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Jリーグを世界へ!トップ代理人がJリーグの欧州オフィス責任者に転身した理由

2025.02.19

2025年に入ってから古橋亨梧(セルティック→スタッド・レンヌ)、関根大輝(柏レイソル→スタッド・ランス)ら日本代表クラスの大型移籍がいくつかあった。国内でも日本代表選経験者が何人か動いたが、彼らの契約交渉・移籍を取り扱うのが、FIFA(国際サッカー連盟)フットボールエージェントである。

代理人時代にDAZNの番組に出演した秋山さん(DAZN提供)

世界各国で活躍する人材の中で日本人筆頭と言われた1人が、小野伸二や内田篤人(ともにJリーグ特任理事)、大迫勇也(神戸)、南野拓実(モナコ)、上田綺世(フェイエノールト)らをマネージメントする(株)SARCLE(サークル)創業者の秋山祐輔さんだ。

2007年4月に同社を設立し、数多くの日本人選手の海外・国内移籍を手掛けてきた秋山さんは日本サッカー界で知らぬ者がいないと言ってもいい”敏腕代理人”。その彼が「代理人を退く」というニュースが駆け巡ったのが、2024年10月のことだった。秋山さんは同社の代表から退いたうえで、同月からJリーグ入り。2025年1月に欧州活動拠点としてロンドンに新設された「Jリーグ・ヨーロッパ」責任者に就任し、2月初旬に現地へ赴いたのである。

「世界を見据えた活動を強化していく」というJリーグの意向に合致

新拠点設立に関わったJリーグインターナショナルの山崎和雄社長は、その経緯を次のように説明する。

「2022年3月に野々村芳和・現チェアマンが就任してからJリーグの分配金の配分比率を変えたり、ガバナンスを見直したりと、さまざまな改革を進めてきました。そういう中で、世界を見据えた活動をより強化しなければならないという共通認識が日に日に強まっていきました。

これまで我々がやってきたのはアジア向けの活動がほとんどで、欧州に関してはあまり動けていなかった。そこで『欧州各国のクラブや強化関係者とすでにネットワークを持っていて、フットボールビジネスに精通している人材に、現地に駐在してもらおう』という話が浮上しました。さまざまな人材要件、候補を検討する中で、野々村チェアマンにも相談し、秋山さんに打診させてもらいました。Jリーグの目指す方向性や課題感も理解していて、着任初日から海外クラブともJクラブとも円滑に話ができる。最適な人材だったと感じています」

秋山さんはサッカー界では知らぬものがない有名人。今後の活躍が楽しみだ(DAZN提供)

自らを慕ってくれた選手たちから背中を押されて決断

とはいえ、トップ代理人が地位を投げうって新たなチャレンジに打って出るというのは、サプライズ以外の何物でもない。業界中から「驚いた」「信じられない」という声が聞こえてきたのは確かだ。それでも当の秋山さんは「Jリーグ、日本サッカーを強化し、地位を高めるために、自分の経験が生きるのなら、ぜひチャレンジしたい」と考え、新領域に足を踏み入れたという。

「初めて話をいただいた時、一番悩んだのは、僕を頼ってきてくれた選手たちのことでした。SARCLEを創業して18年になりますけど、小野伸二からスタートした契約選手が今では100人近くなり、自分には彼らに対する責任があった。1人1人に事情を説明し、じっくり時間をかけて理解を得るように努めました。

山崎さんが言われた通り、僕自身も『欧州の中にいるJリーグ』を日常化したいという思いは強かった。これまで築いてきた経験や人脈をJリーグやJクラブのために活用できるのは本当に有難いこと。それを伝えたところ、多くの選手が背中を押してくれました。

選手たちにもよく言うんですけど、『悩んだ時はシュートを打った方がいい』と。一歩を踏み出すしかないと思い、そう考えて決断しました」と彼は人生を賭けた挑戦への強い思いを口にした。

