
SNSを中心に流行している「風呂キャンセル界隈」というワード。本記事ではその意味や流行った理由、世間の声などについて解説し、さらに関連する「○○界隈」を紹介する。
目次
2024年、SNSを中心に「風呂キャンセル界隈」という言葉が流行した。風呂もキャンセルも界隈も知っているが、三つ同時に使われるのはひと昔前にはなかったことだ。この言葉は、一体どんな意味でどんな時に使われているのだろうか。
本記事では「風呂キャンセル界隈」の意味や、流行った理由について解説したい。また、風呂キャンセル界隈に対する世間の声や、話題になっているさまざまな「○○界隈」も紹介する。
風呂キャンセル界隈の意味は?なぜ流行った?
風呂キャンセル界隈は、SNSで若い世代を中心に使われているネットスラングだ。言葉の意味や、使い方、流行った経緯について解説する。
■風呂キャンセル界隈はお風呂やシャワーをパスすること
風呂キャンセル界隈は、シャワーやお風呂に入らないこと、それが習慣になっている人たちを指し、「風呂キャン」とも言われる。お風呂に入らないことをキャンセルと表現することでユーモラスな印象を与え、さらに「界隈」とセットで使うことで、一つのコミュニティであるかのような存在感とインパクトがある。
お風呂に関するネットスラングは他にもあり、浴槽に入らずシャワーだけで済ませる「浴槽キャンセル界隈」や、お風呂に入っても髪を洗わない「シャンプーキャンセル界隈」も話題だ。
■「界隈」の本来の意味
「界隈」の本来の意味は、そのあたり一帯、近辺、付近など。少々範囲の狭い地名と一緒に使われる言葉だ。
【例文】
「散歩がてら、浅草界隈を歩いてみる」
近年、特にSNS上では、共通の趣味がある人々や同じ行動パターンを持つ人たちの集まりなど、「仲間」や「コミュニティ」の意味合いでも使われるようになっている。
■風呂キャンセル界隈の使い方
風呂キャンセル界隈は、お風呂に入らないことを自虐的に投稿する際によく使われる。「今日は疲れてるから風呂キャンセル界隈」「最近、残業続きで風呂キャンセル界隈になってる」など。
また、「明日はもう出かけない」という投稿に「#風呂キャンセル界隈」とタグ付けすることで、お風呂に入らないことを匂わせるような使い方もある。
さらに、Xなどでは「お風呂が楽しくなるから風呂キャンセル界隈の人に使ってほしい」とバスグッズをおすすめしたり、「我が家の愛犬も風呂キャンセル界隈」と、お風呂を嫌がるペットの様子を投稿したりするユーザーも見られる。
■風呂キャンセル界隈が流行った理由
風呂キャンセル界隈は、2024年4月末にあるXユーザーによって投稿されたポストをきっかけに話題になった。共感する人によって拡散されてトレンド入りし、語感の良さも相まって若い世代を中心に急速に広まったのである。
「お風呂に入らないこと」は、一見批判されそうな習慣だ。しかし、意外にも共感が多かった背景には、リモートワークの定着でお風呂の優先度が下がっていることや、お風呂に入る気力もないほどに現代人が疲労しているとの見方もある。
風呂キャンセル界隈に対する世間の反応
風呂キャンセル界隈が一定の支持を得る一方、世間の反応はさまざまだ。ここからはネットユーザーの意見や、この言葉が流行ったことによる影響について解説する。
■共感や批判、さまざまな意見が話題に
風呂キャンセル界隈が話題になり、ネットでは多くのユーザーが共感や批判の声を上げた。
共感の声
共感の声は、「自分も風呂キャンセル界隈」「毎日お風呂に入っているが気持ちはわかる」といったユーザーによるものが大半だ。
「疲れてて寝落ちしちゃうとか、あるある」
「次の日が休みで人にも会わないなら、もういいかと思ってしまう」
「30分以上は時間とられるから、キャンセルしたい気持ちはわかる」
肯定的な意見の中には「海外では毎日入らない国も多いし、入ってもシャワーだけ。日本人は贅沢」といった声もある。海外では珍しくない習慣でもあるが故に、抵抗感が少ない人もいるのだろう。
批判の声
批判的な声では、お風呂に入らないことによる不衛生さの指摘や、周囲の風呂キャンセル界隈に困っているユーザーの意見が見られる。
「毎日入らないなんて考えられない」
「不潔なのを界隈とか言ってごまかしてる」
「父親と兄が風呂キャンするから、本当に勘弁してほしい」
■「界隈」は2024年の新語・流行語大賞にノミネート
2024年、ユーキャンの新語・流行語大賞では「界隈」がノミネートされた。元々、ネットでは徐々に浸透していた言葉ではあったが、ノミネートされるほど広く知られるようになったのは風呂キャンセル界隈が流行した影響が大きいだろう。
ちなみに、大学生向けのマーケティングやプロモーションを手掛ける企業の調査によると、「2024年 大学生が選ぶ流行語」の一位は「界隈」だった。
大学生にとっては、ネットだけでなくリアルな会話でも使うほど身近なワードのようだ。
■「風呂キャンセル界隈」「風呂嫌い」を公言する芸能人も
風呂キャンセル界隈が話題になったことで、自身が風呂嫌いであると公言する芸能人も現れた。 TVやラジオでトークテーマになることも多く、自身のお風呂事情を話す機会が増えたことや、風呂キャンセル界隈に共感する人が一定数いることにより、カミングアウトしやすくなったことが要因に挙げられる。
度々ネットニュースで取り上げられており、意外性があるためか女性タレントやアイドルが話題になることが多い。
「風呂キャンセル界隈」はなぜお風呂に入らない?
