快音を響かせながらとにもかくにも速い
走り出せば、265ps、37.7kg-mのパワー、トルクを即、実感できる。とにかく出足から素晴らしくトルキー。ステンレス製アクセルペダルに軽く足を乗せるだけで、ウルトラスムーズに加速を開始し、標準型ゴルフとは異なるローダウンされたGTI専用スポーツサスペンションと、標準型ゴルフに対して低めにセットされているはずの専用シートによる低重心感覚、スポーツモデル、ホットハッチならではの低音が響く排気音による勇ましさを体感できるのだ。
ゴルフ7時代のGTIと比較すれば、標準型ゴルフ同様、軽快感が際立つ。強固なボディ剛性、足回り剛性を感じつつも、かつてのガッチリ、ドシリとした乗り味とは違う気持ち良さがある。試乗車はDCCパッケージ付きで19インチタイヤを装着するが、乗り心地は路面によってコツコツはするものの、至ってフラットかつ快適だ。ショックのいなし方、吸収は見事というしかない。
20psアップとなった2Lターボエンジンはなるほど、快音を響かせながらとにもかくにも速い。走行プロファイル(ドライブモード)はエコ、コンフォート、スポーツ、カスタムの選択が、センターディスプレイ下のスイッチでも可能だが、エコでもコンフォートでも、繰り返すがパワフル、トルキー、そして速い。コンフォートでは家族とのドライブも快適に楽しめる乗り心地となるから万能でもある(このモードで排気音がもう少し静かになると完璧か!?)。
走行プロファイル(ドライブモード)は標準型ゴルフでもアクセルレスポンス、パワーステアリング、DSGの変速、ヘッドライトなどがモードによって最適化されるのだが、DCCはそれにダンパーの減衰力がパワーステアリングの特性とともに瞬時にコントロールされ、ダンパーについては走行状況に応じて連続的に減衰力を可変する特性を備える。スポーツにセットすれば、それはもう胸のすく加速力、ダイレクト感に満ちた操縦性、フットワークを味わせてくれる。直進性の良さは当然として、カーブではもう、4輪が路面に張り付く、オンザレール感覚の立ち振る舞い、イメージ通りのライントレース性を示し、痛快そのもの。頬がゆるむ。それには電子制御油圧式フロントディファンシャルロック、電子制御式フロントディファンシャルロックXDS、そしてそれらを統合制御するビーグルダイナミクスマネージャーが貢献している。265ps、37.7kg-mものパワー、トルクを”前輪駆動”で最大限に引き出せる所以である。
胸熱くなるスポーツドライビングを、上質な快適性とともに、それこそ市街地走行でさえ堪能させてくれるあたりは、なるほど、伝統のゴルフGTIの最新型のプライド、シャシー性能の高さ、余裕の証だろう。付け加えれば、ブレーキング時の自動ブリッピングも、ドライバーを熱くさせてくれるのだからたまらない。
4MOTION=フルタイム4WD、Rパフォーマンストルクベクタリングで武装したゴルフRもトップ・オブ・ゴルフとして揃うのだが、8.5 Rの13psアップされた333ps、42.8kg-m、0-100km/h加速4.6秒を誇る「超」がつくハイパフォーマンスは、ドライビングプロファイル機能にR専用の「レース」モードが追加されることからも分かるように、サーキットで最大限に発揮されるもの。
一般道、山道では、走り好きにとってもGTIのパフォーマンス、血の気が引くほどの加速力で十分すぎると思えてならない(以前から)。最新のGTIは家族持ちや旅行好きの人にも最高の、身も心も軽やかになれて、遠くまでひとっ飛びできる、長く愛し続けられること間違いなしのホットハッチ、スポーツモデルであると断言できる。eTSi R-Lineの約100万円高だが、別次元、別世界のゴルフなのである。
文・写真/青山尚暉