小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

激しい運動後の「冷水シャワー」は疲労回復に効くのか?それとも逆効果なのか?

2025.02.22

運動後の回復法として人気の冷水シャワーやアイスバス。その効果を検証した新たなエビデンスレビューで、冷水浸漬がストレス軽減や睡眠の質向上、QOL改善に繋がる可能性が示されました。ただし、その効果は一時的なものであることも指摘されています。

冷水浸漬はある程度の効果をもたらす可能性あり

激しい運動後の回復方法として冷水シャワーやアイスバスが流行しているが、実際に効果はあるのだろうか? 新たなエビデンスレビューで、その流行を裏付ける科学的根拠のあることが示された。南オーストラリア大学でヘルス・アンド・ヒューマンパフォーマンスを研究するTara Cain氏らによるレビューから、冷水浸漬(cold-water immersion)により、ストレスが軽減し、睡眠の質が改善し、QOLが向上する可能性のあることが示された。ただし、その効果は長続きしないことが多かったという。この研究の詳細は、「PLOS One」に1月29日掲載された。

冷水浸漬とは、10~15℃の水に身体の一部または全体を浸すことである。Cain氏らは今回のレビューで、「冷水シャワーやアイスバスなどにより15℃以下の水に30秒以上、最低でも胸部まで浸す」という条件を満たした冷水浸漬に関する11件のランダム化比較試験のデータを統合して解析し、冷水浸漬が心理的・身体的・認知的側面に与える影響を評価した。これらの研究には、18歳以上の成人が合計3,177人参加していた。冷水浸漬の効果については、心理的側面として精神的ウェルビーイング、抑うつ、不安、気分、認知的側面として集中力、覚醒度、フォーカスする力、身体的側面として睡眠の質、ストレス、疲労感、活力、皮膚の健康、免疫機能、炎症を評価した。

メタアナリシスを行うのに十分なデータがそろっていたのは、炎症、ストレス、免疫機能についてのみであった。解析の結果、冷水浸漬は、直後および1時間後に炎症を有意に亢進させることが確認された。この現象について、論文の上席著者で南オーストラリア大学のBen Singh氏は、「冷水浸漬直後の炎症の亢進は、ストレス要因としての冷たさに対する身体反応だ。これは身体の適応や回復を助けるものであり、運動が筋肉を強化する前に筋肉にダメージを与えるのと似ている。そのため、短期的な効果しかなくてもアスリートが冷水浸漬を利用する理由となっている」と説明する。

ただし、このような炎症反応があることを考慮すると、心臓病や高血圧、糖尿病などの健康問題を抱えている人は、冷水浸漬を行う前に医師に相談した方が良い可能性がある。「基礎疾患を持つ人が冷水浸漬を行う場合、炎症が健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、特に注意が必要だ」とSingh氏は言う。

一方、ストレスについては、冷水浸漬の12時間後に有意なストレス軽減が確認されたが、直後、1時間後、24時間後、48時間後では有意な変化は認められなかった。免疫機能については、冷水浸漬の直後でも1時間後でも、有意な変化は認められなかった。

アウトカムに関する報告が単一の研究に限られていたり、評価時点が研究間で大きく異なっていたりするなど、メタアナリシスには適さないアウトカムについては、ナラティブシンセシス(記述的統合)の手法を用いて検討した。その結果、ある研究において、1カ月間にわたり30秒、60秒、90秒のいずれかの時間で冷水シャワーを浴びた参加者ではQOLのスコアの中央値がわずかに高かったことが示された。しかし、Cain氏によると、「この効果も、3カ月後には消失していた」という。この研究では、冷水シャワーを習慣的に浴びた参加者で、対照群よりも病欠の頻度が29%低いことも示された。また、別の研究では、運動後の冷水浸漬で睡眠の質が改善する可能性が示唆されていた。ただ、「それらのデータは男性に限定されたものであったため、より範囲を広げて適用するには限界があった」とCain氏は付け加えている。

Cain氏は、「本研究では、冷水浸漬の効果が時間とともに変化することを確認した。例えば、冷水浸漬によってストレスレベルは低下し得るが、それが持続するのは冷水浸漬後12時間程度に過ぎない」と述べる。同氏は、「現時点で、冷水浸漬によって最大の効果を得られるのはどのような人なのか、あるいはその理想的なアプローチはどのようなものなのかを正確に示した質の高い研究が十分にあるとは言えない」と指摘し、「その効果の持続性と実際の適用について解明を進めるためには、より多様な集団を対象に長期的な研究を行う必要がある」と述べている。(HealthDay News 2025年2月3日)

Copyright (C) 2025 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0317615

Press Release
https://unisa.edu.au/media-centre/Releases/2025/the-big-chill-is-cold-water-immersion-good-for-our-health/

構成/DIME編集部

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2025年2月15日(土) 発売

DIME最新号は、「テスタの投資術」。100億円投資家・テスタが教える、元手100万円から4年後に1億円にする方法?! 中島健人や桐谷健太ほか豪華インタビューも満載!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。