多くの共感を得ている風呂キャンセル界隈だが、毎日お風呂に入る人々からすると「なぜ入らないのか」「理解できない」とも思われているようだ。風呂キャンセル界隈は、なぜお風呂に入らないのだろうか。SNSでよく見られる理由や、有識者の見解を紹介する。
■心身の疲れ
最も多く見られる理由の一つが、心身の疲れだ。「仕事から帰宅すると疲労感がひどく、何もする気が起きない」「お風呂に入る気力がない」という声は多い。「お風呂に入るより寝たい」という声もあり、風呂キャンセル界隈の背景には現代人の忙しさが垣間見える。
■めんどくさい
単純にめんどくさいので入りたくないと主張する風呂キャンセル界隈も多い。お風呂に入るだけでなく、上がってからも必要な行動の一連がめんどくさいと言われている。改めて入浴に関する行動の流れを考えてみると、多くの工程を踏む必要があることがわかる。
- 浴槽・浴室を掃除する
- お湯をためる
- 服を脱ぐ
- 身体・髪を洗う
- 湯船に浸かり、温まる
- 身体・髪を拭く
- 服を着る
- 髪を乾かす
人によっては髪のケアやスキンケアも加わり、もっと時間がかかるだろう。ロングヘアの場合やエクステを付けているために「髪を乾かすのが大変で面倒」と、風呂を敬遠するようになった人もいるようだ。
■うつなどの精神疾患
うつなどの精神疾患で日常の習慣をこなすことが困難になっており、お風呂に入れない人もいる。SNSでは、この状態を表すワードとして「うつ病風呂キャンセル界隈」も話題になった。
風呂キャンセル界隈はうつ病の初期症状の現れの可能性がある、との見解を示す精神科医や臨床心理士もいる。
〇〇界隈は他にもある!SNSで話題のワードを紹介
風呂キャンセル界隈の流行をきっかけに、SNSではさまざまな○○界隈が話題になっている。
■自然界隈
自然界隈は山や川、高原など自然が豊かなスポットに出かけて自然を楽しむこと、また、それをする人々を指す。大自然を背景にしたり、キャンプの様子を撮ったりした写真をSNSにアップし、「#自然界隈」とタグ付けする。
■片目界隈
片目界隈は、片目や顔が半分しか見えない状態の写真をSNSに投稿する人たちを指す。顔がアップになる画角で顔半分を自撮りしたり、普通に撮った写真の顔半分をスタンプで隠したりする。10代を中心に、数年前から流行している若者文化の一つだ。
■回転界隈
回転界隈は、TikTokなどのSNSを中心に流行している動画ジャンルの一つ。音楽に合わせて全身を回転させ、コーディネートを紹介する動画だ。正面を向いた状態から始まり、90度ずつ身体を回転させるのが特徴。若い世代に人気で、アイドルやアーティストも同様の動画をアップし、話題を呼んでいる。
■伊能忠敬界隈
伊能忠敬界隈は、○○界隈の中でもインパクトの強いワードの一つ。伊能忠敬と言えば、日本中を歩いて測量し、日本地図を制作したことで知られている。その偉業にちなんで、仕事や散歩で長距離を歩くこと、それを好む人たちを表す。距離や時間の明確な定義はないが、一日に数十㎞単位で歩くことを言う場合が多い。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部