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音の進化を聴きくらべ!冬のヘッドフォン祭で見つけた掘り出しモノ10選

2025.02.22

最新のヘッドフォン&オーディオ機器が集結する「冬のヘッドフォン祭 mini 2025」が開催された。50社を超える出展があり、話題の新製品やハイエンドモデルの中から、今回は10モデルを試聴できた。音質の進化をリアルに体感しながら、それぞれの特徴や魅力を紹介しよう。オーディオシステムをアップグレードするための参考にしてほしい。

Z世代に人気上昇中の水月雨 MOONDROP

ヘッドフォン祭では、毎回、人気のブースがあり整理券がなくなっていたり、試聴のための列が、いくつもできている。その常連がMOONDROPである。パッケージには美少女イラストが描かれ、狙っている音も女性ボーカルに特化しているようだ。低音の量感よりも解像度の高い高音が優先された音だ。

今回の目玉は日本サイトには未掲載の2機種のイヤホン。フラッグシップモデル「PSYCHE」は2ダイナミックドライバー、4BAドライバー、4プラナードライバーのハイブリッド10ドライバーを採用。フェイスプレートにはMITSUKIYUKI(水月友希)というオリジナルキャラクターが中国の伝統工芸技術を使い手作業で象嵌されている。高域再生に使われる4基の平面駆動ダイナミックドライバーはBA型よりも低歪でワイドレンジ、静電型ドライバーより駆動しやすいという特徴を持つ。φ10mmの低音用ドライバーはH.O.D.D.D.U.S.と呼ばれる水平対向配置によって再生帯域の調整、変換効率の向上、歪みの低下などを実現したという。

MOONDROPらしい繊細な高域に加えて、どこまで抜けていく超高域が楽しめる。バランス的には低域不足と思えるが、これも同社らしいチューニングなのだろうか。インピーダンスは17.5Ω、能率115dB、再生周波数帯域7Hz~46kHz、4.4mmバランスケーブルと3.5mmの変換ケーブル、iPhone16に対応したUSB-C変換ケーブルが付属する。発売時期と価格は未定だが、本国で30万円以上するため日本ではそれを上回る価格が予想される。

中国の伝統工芸技術を駆使して作られたフェイスプレートアート

上に見えるのが平面型ドライバー、下の銀色の筐体がBA型ドライバー。中域と高域で独立した音響ノズルが使われている

こちらは隕石のスライスをフェイスプレートにはめ込んだ「METEOR」。隕石はウーハーの音を受け止める役割も果たしているという。1ダイナミック、2BA、4プラナー型ドライバーの構成で9Hz~35kHzを再生する。DAPに接続して試聴した限りでは、本機の方が「PSYCHE」よりバランスがよく低域に量感があって、高域は滑らかに伸びる印象。発売時期価格未定で、本国の価格は約7万6800円なので、「PSYCHE」に比較すればかなりのハイコスパが期待できる。

フェイスプレートにはメテオライトを採用、形成されるのに無重力空間で100万年以上かかると言われる隕鉄特有の結晶構造の模様が見られる

MOONDROPのヘッドホンは平面駆動が人気

MOONDROPはヘッドホンも平面駆動を推進しており、手前はハイコスパな「楽園 PARA」、奥は超薄型低張力振動膜基材を使った「大都会 Cosmo」である。ハイエンドモデルの静電型を開発中という噂もある。「楽園 PARA」は平面駆動型らしい非常に繊細な音で、高中域重視、低域は被らないように控えめに鳴らすモデルだ。機会があれば「大都会 Cosmo」と比較試聴してみたい。

ポータブルCDプレーヤー「DISCDREAM 2」は充電池内蔵のプレーヤーで連続駆動約9時間、USB-C充電、ヘッドホン出力以外に光デジタルとライン出力対応の3.5mm端子を装備。音色はウォームで滑らか、解像度が高く、予想外の高音質だった。これで実勢価格約1万8000円はお買い得だ。

平面駆動型で密閉式という選択Dan Clark Audio「Noire X」

Dan Clark Audioは平面駆動型ヘッドホン専用メーカー。オーナーであり設計者のダン・クラーク氏の名前がそのままブランド名になっている。同社は平面駆動型としては珍しい密閉式を得意としている。2月7日に発売されたばかりの新製品「Noire X」も20万円を切るハイコスパモデルで、新設計の第5世代の平面駆動型ドライバーを搭載した密閉式である。私は基本的にオープン式が好きで試聴用ヘッドホンもオープンなので、イベント会場など周囲の騒音レベルが高い場所ではS/Nが下がるという難点がある。

この難点を解消してくれるのが密閉式の「Noire X」なのだ。チタンやカーボンを使って385gと軽量、そして小さく収納できる。まさに試聴用に最適。ケーブルは標準が4.4mmで他の端子付きも購入時に選択可能だ。同社独自のAMTSと呼ばれる音響チューニングシステムを使い高域の定在波を除去している。イヤーカップには傷や割れに強いゴリラガラス3を採用。表面にアルカンタラを使ったイヤーパッドも新設計である。インピーダンスは16ΩでDAPでも鳴らしやすい。「Noire X」の音は解像度が高く、非常にハイスピードで歯切れがよく、女性ボーカルはやや硬質に聞こえた。上位モデルの「E3」の方が柔らかいボーカルを聞かせてくれるがDAPでは鳴らしにくい。モバイルでの運用も考えると17万8000円の「Noire X」は魅力的な選択に思えてくる。

