![](https://dime.jp/wp-content/uploads/2025/01/shutterstock_1890577612-770x513.jpg)
我々が普段携帯している運転免許証。これが今年3月24日から、その姿を大きく変えることを皆様はご存じだろうか?
一言で言えば、マイナンバーカードのICチップに運転免許証の情報が収録されるようになるのだ。
もっとも、これは義務ではない。従来型の運転免許証は今後も継続され、さらに運転免許証の情報が収録されたマイナンバーカードと従来型運転免許証の2枚を所有することもできる。
つまり、我々には3通りの選択肢が用意されているのだが、それは同時にメリット・デメリットが含まれているということだ。運転免許証をマイナンバーカードに一本化するという選択肢は、果たして賢いものなのか?
世論がマイナカードに対して肯定的に!
ここ数年、政府は「マイナンバーカードの利活用」に力を注いでいる。
これには、ほんの半年前までは非難の声のほうが大きかった。「病院への負担が大きい」「不具合がある」「個人情報が漏洩する可能性」「高齢者にデジタル機器は使えない」。しかしそれらの批判は、紙の保険証を大きく上回る利便性が発揮されたことで一気に解消したように思える。世論というのは、実に些細なきっかけで反転してしまうことがあるのだ。
マイナンバーカードは欠点もあるものの、個人情報を守る堅牢性や非接触型ICチップ認証の使いやすさは紙の証明書では太刀打ちすらできない。では、これを運転免許証として活用した場合どのようなメリットが発生するのか?
従来型免許証もICチップ内蔵
これは普段意識している人は多くないはずだが、従来型運転免許証もマイナンバーカードと同じくICチップ内蔵カードである。
このICチップは、運転免許証の偽造の防止に大きく貢献したと言われている。券面を精巧に偽造できたとしても、中身のICチップまでは完全コピーできないと断言してもいいだろう。それは、日本の紙幣の偽造が極めて困難であることと同様だ。
保険証の場合は、本当に「紙」であるからマイナンバーカードに代替わりした時の技術的ギャップが絶大である。その面だけを見れば、運転免許証とマイナンバーカードに大きな差があるわけではない。
ただし、マイナンバーカードに運転免許証の情報を収録した場合、「更新時講習のオンライン化」と「住所変更手続等のワンストップサービス」というメリットが発生する。
優良・一般運転者の講習がオンライン化!
更新時講習が好き、という人はあまり見かけない。筆者自身も、あまり好きではない。
この講習の講師は、受講者に対してやたらと強気な態度で出る。「居眠りしたら最初からやり直してもらう」とまで言う始末だ。しかし、優良運転者と一般運転者はマイナンバーカードと運転免許証を一体化することにより、PCやスマホでオンライン講習に臨めるようになる。
ただしこれは、初回運転者と違反運転者は対象外になっている。こちらのカテゴリーに属する人は、引き続き実地講習だ。なお、初回・違反運転者に対する講習のオンライン化の予定は今のところまったく聞かれない。更新時講習自体が、一種の「罰ゲーム」のようになってしまっている。
また、住所変更をする場合は従来であれば市区町村の窓口と警察署へ行く必要があったが、マイナ免許証にすれば警察署への来訪をショートカットできるように。このあたりの利便性は、マイナンバーカードだからこその機能と言える。
選べる3パターン
さて、この記事の冒頭で「我々には3通りの選択肢が用意されている」と書いたが、以下3通りの所持のパターンを記載したい。
(1)運転免許証の情報を収録したマイナンバーカード
(2)従来型運転免許証
(3)マイナンバーカード+従来型運転免許証
運転免許証をそのままマイナンバーカードに交換してしまうことも、今までの免許証を持ち続けることも、はたまたその両方を所持することも可能なのだ。保険証のように、従来方式が完全に終了してしまうということはない。
その上で気をつけたいのが、「もしもマイナ免許証を紛失してしまったら」という点である。
マイナンバーカードの再発行には、概ね1ヶ月程度かかってしまう。去年12月から始まった「特急発行・交付制度」を活用すれば1週間で再発行ができるとしているが、どのみち従来型運転免許証のような即日発行はできない。マイナンバーカードも従来型免許証もない状態では、当然ながら車を運転することはできない。う~ん、悩ましい!
マイナ免許証のスマホ搭載が可能になればまた事情は変わってくるかもしれないが、今のところこの部分がマイナ免許証の大きな欠点である。
まずは両方持つのがベターか
そうしたことを鑑みると、費用は少しかかってしまうがマイナ免許証と従来型免許証の両方を所持するという選択肢が最もベターかもしれない。
運転の際は、マイナ免許証か従来型免許証のどちらかを携帯している必要がある。逆に言えば、常に両方携帯している必要はないということだ。
また、現実問題この制度が開始された当初はマイナンバーカードに一本化する人よりも、とりあえず両方持っておく人のほうが多いのではないか。繰り返すが、これはマイナ保険証とは違い「どちらを選んでも構わないもの」である。新しいものに飛びついてみるのも、ひとまず周囲の様子を見てみるのもいいだろう。
【参考】
マイナンバーカードと運転免許証の一体化について-警視庁
文/澤田真一
来年3月にスタートする「マイナ免許証」のメリットは?免許の有効期限に思わぬ落とし穴も
運転免許証とマイナンバーカードの一体化。数年前から度々話題になっていたことだが、いよいよ来年3月24日に関連の制度が開始される。 これにより、マイナンバーカード...