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動物たちがのびのびと暮らす「千葉市動物公園」に潜入!ジビエの有効活用を支援する意外な企業に密着

2025.02.16

千葉市動物公園の「屠体給餌」研究には欠かせないのが警備会社の「ALSOK千葉 株式会社」

多くの人にとってALSOKという会社は現金郵送の警備をはじめ、イベントやビルの常駐警備や施設警備のイメージが強いだろう。

またオリンピック選手育成という面でも社名をよく目にするのだが、ALSOKの業務はそれだけにとどまらない。私たちが普段目にすること以上に様々なセキュリティ関連サービスを提供しているのだ。

その中でもALSOKは国から「認定鳥獣捕獲等事業者」として認定を受けて、平成25年から国内の鳥獣による農作物の被害に対しての有害鳥獣対策を、機器の販売から駆除までをサービスとして提供している。

簡単に言えばALSOKは鳥獣被害に頭を抱えている農家の味方でもあるのだ。

実は国内で1年間に捕獲されるシカやイノシシの数は約130万頭にのぼる。

千葉市動物公園の屠体給餌用の屠体肉を園に納めているのは、ALSOK千葉 株式会社である。

同社では有害鳥獣対策として千葉県内の農村地域に生息するイノシシやシカなどを捕獲した自治体(市町)の捕獲従事者から回収している。その回収したイノシシやシカたちは、国際的な衛生管理手法である「HACCP(ハサップ)」に基づく衛生環境が整備された「ジビエ工房茂原(千葉市茂原市)で加工される。
 
なぜこのような精度の高い品質が屠体給餌用の屠体肉に必要なのかというと、野生動物が持つ寄生虫や病原菌やウイルスなどから飼育動物をはじめその調理にあたる飼育員の健康を守るためである。
 
また低温殺菌をすることで肉のタンパク質変異による食感の変化なども考慮されており、安全で生肉に近い食感を保つために「凍結処理(5日間)」「低温加熱殺菌処理(中心温度が63℃30分と同等以上の加熱)」を組み合わせ高品質な屠体肉を供給している。

この施設では剥皮、解体から食肉加工、検査、真空パック化、冷凍保管、商品発送まで一貫して行われており、国が定める「国産ジビエ認証制度」で認証を受けたイノシシ肉は部位ごとに分けられ、食肉として飲食店へ販売されている。

とはいえ国内で捕獲されるイノシシ、シカの130万頭のうち、ジビエ肉として活用されるのは約11%で残りは廃棄されているのが現状である。

害獣駆除とはいえ多くの命であることは心に留めておく必要がある。少しでも命をつなぐために食肉としてジビエ肉の利用を広げていくことが大切であろう。

少しでも無駄な命にならないようにジビエ肉の普及に努めるALSOK千葉 株式会社では確かな品質のジビエ食材の販売ルートを拡大していきたいと担当者は話していた。

学校給食や社員食堂、一般家庭の食卓など日常的に消費されるような場面での活用が普及を後押しする。

話を屠体に戻そう。ALSOK千葉 株式会社で扱っているジビエ肉がいかに品質の高いものかはおわかりいただけたであろうか。

千葉市動物公園の屠体給餌研究では、この品質管理能力のもとに加工された屠体給餌用のジビエ肉を使用している。

廃棄されてしまう命が少しでも減ることを願って屠体給餌による屠体肉の活用が普及するために同社も研究に参加している。

「屠体給餌」は捕ってきたジビエを解体しただけでは与えることができない

国内で屠体給餌を来園者が見ることのできる園はいくつかある。千葉市動物公園では、ライオンとブチハイエナを対象に屠体給餌の研究が進められているのだが、その様子は非公開で行われている。

※後日、公式YouTubeにて屠体給餌の様子を配信している。

先にも触れたが、動物園では世界的にこれまでの長い研究を通じてさまざまな動物たちの生態に合った食べものや、その与える量などに関する指針が研究結果として蓄積されている。

言い換えれば飼育員は動物たち専属の栄養管理士の役割も担っているということだ。

それは生活習慣が乱れやすい我々としてはうらやましい環境でもある。しかし動物たちの命を預かっている動物園としては彼らの健康に直結する栄養管理はとても重要である。

2024年度の研究では、屠体の栄養素について通常の馬肉、牛肉、丸鶏などのエサに比べて たんぱく質が豊富であることや、脂質も少ないことが分かってきている。馬肉よりシカ肉のほうが低脂肪であることも分かった。

海外の研究ではネコ科の動物が高脂肪な肉を摂取すると嘔吐するというような報告がされていることから、健康維持をするうえで餌に含まれる脂肪含有量はとても重要な要素でもある。シカ肉はこの点においても優れた食材であると考えられる。

まだまだ分析できていない部分はあり、各部位の栄養素はもとより、継続的観察における動物たちの健康状態や嗜好(しこう)性などさまざまな研究項目が今も継続的に実施されている。

将来、多くの園で屠体給餌が行われるように、一般への屠体給餌の認知を広めることと多くの園が取り組みやすい基盤を整備すること、屠体肉を供給する企業とのコスト面や安定供給における調整なども並行して行っていかなければならない課題でもある。

同園では今回紹介した屠体給餌研究に関する「屠体給餌プロジェクト報告会」を定期的に開催している。これは一般参加が可能である。動物園を訪れるだけで走りえない取り組みを深く知る機会でもあるので同園のホームページやSNSをチェックして参加してみるのもよいだろう。

屠体給餌の対象ではないが広い放飼場にチーターが飼育されており、不定期ではあるが「チーターラン」というイベントが開催されている。

これも環境エンリッチメントの取り組みの一つとして、その動物が持つ本来の運動能力を引き出すことを目的としている。

多くの動物園では飼育下においてチーターが疾走できるだけの広さや、きっかけを用意できているところは少ない。

同園では広い敷地を利用してこのチーターランを行うことでチーター本来の運動能力を発揮させる取り組みをしている。

広い放飼場の上に巡らせたワイヤーから吊るされたおもちゃを猛スピードで移動させることでそのおもちゃを追いかけるチーターの走る姿は圧巻である。また、普段飼育下において狩りを行うことはできないため、このチーターランはチーターたちの生活の刺激にもなるのではないかと行われている。

実際にチーターの運動能力を間近で感じることができるこのイベントは必見である。

動物園を訪れる際には、その動物園でどんな環境エンリッチメントの取り組みが行われているのか園が配信するSNSやホームページなどで確認しておくと展示だけでは気づけないその動物たちの特徴などもより深く理解し身近に感じられるだろう。

【取材先】
・千葉市動物公園 (HP
264-0037 千葉県千葉市若葉区源町280番地
TEL
043-252-1111
X
(旧Twitter) (LINK/ YouTubeLINK

・ALSOK千葉株式会社「ジビエ工房茂原」 (HP
〒299-4114 千葉県茂原市本納2126−1
TEL:0475-36-3701

【写真/記事】
・動物園写真家 / 動物園ライター 阪田真一(HP/ X(旧Twitter) (LINK

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