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物件の問合せ数を駅別に集計した「リアル」がわかるランキング
大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県の2府4県で構成される近畿圏エリアにおいて、最も賃貸物件を借りて住みたい街と、最も住まいを購入して住みたい街はいったいどこなのか?
LIFULLが運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」から、「2025年 LIFULL HOME’S みんなが探した!住みたい街ランキング(近畿圏版)」が発表されたので、同社リリースをベースにその概要をお伝えする。
本調査は単なるアンケート調査ではなく、LIFULL HOME’Sに掲載された物件への「問合せ数」を駅別に集計しているため、同社は「世の中の動きを反映した住まい探しの「リアル」がわかるランキング」と説明している。
調査結果分析はLIFULL HOME’S総研 副所長/チーフアナリスト 中山登志朗 氏が担当した。
近畿圏版: LIFULL HOME’S みんなが探した!借りて住みたい街ランキング
■「江坂」「出町柳」「三ノ宮」の3強がトップ争い、2025年は「江坂」が1位に
賃貸物件への問合せ数を集計した「2025年LIFULL HOME’Sみんなが探した!借りて住みたい街ランキング(近畿圏版)」は、OsakaMetro御堂筋線「江坂」が京阪鴨東線「出町柳」と接戦の末、1位を奪取した。
3位のJR東海道・山陽本線「三ノ宮」もTOP3をほぼ外さない人気駅であり、近畿圏ではこの3駅が3強として毎年ランキングトップを争う構図となっている。
「江坂」は5位の「新大阪」に約4分、「梅田」にも約11分という抜群のアクセスを誇り、府外からの単身赴任などでの賃貸ニーズが極めて高い街。駅周辺には多くの賃貸物件がストックされているため賃料水準も安定している。
2位の「出町柳」は京都大学吉田キャンパスの最寄駅で同志社大学にも程近く、古くから学生の街として知られ、駅周辺には学生向けの賃貸物件が数多く所在している。
また京阪本線の終点・始発駅でもあり、大阪中心部の「淀屋橋」「中之島」「京橋」などにもダイレクトアクセスが可能なため、多くの賃貸ユーザーから人気を集めた。
TOP3は大阪・京都・神戸が分け合ったが、それ以外は大阪市内の駅名が圧倒的に上位を占めており、大阪市内への賃貸ニーズの集中度合いが顕著になっている。
■急上昇ランキング:1位はOsaka Metro谷町線「中崎町」、大阪・梅田に隣接で人気
TOP200の駅のうち、前年から問合せ数を伸ばした駅をランキングする「急上昇ランキング」。「2025年LIFULL HOME’Sみんなが探した!借りて住みたい街 急上昇ランキング(近畿圏版)」は、OsakaMetro谷町線「中崎町」が1位となった。OsakaMetro谷町線で「東梅田」へ1駅、2分の徒歩圏でもあり、「大阪」「梅田」界隈に勤務先がある賃貸ユーザーには交通至便のエリアだ。
2位はJR片町線「鴻池新田(こうのいけしんでん)」、3位はOsakaMetro御堂筋線「北花田」だった。
「鴻池新田」は東大阪市のベッドタウンで「京橋」経由で「大阪」へ約22分、堺市内の「北花田」も「梅田」へ乗り換えなしで30分程度、交通利便性と賃料水準のバランスを重視した結果が反映されている。
4位以下も同様に「住道(すみのどう)」「だいどう豊里」「淡路」「今里」など、大阪市中心部へのアクセスが30分前後で比較的賃料水準の安価な駅が上位に登場している。
傾向としては大阪中心部への明確な“都心回帰”ではなく、賃料水準優先での選択が為されており、その意味ではコスパ重視派の賃貸ユーザーから支持を得ている駅と言えるだろう。
京都市営烏丸線「五条」やJR東海道本線「石山」は京都市内中心部に対する賃貸ニーズ、JR山陰本線「豊岡」は専ら観光需要の急増によるものだ。
近畿圏版:LIFULL HOME’S みんなが探した!買って住みたい街ランキング
■「姫路」が3年連続トップ、購入ニーズは大阪と兵庫でほぼ2分する状況
購入物件への問合せ数を集計した「2025年LIFULL HOME’Sみんなが探した!買って住みたい街ランキング(近畿圏版)」は、「姫路」が2位以下に大差をつけて3年連続トップを獲得。8年で5回の戴冠と圧倒的な人気を誇っている。
コロナ禍で観光産業が不調な時期は1位を譲ったが、コロナ後は3連勝。マンション・戸建とも物件価格が手頃なことからアーリー&セミリタイア層、および子育て世代に人気が高いことでも知られている。
2位は前回18位から大きく順位を上げた「天王寺」が入った。駅周辺ではタワーマンションほか複数の開発プロジェクトが進行しており、生活環境や治安の良さから多くの支持を得ている。
3位の「堺筋本町」はコロナ禍で35位までランクを下げたもののコロナ以前は4年連続1位を獲得しており、大阪市内中心部でありながらタワーマンションの開発プロジェクトが継続していることから、コロナ後もベスト3をキープし高い居住ニーズを獲得していることがわかる。
近畿圏でも住宅価格の高騰の影響は大きく、7位「宝殿」、8位「樟葉」ほか、「舞子」「東加古川」「堺」「西明石」などが上位に進出しており、居住ニーズの郊外化も始まっている。
■急上昇ランキング:マンション開発で注目、Osaka Metro谷町線「谷町六丁目」
TOP200の駅の内、前年から問合せ数を伸ばした駅をランキングする「急上昇ランキング」。「2025年LIFULL HOME’Sみんなが探した!買って住みたい街 急上昇ランキング(近畿圏版)」の1位は「谷町六丁目」となった。
大阪市内では、Osaka Metro谷町線沿線エリアは上町台地にあたり高台で住宅地として潜在需要が高く、これまでもマンション開発に応じて問合せ数が急増する傾向があった。2022年には隣駅の「谷町四丁目」が買って住みたい街1位を獲得し、今回の総合ランキングでも両駅はTOP10にランクインしている。
2位はJR東海道・山陽本線「吹田」、3位は京都市営烏丸線「四条」。「吹田」は北摂エリアの中心地で、住宅地としても職住近接エリアとしても人気が高く、住宅販売がほぼ皆無だったコロナ禍では総合順位を下げたが、コロナ後の開発で再び注目度が高まっている。
「四条」は京都市の、まさに中心だが、四条烏丸エリアでは厳しい景観条例を守りつつ昨年からマンション開発が行なわれ、国内外の需要が急激に高まっていることが急上昇の要因だ。
京都市内ではほかにも「二条城前」「北大路」が急上昇ランキング上位に登場。市内中心部でのセカンドハウスとしてのマンション需要の高さも反映されている。
調査概要
集計期間/2024年1月1日 ~ 2024年11月30日
集計方法/LIFULL HOME’Sに掲載された賃貸物件・購入物件への問合せ数を駅別に集計
エリア/大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県
家賃相場/問合せのあった賃貸物件の賃料の中央値を40平方mに換算
価格相場/問合せのあった購入物件の価格の中央値を60平方mに換算
急上昇ランキング/総合順位200位までの駅を対象、問合せ数が一定以下の駅は除く
構成/清水眞希