ゴリラガラスはクールだが、指紋がつきやすいのが玉に瑕だ

Audezeから100万円超えの静電型ハイエンド

静電型の平面駆動ヘッドホンの先駆者Audezeの最新型が「CRBN2」である。新開発のカーボン・ナノチューブ・ダイヤフラム(CNTD)を採用。これは医療用に開発された技術の応用で、極薄の振動板にカーボン・ナノチューブを直接組み込むことで、金属コーティングを使わないメタルレス化を実現して、さらなるハイスピードを追求する。「CRBN2」は第2世代モデルでSLAMと呼ばれる技術を使って低域の量感とレスポンスを改善したという。確かに低域の量感に不満はなく、女性ボーカルのリップノイズが分かる程、細かい音が再現される。低域から高域まで歪は感じられず透明感のある音。これこそ静電型フラッグショップの音と思わせくれた。発売時期は3月中旬予定、価格は未定だが100万円は超えそうである。

「CRBN2」は静電型なので580VDCバイアスを給電するヘッドホンアンプが必要になる。端子はスタックスと互換性のある5ピンタイプだ

ヘッドバンドにはドライカーボンが使われ、重量は480gに抑えられている

いよいよ発売! ULTRASONE × Astell&Kern「VIRTUOSO」

Astell&KernとULTRASONEのダブルネームのコラボモデル「VIRTUOSO」が3月発売予定に決まった。サイドにあるS-LOGIC3の文字から分かるようにULTRASONEのSignatureシリーズの流れをくんでいる。位置的にはSignatureシリーズのフラッグシップMASTER MKIIのアップグレードモデルとなる。

S-Logicとは脳内定位してしまうヘッドホンの音場をスピーカー再生に近づける技術で、DSPなどを使わず物理的な方法で追求している。ドライバーはφ40mmチタンプレイテッド・マイラー振動板を採用、ケーブルはリケーブル仕様でヘッドホン側は3.5mmネジ式コネクター、φ4.4mmバランス接続に対応する。DAPに接続して聞いてみると解像度は高いのだが、モニター的なカチッとした輪郭ではなく女性ボーカルをなめらかでゆったり聞かせてくれる。低域は量感があって輪郭は柔らかく芯がある音だ。ゆったりとした音場感で密閉型とは思えない広がりを感じさせてくれた。予想実勢価格約14万円。

ハウジングのデザインは渋くて洗練されAstell&Kernを思わせる

φ4.4mmバランス接続用端子のケーブルが付属する

世代交代、シャープでクリアーになったFitEar「ROOM2」

手軽にカスタムイヤモニの良さを知ってもらうために生まれたFitEar「ROOM」が「ROOM2」になって新登場した。音質担当は世代交代を果たした堀田息吹さんで、より現代的な音を追求したという。前回、登場した謎のイヤホンは「ROOM2」だったのだ。楽曲全体の輪郭をカッチリ描きフォーカスの合った音を再生するが、女性ボーカルのなめらかな部分は残して、低域の量感も削りすぎない、バランスのいい音に仕上がっていた。ミドルレッグシェルを使い、カスタムイヤモニが初めての人にも着脱がしやすく、耳にピッタリくる感じも堪能できる。実勢価格約8万円。

受注開始したFitEar「ROOM2」は初めてのカスタムイヤモニに最適

真空管の音を5万円でiBasso「Nunchaku」

ハイエンドDAPに真空管が搭載されることが増えてきた。これを低価格で実現したのがiBasso「Nunchaku」である。筐体は「DC-Elite」を思わせる小型軽量なデザインで、A&Kの「SP3000T」にも使われているミリタリースペックビンテージ真空管RAYTHEON(レイセオン)JAN6418をデュアルで搭載する。JAN6418は直熱のミニチュア5極管であり、低電力、低電圧で駆動ができるためポタアンのプリ部に使われることが多い。「Nunchaku」にも出力切替があり、真空管モードとクラスAB増幅モードが選択できる。DACにはシーラスロジックCS43198をデュアルで採用する。真空管はシャーシ内部に吊り下げることで、マイクロフォニックによるノイズを低減している。

iPhoneとUSB接続して、バランス接続で再生すると粒立ちがよく解像度の高い音が聞こえてきた。モードを切替えると真空管の方が細かい響きが乗って華やかな音になることが分かる。この音はリッチで心地よい。真空管が発光しているのが見えるデザインも好印象だった。

JAN6418は直熱管なのでヒーターの灯りがほのかに見える

TUBEモードとクラスABアンプモードを切り替えて音の違いが楽しめる

4.4mmバランス接続と3.5mmのシングルエンドに対応する

変換ケーブルを使えばLightning端子のiPhoneにも接続可能だ

「Music with 規格外」にもNew真空管アンプ

古参のユーザーグループである「Music with 規格外」ではモバイルバッテリーの容量で音が変わるかなどのマニアックな実験がおこなわれていた。新製品として展示されていたのは、真空管キャリアブルヘッドホンアンプ「CHPA-1」(https://x.com/try_lab)である。真空管をヨコにしてケース内に収納するタイプでUSB電源を使用する。ケースに入った完成品なら5万円前後、基板と真空管のキットなら1万円前後になりそうとのこと。その音は誰が聞いても真空管というイメージを裏切らない、暖色系の音色と響きが乗った音だった。前回は音が不評で、今回は音色を見直すため徹底改良したという。

ヘッドホンが密林のように展示された「Music with 規格外」ブース

今回のレアモノはSENNHEISER HD414SLの外箱、本体より珍しいそうだ

真空管ヘッドホンアンプの「CHPA-1」は外から真空管が見えないのが残念

ケースを閉じると真空管式とは思えないが、使い勝手は良さそうだ

写真・文/ゴン川野

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