静岡おでんに続き、「近江牛おでん」など他のローカルおでんも
ローカルおでんといえばすぐに頭に浮かぶのが「静岡おでん」だが、そのほかのエリアのおでんも飲食店に進出している。日本橋にあるアンテナショップ「ここ滋賀」で食べられるのが、滋賀県自慢の近江牛の牛すじを煮込んだ「近江牛おでん」。
滋賀のおでんの味を決めるといわれる「近江牛のすじ肉」がたっぷり入ったおでん
2025年3月21日までの毎金曜日には、オープンエアのテラス席でこたつに入りながら滋賀おでんを楽しめる「滋賀こたつ」も開催している(全9席)。希望日前日までに1Fマーケットで予約受付、雨天中止
小皿スタイルの“ご馳走おでん”が増殖中!
最近、さまざまな飲食店でよく目にするようになったのが、盛り合わせではなく、具1種類を小皿に盛り、トッピングとの相性を楽しむ「小皿おでん」。「株式会社やる気カンパニー」が運営する「博多おでんと自然薯よかよか堂」(新宿御苑/2021年9月オープン)、「博多小皿おでんと自然薯ちかっぱ堂」(中目黒/2024年10月オープン)などがその代表だ。
福岡県出身の女将が考案したおでんスタイルで、それぞれの素材の魅力を最大限に活かすために、一品ずつ小皿に乗せ、その具に合ったトッピングをするのが特徴。
「博多おでんと自然薯よかよか堂」の小皿おでん。(左)大根肉味噌山椒、(右)大根とろろこんぶ
「博多小皿おでんと自然薯ちかっぱ堂」の「イカ真丈と生海苔」(左)、「南関揚げと餅」(右)
2024年1月に「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」4階にオープンした洋風居酒屋「Lampada(ランパダ)」の名物は「生ハムサラミ盛り合わせ」と、鴨で出汁をとった濃厚なうまみのつゆで煮込み、小皿スタイル×トッピングで提供する「洋風おでん」。
イタリアンバルや居酒屋業態の店舗を展開している「株式会社ダルマプロダクション」の新業態「Lampada」
トロトロの半熟卵に、びっくりするほどたっぷり黒トリュフをかけたおでんや、フォアグラをトッピングし、味噌ソースで仕上げた大根のおでんなど、「これがおでん⁉」と驚く人も多いだろう。
おでんで最もコストがかかるのが、つゆだといわれている。いわゆる出汁のための原料のほかに、練り物やど、つゆにコクを加えるための具も重要だからだ。今回紹介した進化系のネオおでんに共通しているのは、いずれもつゆに並々ならぬこだわりがあること。日本人のDNAに刻み込まれているような、揺るぎないつゆのうまみがベースにあるからこそ、どんな大胆なアレンジをしても、おでんとして成立するのだろう。おでんはこれからもさまざまな変容を繰り返し、進化していきそうだ。
取材・文/桑原恵美子