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中国の春節に合わせた連休で、観光客も多く来日し、インバウンド需要により売り上げが伸びた業界も数多くあるだろう。
中国からの観光客がかなり増加していたとなると、気になる話題が中国で大流行していたヒトメタニューモウイルスだ。聞きなれないウイルスだが、実は日本でも存在しているウイルスだという。
そこまで怖がる必要は無いというが、いったいどのようなウイルスなのだろうか。呼吸器内科医で、感染症やアレルギー疾患の診療経験が豊富な、藤崎メディカルクリニック副院長の佐藤留美先生に答えてもらった。
罹りやすい年齢層は?乳幼児や高齢者は合併症に要注意
ヒトメタニューモウイルスは2001年に発見されたウイルスで、いわゆる「風邪」の原因となるウイルスのひとつだ。私たちが過去にひいた「風邪」の原因がヒトメタニューモウイルスだった可能性もあるそうだ。
「症状は、発熱や、喉の痛み、咳など、一般的な風邪と同じです。しかし、乳幼児や高齢の方だと肺炎や気管支炎、喘息などの合併症を起こし、重症化するリスクもあるため、注意が必要です。罹りやすい年齢層も、乳幼児の方や高齢者の方です。理由としては、ほとんどの人が10歳ころまでに一度罹り抗体を持つからです」
成人は抗体があるため、基本的には罹りにくく重症化しにくいが、高齢になると抗体価が下がってくるため、罹りやすくなる。
「検査方法としては、インフルエンザや新型コロナウイルスのように、綿棒を鼻の奥まで入れて、その粘膜を採取して検査をする方法があります。こちらの検査は、6歳未満での保険適応となりますので、通常、6歳以上の人には検査はしておりません」
インフルエンザのようにワクチンは存在する?
ヒトメタニューモウイルスのワクチンはあるのだろうか。
「ヒトメタニューモウイルスは重症化するケースも少なく、亡くなる人も現状は少ないので、ワクチンは作られていません。もちろん今後、重症化率が高まったり、感染が爆発的に広がったりするようなことがあれば、急ピッチでワクチンが作られる可能性もゼロではないかと思います」
ヒトメタニューモウイルスは毎年2~6月にかけて流行するという。
「ヒトメタニューモウイルスは症状が軽い方が多くいます。そして潜伏期間は3~5日ほどと言われています。つまり、罹っているけれど、自覚症状もなく、意図せず周りにうつしてしまうということが考えられます。インフルエンザや新型コロナウイルスなど、多くの感染症が流行しています。インフルエンザなどに感染して、体力が落ちている時にヒトメタニューモウイルスに感染すると、抗体の力が発揮できず発症してしまう可能性はもちろんあります」
インフルエンザが少し落ち着いてきたように感じるが、まだしばらく感染対策は続けた方がよさそうだ。
佐藤留美医師プロフィール
2002年久留米大学医学部卒業後、久留米大学病院で研修医として勤務。現在は同大学の関連病院で呼吸器科・感染症科・アレルギー科として勤務する傍ら、2023年10月より藤崎メディカルクリニック 副院長に就任。医学博士、日本内科学会認定医・総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医、日本感染症学会感染症専門医・指導医、日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医、 日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医等を取得。
取材・文/田村菜津季