2026年夏からシーズン移行。Jクラブが欧州夏のキャンプに参加する好機

こうして2月初旬からロンドン入りした秋山さんだが、最初に着手するのは欧州主要リーグやクラブとのネットワーク構築だ。Jリーグは近年、欧州のオフ期間に当たる夏場に『Jリーグワールドチャレンジ』と銘打って欧州ビッグクラブを招聘。ヴィッセル神戸や横浜F・マリノスなどJ1トップクラブと対戦するチャンスを作っている。が、現状では「欧州→日本」という一方的な流れが中心で、「日本→欧州」という逆の流れがあまり生まれていない。そこを秋山さんらが中心となって開拓し、双方向の関係性を構築していくというのだ。

「2026年夏にはJリーグの開催時期が現行の2月から8月へと移行しますが、そうなると欧州と同じように日本も6~7月がオフになる。そのタイミングでJクラブに欧州や中東などのキャンプに出向いてもらい、世界各国のチームと試合経験を積み重ね、世界基準を体感してもらうのが、まず1つの施策だと考えています。

僕も代理人をやっていたので、内田や大迫、南野たちの夏や冬のキャンプに出向いたことがあるのですが、彼らは夏場であればオーストリアやスイス、冬は中東やスペインでさまざまなクラブと実戦を積み重ねる機会に恵まれているんです。それがレベルアップにつながると同時に、商品価値を上げる場にもなっている。Jクラブがそういう場に参加しないのは非常にもったいないことだとずっと思っていました。

ドイツ人のミヒャエル・スキッベ監督率いるサンフレッチェ広島が今年1月にトルコキャンプに行きましたけど、そういうトライをするチームを増やし、『欧州にいるJリーグ』を作りたい。そのためのアクションを起こしていく考えです」と秋山さんは言う。

湘南ベルマーレも2019年には冬のトルコキャンプを実施していた(写真提供=湘南ベルマーレ)

「日本→欧州」という流れを強化することはJリーグの発展に必要不可欠

確かにそういった動きが進めば、選手たちの国際感覚が磨かれるだろうし、強度やタフさの向上も期待できる。国内にいる日本人選手が欧州クラブのスカウトの目に留まるケースも増えるだろうし、逆にJクラブが有望な外国人選手や外国人監督を見極め、日本に呼ぶことも可能になるはずだ。

長年、代理人として活躍してきた秋山さんは欧州には可能性のある指揮官や指導者が数多くいることをよく知っている。そういった人材が日本で活躍すれば、間違いなくリーグレベルも上がり、サッカーも活性化する。欧州との行き来の日常化は、今後のJリーグ、日本サッカー発展のキーポイントなのだ。

加えて言うと、秋山さんらロンドン拠点では、Jクラブの営業・ホームタウンなどのフロントスタッフ、あるいは強化スタッフを欧州クラブに派遣して、学びの機会を作ることも視野に入れている。すでに昨年12月には、Jリーグが主体となって20クラブのマーケティングスタッフによるイングランド、ドイツ、スペインのクラブ回りを2週間にわたって実施。欧州クラブの集客施策やチケット販売の工夫などについての知見を深めた。

野々村チェアマンも「Jリーグ発足から30年以上が経過し、選手を中心とした現場のレベルは飛躍的に向上したものの、会社やフロントスタッフのレベルアップはまだまだ課題がある」と口癖のように語っているが、自ら稼げるクラブを作れる人材をもっともっと増やすべきなのはやはり事実。欧州トップクラブから刺激を受け、IT技術を駆使しながら斬新なマーケティングを取り入れ、収入規模をアップさせられれば、野々村チェアマンが目指している「年間収入200億円クラブ」が出てこないとも限らない。そういった部分にも秋山さんらは尽力していく構えだ。

2018年ロシアW杯直前に日本代表がキャンプを張ったオーストリア・ゼーフェルトなどは、欧州クラブが数多く訪れる有名キャンプ地だ(筆者撮影)

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