参加者は富裕層ではなく、一般的な会社員。オーロラを目的に一体感も楽しめる
写真提供:北欧旅行フィンツアー
北欧旅行フィンツアーで売れているのは、個人旅行ではなく添乗員同行のツアー。約40~60万円のツアーには、富裕層ばかりが参加しているのだろうか――最初はそんな風に思ったが、三輪さんの話を聞くと、どうやらそうではないらしい。
三輪さん「1ツアーあたりの参加人数は10~20人。お客様は20代~30代のハネムーンと20代~60代の女性同士が最も多く、ほかには女性・男性ともに一人で参加される方や、年配のご夫婦などです。多くの参加者は、富裕層ではなく一般的に勤めている会社員の方々。コロナ禍が明けて、“死ぬまでにオーロラを見たい”という夢をみなさん叶えに来ている印象です。
ちなみに弊社ではほかの北欧のオーロラ観賞ツアーも取り扱っていますが、圧倒的に人気はフィンランド。マリメッコなど北欧デザインが女性を中心に人気で、オーロラ以外の要素で選んでいただいていると思います」
また、参加者が「オーロラを見る」という一つの目的で集まったツアーは、コミュニケーションが活発に行われている、というのもこのツアーがユニークなポイントだ。その時間・その時だけにしか体験できないオーロラ鑑賞をみなで楽しむという、「トキ消費」のトレンドの一つとも考えられる。
三輪さん「個人でも、オーロラ鑑賞は楽しめます。しかし、海外に慣れている人で、あえてグループツアーに参加されている人もいらっしゃいます。あるツアーでは海外在住経験があり、語学力も問題のない女性の方に参加していただき、ほかの参加者とのコミュニケーションを楽しんでいらっしゃいました。“人との出会い”も旅の醍醐味で、オーロラ鑑賞などテーマがはっきりしているツアーは団結力が生まれる傾向にあります」
コロナ禍の人手不足が継続。来期に向けた課題
フィンランドのオーロラ観賞ツアーがほぼ完売となるほど好調のフィンツアーだが、課題も残っている。昨年対比の売上は大幅に伸びているものの、コロナ禍前の業績水準には至っていない。単純にオーロラ観賞ツアーの催行数を増やして売上を伸ばす、ということができない理由があるようだ。
三輪さん「理由は2つあり、1つ目は今シーズンの宿泊施設がもう手配できないこと。冬のフィンランドは世界中から観光客が集まるほど人気で、今から企画する場合は2025年秋以降のツアーになります。
2つ目は人手不足。現在、弊社にはオーロラの知識が豊富な添乗員が6人在籍しており、全員がフィンランドでの駐在経験があるオーロラのプロです。コロナ禍以前は駐在事務所がフィンランドにあり、人材育成ができていましたが、現在は難しい状況です。ただ、今シーズンの好調を踏まえ、来期はツアー催行数や添乗員の人数を見直したいと考えています」
オーロラの当たり年で、今しかできないような体験ができるフィンランドのオーロラ観賞ツアー。高単価ながら、息を呑むような美しいオーロラが見られる可能性が高いのであれば、払う価値はあるだろう。
もちろん、自然現象のため必ず見られるとは言えないが、三輪さんによると3日以上の滞在で、オーロラが見られる確率は80~90%。2024年秋~2025年現在までの添乗員同行のオーロラツアーでは、今のところすべてオーロラ観測に成功しているという。今年こそ海外旅行に行きたいと考えている人は、太陽極大期が続く2025年秋~2026年冬に、“死ぬまでに1度見たい”夢を叶えに行ってみては。
・北欧旅行フィンツアー
HP:https://www.nordic.co.jp/
取材・文/小浜みゆ