
脳の健康は人生の質に大きく影響。米国神経学会が発表した12の質問は、睡眠、メンタルヘルス、食事、運動など多岐にわたる。これらの質問は、日々の生活習慣を見直し、脳の健康維持・向上に役立つ。医師との対話を通じて、自分自身の脳の状態を把握し、健康的な生活を送るための第一歩となるだろう。
脳の健康維持のために患者と医師が問うべき12の質問とは?
米国神経学会(AAN)の「脳の健康イニシアチブ(Brain Health Initiative)は、人生のあらゆる段階において脳の健康に影響を与える12の要因についてまとめた論文を、「Neurology」に2024年12月16日発表した。論文には、神経科医が患者の脳の健康を向上させるために活用できる、スクリーニング評価や予防的介入の実践的アプローチに関する内容も含まれている。
脳の健康に関わる12の要因、およびそれを評価するための質問は、以下の通りである。これらについて自分自身に問うとともに、医師とも話し合うとよいだろう。
1. 睡眠:「睡眠により十分に体を休めることができていますか?」
日中の眠気、シフトワークの影響、夜間の痛み、不眠症、昼寝の習慣などについて医師と話し合おう。
2. 感情、気分、メンタルヘルス:「自分の感情、気分、ストレスについて心配がありますか?」
医師は患者の抑うつや不安を評価するべきだが、患者が自分から相談できるよう準備しておくことも大切だ。
3. 食品、食事、サプリメント:「十分な量の食品や健康的な食事の確保に心配がありますか? サプリメントやビタミンの摂取について聞きたいことはありますか?」
4. 運動:「生活の中に運動を取り入れられていますか?」
身体活動に加え、動き、バランス、自立性を維持する方法について医師と相談しよう。
5. 支えとなる社会的つながり:「親しい友人や家族と定期的に連絡を取り合っていますか? 周りの人から十分なサポートを受けていますか?」
6. 事故や外傷の回避:「運転時にシートベルトやヘルメットを着用していますか? 子どもがいる人はチャイルドシートを使用していますか?」
職業上のリスクがある人は、それについて話し合うことも重要だ。
7. 血圧:「自宅で高血圧に気付いたり、病院で高血圧を指摘されたりしたことはありますか? 血圧の治療や家庭用血圧計について疑問がありますか?」
高血圧の二次的原因や薬と血圧の関係について医師に相談しよう。
8. 遺伝的リスクと代謝的リスク:「血糖値やコレステロール値のコントロールに問題がありますか? 神経疾患の家族歴がありますか?」
遺伝的リスクを調べて認識し、必要に応じて脂質や糖尿病の管理、健康的な体重の維持について質問すること。
9. 医療のアフォーダビリティ(支払いのしやすさ)とアドヒアランス:「薬代が大きな負担になっていませんか?」
保険の支払いに関わり得る年齢の変化については医師が確認を取るはずだが、保険内容に変更がある場合は必ず医師に伝えること。
10. 感染症:「ワクチンは最新のものを接種していますか? また、それらのワクチンについて十分な情報を持っていますか?」
11. 悪影響のある曝露:「喫煙、1日に1~2杯以上の飲酒、市販薬の使用、井戸水の摂取、空気や水の汚染が知られている地域に居住、これらの中に該当するものはありますか?」
毎回の診察は、喫煙、飲酒、市販薬の使用に関する問題を評価する機会となる。
12. 健康の社会的決定要因:「住居、交通手段、医療や医療保険へのアクセス、身体的または精神的な安全性について心配がありますか?」
この論文の筆頭著者である米ミシガン大学アナーバー校のLinda Selwa氏は、「科学的研究への資金提供や医療へのアクセス改善などに向けた神経科医の継続的な取り組みは、国家レベルで脳の健康を改善する。われわれの論文は、脳の健康を個人レベルで改善する方法が数多くあることを示している。新年に脳の健康改善を決意することは、素晴らしい第一歩だ」とAANのニュースリリースで述べている。(HealthDay News 2025年2月1日)
Copyright (C) 2025 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock
(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.neurology.org/doi/10.1212/WNL.0000000000210226
Press Release
https://www.aan.com/PressRoom/Home/PressRelease/5223
構成/DIME編集部
ストレスを抱えている外科医の手術ほど完璧に近いと言われる理由
ストレスを感じている外科医が執刀した方が、手術を受ける患者にとって良い結果になる可能性を示唆する研究結果が発表されました。 ストレスは悪影響と捉えられがちですが...