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動物たちがのびのびと暮らす「千葉市動物公園」に潜入!ジビエの有効活用を支援する意外な企業に密着

2025.02.16

動物園・水族館・植物園を専門に取材している動物園写真家・動物園ライターの阪田真一が動物園・水族館に住む生きものたちの魅力をはじめ、各園館が取り組んでいる活動とそれを支えているスタッフや企業との関わりを紹介している。

『千葉市動物公園』を深堀り

今回は千葉県の「餅ヶ崎遺跡(もちがさきいせき)」という遺跡の上に建てられた国内でも、とても珍しい動物園『千葉市動物公園』を紹介。

同園が建つこの台地には、その地層から様々な動物とヒトとの関わりがうかがえる出土品の数々が発見がされている。

園内には「動物科学館」があり、考古学コーナーには歴史の中に動物とヒトとの歴史を感じることのできる展示が行われている。動物と人との歴史に思いをはせながら今を生きる動物たちを見ることができるのはこの園ならではの楽しみ方だと言えるだろう。

そんな園内を散策してみるとその敷地の広さに驚かされる。園内では広い敷地でアジアゾウが砂浴びをしている光景に出くわすことがある。これは紫外線や寄生虫からその身を守る効果があるのだそうだ。アジアゾウも美肌(健康な肌)を守ることには余念がない様子である。それにしてもその砂をかけ、舞い上がる砂煙はとても豪快である。

アジアゾウのエリアを散策すれば近くには緑の広がる丘陵地がある。そこには映画サウンドオブミュージックのワンシーンを思い出させるように、1羽のダチョウが駆け回っている。とても爽快で開放感の展示である。

ホオジロカンムリヅル、ツタツンガ、ハゴロモヅルなどと同居しており、その自由な混合飼育スタイルには多様性を感じとることができる。とても動物たちがのびのび暮らしているようだ。

そんな園内を奥へ進んでいくと、レッサーパンダの展示エリアが見えてくる。ここには園の顔となっている「レッサーパンダの風太」がロッジ風の小屋の中でくつろいでいる姿を見つけることができる。

この小屋には夏でもお客さんを眺められるようにと床下からのクーラーが完備されている。「風太20th記念プロジェクト」のクラウドファンティングで集められた資金によるものだ。ほかにも風太に限らず展示硝子のフィルムや、主食である笹の葉を粉砕して粉末にし食べやすくするための粉砕機なども購入された。

1ヶ月半ほどの短期間に23,791,000円の支援が集められたのだとか。これは多くの人から気にかけてもらえている証拠だろう。

そんなみんなの想いで環境改善された小屋で心地よく過ごしている姿は「長生きしてね」と声をかけたくなるほど愛おしい。

実は国内の動物園の動物たちは風太に限らず高齢な個体が増えてきているのが現状である。

各地の動物園では風太のような高齢な動物たちを筆頭に、動物園で暮らす動物たちに対して「環境エンリッチメント」という取り組みが行われている。

環境エンリッチメントとは、動物たちの住環境を整え飼育下という限られた生活環境の中で動物たちのストレスを減らし心地よく健康に暮らしてもらえるよう配慮する取り組みである。

環境エンリッチメントの取り組みには世界で様々なものがあるのだが、今回は千葉市動物公園が行っている取り組みの一つを紹介しよう。

『食』というアプローチで動物たちの環境エンリッチメントに取り組む「千葉市動物公園」

同園では、環境エンリッチメントの取り組みの一つである『食事』について特別な研究が行われている。

突然だがその研究を紹介する前に皆さんは「ジビエ」という言葉を耳にしたことがあるだろうか。

最近、都内でも「イノシシの肉」や「シカの肉」を扱うジビエ専門料理の店が増えてきたと、テレビや雑誌などで取り上げられるようになった。

そもそもジビエという言葉はフランス語(仏: gibier)である。狩猟の国フランスではジビエとは食肉として狩猟した野生鳥獣の肉のことを指す言葉なのだが、日本ではイノシシやシカなど農作物を荒らす害獣(人の営みに害を与える野生の生き物)の駆除目的で捕獲をしたものの食肉の一部を指すことが多い。また革製品への加工などその命を無駄にしない取り組みに「ジビエの利活用」という言葉が使われている。

今回は動物園で行われている「環境エンリッチメント」における「ジビエの利活用」としての「屠体給餌(とたいきゅうじ)」という取り組みを紹介しよう。

その前になぜ「ジビエ給餌」ではないのかということなのだが、ジビエとは食用に成形された野生動物の肉のことを指すが、皮剥ぎを行っていない肉のことを「屠体肉(とたいにく)」と呼ぶそうだ。

現在多くの動物園で動物たちに与えられている餌は、人の為に食用として加工された肉類であり、とても食べやすいものとなる。

食べやすいということは単純で食事時間に対する動物意識の活性化を促す要素が薄いものとなっている。

ただ、高齢個体に関していえば食べやすいという点において通常食も環境エンリッチメントであるとも考えられる。

しかし若い個体においては食事の時間でさえ頭を使い、食べにくさということが食事時間の質を向上させることに有用であると考えられている。現在、そういった面においても屠体給餌の研究は進められている。

千葉市動物公園は、農林水産省の鳥獣被害対策基盤支援事業(と体給餌利用促進事業)の中で発足した「と体給餌利用促進コンソーシアム」に参加している。

そのコンソーシアムでは、日本大学生物資源科学部を代表機関として、豊橋総合動植物公園、千葉市動物公園、札幌市円山動物園、学校法人酪農学園、中部大学応用生物学部、株式会社糸島ジビエ研究所、国立研究開発法人森林研究・整備機構とともに屠体給餌の研究が進められるている。

また、千葉市動物公園で行われている屠体給餌に使われる屠体は、ALSOK千葉 株式会社が供給している。

警備会社のALSOK千葉 株式会社がなぜ屠体やジビエの供給を担っているのかとても興味深いところである。

(写真:ALSOK千葉 株式会社スタッフが着用のポロシャツの胸元にある刺繍。可愛い)

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