜所を新設し、蒸溜酒の生産体制を確立している。

蒸溜所を持ったことで、フードロス削減の幅が広がった。ビールの残し酵母を蒸溜してスピリッツとして回収し、梅酒の原料にしている。ウイスキーやジンの原料はビールと同じ大麦であることから、残ったビールも蒸溜してスピリッツになる。

また、地元の果物を買い取って「常陸野ネストビール だいだいエール」「木内梅酒」「常陸野シードル」など製品化している。一部に従来は破棄されてしまっていた規格外の果実も活用している。フードロス削減につながるこうした取り組みは、先の「常陸野ポーク」で触れたように、麦芽粕の有効利用にも見られる。

また、木内酒造は現在、飲食店と物販で合わせて16店舗を経営している。7店のビアバー、ウイスキーのテイスティングバーのほか、そば店、かつ店など、幅広い販路をつなげることで木内酒造の循環に厚みが増す。

地域に根づいた歴史と、さまざまな酒造りの技術と設備があればこそ、“捨てない”ものづくりができる。近年、世界的に注目度の高まる循環型経済(サーキュラーエコノミー)の実践は、農産物の地産地消ができる環境のほうが有利だ。

昨年、ユネスコの無形文化遺産に「伝統的な酒造り」が登録された。麹菌を使い、土地の気候や農産物に合った酒造りが連綿と継承されてきたことが、あらためて評価されている。

継承された日本酒造り、建築物、ビールやウイスキーの酒造り、それらの技術を注ぎ込んだ「母屋」は、地方の蔵元の生きるひとつの道を示しているように思う。地域の食文化、酒文化に留まらず、地域の循環型経済の担い手として期待したい。

●母屋(おもや)
茨城県那珂市鴻巣1257
Tel 029-298-2550(完全予約制)
営業時間 ランチ12時~/ディナー18時~
定休日:火曜、水曜

取材・文/佐藤恵菜

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