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タイム・パフォーマンスが重視される現代。仕事だけでなく家事も効率化したいと考えている人は多いと思う。
パナソニックは、週1回以上家事をする男女1,200 人を対象に、家事観と効率化に関する意識調査を行った。
効率化したい家事1位は「食後の食器洗い」!一方、約4人に1人は「家事の苦労には価値がある」と考える
最も効率化したい家事を聞いたところ、トップは「食後の食器洗い」であった。食器洗いを効率化する食器洗い乾燥機(以後、食洗機)の国内での普及を目的に、1998年に2月22日が「食器洗い乾燥機の日」として制定(※1)されたが、現在でも日本における食洗機の普及率は他国と比べて低い状況(※2)にあり、いわゆる家事根性論もこの状況に影響を及ぼしている可能性がありそうだ。
※1 1998年に一般社団法人 日本電機工業会により食器洗い乾燥機によって食後のゆとりが増え、夫婦だんらんの時間ができること、また、食器洗いによる手荒れを解消でき、食器も衛生的に保つことができるなど、夫婦でにっこりと微笑むことができるとして「ふ(2)うふ(2)に(2)っこり」(夫婦にっこり)の語呂合わせから、食器洗い乾燥機をPRする記念日と制定された。
※2 出典:EuromonitorInternational from national statistics
週1回以上家事をする15歳~69歳の男女1,200人に、家事に関する調査を行った。まず、家事が好きかどうかを聞くと、44.3%が「どちらかと言えば嫌い」、12.1%が「嫌い」と答え、合わせて56.3%と半数以上が「家事が嫌い」という結果に。
家事に対する価値観について、自分でできる家事は家電や新しいサービスなどに頼らずなるべく自分でしたいか?と聞くと、61.1%が「自分でしたい」(そう思う22.3%+どちらかと言えばそう思う38.8%)と答えている。
家事が嫌いと答えた人でも、54.9%と、約半数は家電やサービスに頼ることに消極的で、家事は自分でやりたい派のようだ。
また、家事は手仕事でこなした方が家族のためだと思うか?と聞くと、40.3%が「家族のため」(そう思う9.8%+どちらかと言えばそう思う30.5%)と答えており、特に20代では42.5%が手仕事の方が家族のためになると考えていることが判明。
さらに、全体の4人に1人が「家事は苦労してこそ価値がある」(26.1%)と答えており、10代では41.0%と全世代の中でも最も高くなっている。
タイパが重視される令和の時代ではあるが、家事に対する価値観は若い世代でも以前から変わらないままで、手仕事こそ価値があると考えている人も少なくないようだ。
家事は自分の手でやるべき?約2人に1人が経験ありと答えた家事の思い込み
本調査から、「家事は手仕事でこなした方が家族のためである」「家事は苦労してこそ価値がある」といった価値観を持っている人が一定数いることが判明。
こうした価値観の根底にある考え方の一つとして、家事を家電に頼らず自分の手でやるべきと、自らプレッシャーを感じたり、過度に周囲が期待する家事観が見られる。
このようないわゆる家事根性論で語られることが多いと感じる家事はあると思うかと聞くと、約2人に1人(53.6%)が何かしらの家事において「家事根性論」を感じていることが明らかに。
さらに具体的な家事について聞くと最も多かったのは、「食事の用意」(27.8%)であった。
続いて、「家電や新しいサービスなどを活用してこれから効率化したい家事」について聞くと、「食後の食器洗い」(15.4%)が最も高く、「リビングの掃除」(14.2%)、「トイレの掃除」(13.0%)の順に。
これらは、「嫌いな家事」や「パートナーとの間で家事負担や家事のやり方について不満を持ったり、話し合いになったりしやすい家事」でも上位にランクインしており、手仕事から解放されたい、家電やサービスで解決したいと思う人が多くなりそうだ。
生活史から考える、家事と根性論が強く結びつくワケ
調査の結果から、家事はなるべく自分の手でやりたい手仕事意識が高く、手仕事の方が家族のためであり、苦労してこそ価値があるといった精神論な側面が見えてきた。
この要因について、生活史研究家の阿古真理さんに依頼をし、コメントをもらった。※コメントの内容は編集している。
■家事根性論は家庭内だけの問題ではない 職場のパートナーシップがカギに
50代・60代は母親が専業主婦の家庭で育った人が多く、「家事は女性の仕事」「家事は手をかけるべき」という意識が今も残っている傾向にあります。
一方、30代~40代は共働き家庭が増え、家事も育児も仕事も同時にこなさなければならないので、「そこまで頑張れない」という現実的な価値観になっているようです。
10代が「家事は苦労してこそ価値がある」と捉えている割合が4割と最も多いのは意外な結果ですが、日常的に家事負担を実感する機会がなく、一時的な体験を通じて家事を捉えているからでしょう。
学校での大掃除などで得た達成感が、こうした価値観に繋がっているのかもしれません。
しかし、家事の価値観は時代背景や世代ごとに変わっていくとはいえ、家事根性論が根強く残り続ける要因は、他者からの評価や視線の影響が大きいと思っています。
つまり、社会全体での女性差別が根本的に改善されない限り、家事根性論の完全な払拭は難しいでしょう。私はこの状況を改善するためには、職場での性別を超えたパートナーシップが有効だと考えています。
たとえば、女性が管理職や社長として活躍し、男性が育児や家事のために長期育休を取り、普段から積極的に家事を行うことが当たり前の社会になれば、家事根性論も徐々に払拭されていくでしょう。
■「甘え」イメージの脱却が食洗機普及にも繋がる?
家事根性論は、家事を効率化したくてもできない現状を生み出していると言えます。たとえば、今回の調査では、効率化したい家事1位は「食後の食器洗い」でしたが、日本の食洗機導入率は3割未満(※)にとどまっています。
海外と比べて食洗機が普及しないのは、キッチンが狭いことや、賃貸住宅に住んでいる人が多く設置がそもそも困難であるという日本の文化がまず一番にあると思っています。
他方、「手をかけること=愛情」という昔からある考えと、他の家電と比べて普及し始める時期が遅く、実際に使ってみた身近な人からの情報共有が少ないこともあって、「食器洗いぐらい自分でできる」「食洗機に頼るなんて甘え」という家事根性論の考え方が払拭されにくく、効率化の妨げとなっている現状があるのではないでしょうか。
※出典:EuromonitorInternational from national statistics
■家事をもっと楽に。家族全員が参加しやすい環境作りから始めよう
家庭を持ち始めたばかりの20代~30代など、「自分が頑張らなきゃ」というプレッシャーから無理をしてしまうケースも少なくありません。
家事が辛いと感じている方や夫婦間でトラブルになりやすい方は、まず「家族みんなが家事をしやすい環境を整える」ということから始めてみてはいかがでしょうか。
たとえば、収納や道具の工夫を通じて家族が自然と参加しやすい仕組みを作ることで、家事根性論から離れ、「家事負担をどう軽減するか」を当事者意識を持って考える人を増やすきっかけになるでしょう。
関連情報
https://panasonic.jp/dish/
構成/Ara