
2024年4月からDIMEにて連載が始まった「マンガでわかる生成AI」の原作を担当している、アステリア株式会社、および生成AI協会(GAIS)のエバンジェリスト 森一弥です。
前回から引き続いて「AIエージェント」のお話です。前半の原稿を書いて以降、DeepSeekが登場しきたり、SB OpenAI が出てきたりと話題も尽きない生成AI界隈ですが、色々なところで「エージェント」という単語が聞かれるようになり、もはや ”兆し” というタイトルは控えめすぎたかも?と思っている今日このごろです。
というわけで今回は、AIエージェントの少し先の未来の展開を考えてみたいと思います。
前回の記事はこちら
2025年は「AI エージェント」が大流行すると言われている理由
2024年4月からDIMEにて連載が始まった「マンガでわかる生成AI」の原作を担当している、アステリア株式会社、および生成AI協会(GAIS)のエバンジェリスト...
ビジネス活用の拡大
スマートスピーカーなどは家庭で利用する人がほとんどですし、連携先は音楽サービスやお天気情報など、どちらかというと個人向けのものです。ChatGPTの「GPTs」は、ローンチ直後は歴史上の人物などを真似て答えるようなものや、有名人風の受け答えをするものなど、個人向けのお遊び用と思われるものを多く見かけました。
しかし徐々に、プログラミングのアドバイスや文書作成、要約、動画や音声からのまとめなど、実用的なものが多く見られるようになっています。AIエージェントを作成するためのツールも増える中で、連携先のクラウドサービスが増えていったり、特定の業種向けや特定用途のクラウドサービスとの連携も増えていくことが考えられます。
自社の業務の一部をAIエージェントが担っているという状況もすぐそこに来ているのではないでしょうか。
逆に、AIと連携できないシステムが今後淘汰される可能性もあります。
日本企業の中で利用されているシステムは、専用に開発されたものも多く存在しており、少し古いものだと、Internet Explorer など特定のブラウザでしか利用できないものも多かったのではないでしょうか? しかし徐々にこうしたものは少なくなり、クラウドのサービスを利用したり、多少のカスタマイズを行って利用できるようになったりしているという話はよく聞こえてきます。
こうしたシステムの刷新のタイミングで「AIは使えないのか?」という要望が出てくることは容易に想像できます。すでに生成AIのチャットボットなどが会社内に導入されていれば、それと連携したい、という要望もありそうです。社内に生成AIの基盤があり、各システムはそこから連携されていく、という構成も将来的にはありそうですよね。
現実世界との連携
すでにスマートスピーカーでは、IoTソリューションとの連携も実現していますし、AIエージェントでの利用も可能です。スマート家電と呼ばれているものも徐々に浸透していますし、これらが生成AIで制御されることは容易に想像できます。
ドローンの制御や、車の自動運転などの技術も、AIエージェントのひとつのジャンルとして捉えられている話もあるようなので、パソコンやスマホの中だけの話ではなく、現実世界の色々な場所に、徐々にAIエージェントが浸透してくることが考えられます。
私と同世代の方であれば、海外ドラマ「ナイトライダー」の世界により近づくと言えば一発で通じそうですが、出かけるときに、ばっちりエアコンが効いた車が玄関前で待ってくれているなんてこともあるかも知れません。出かける予定を判断して起きる時間に合わせてカーテンが開き、淹れたてのコーヒーができている、くらいなら、今でも出来ちゃいそうですね。
エージェントの高度化
現在のAIエージェントは、比較的単純なひとつのタスクをこなすものが主流です。しかしこれらを組み合わせたり、エージェント同士で会話させることで、より高度なタスクをこなすことができるようになるのではないでしょうか。特定のタスクをこなすエージェントは、より細かく色々な機能が使えるようになるでしょうし、エージェントを制御するようなエージェントも出てきたりと、利用できる生成AIに対応したサービスも増えていくはずです。
結果として、よほど致命的な事件やトラブルがない限り、エージェントが高度化していく流れは間違いないでしょう。最近では、AI専用の端末を開発するというニュースもありました。スマホの延長線にあるようなものなのか、スマートウォッチのようなものなのか、詳細はまだまだわかりませんが、ピンマイクで音声だけを拾ってくれるようなものかも知れませんね。アニメに出てくるような疑似人格を持ったマスコットキャラみたいなものもあり得るかも…!? 近い将来にはひとりひとりが自分用の秘書やコンシェルジュをポケットに入れて持ち歩いているなんてこともあり得るかも知れませんね。
さて、多少の妄想もふくめて将来像を考えてみましたが、いかがでしたでしょうか?
数年前にはITの発展で単純作業は減り、人間はクリエイティブな仕事にシフトするということが言われていましたが、今や画像や動画といった領域にも、生成AIが入り込んでいます。
新しいものを拒絶、回避するよりも、新しいものを自分で確かめ、取り込み、自分のものとしていく活用していくほうが良いのではないでしょうか。仕事が奪われる、といったネガティブな考えよりも、ますます便利で楽しい未来があると考えたいものです。
森 一弥(もり かずや) https://twitter.com/dekiruco
アステリア株式会社 ノーコード変革推進室 エバンジェリスト。 テレワーク推進の波に乗り、某有名SFアニメの聖地である箱根に移住。アニメや漫画、甘いものとかっこいいクルマをこよなく愛す、気ままな技術系エバンジェリスト。 AIやブロックチェーンなど先端技術とのデータ連携を得意とし、実証実験やコンサルティングの実績も多数。見聞きしたことは自分でプログラミングして確かめた上でわかりやすく解説することが信条。 現在は AI や IoTなどの普及啓発に努め、生成AI協会(GAIS)のエバンジェリストとしても活動中。