
一般社団法人日本RV協会(略称:JRVA)は、会員企業のキャンピングカーメーカー、および販社や全国のキャンピングカーユーザーを対象とした調査を実施。その結果から業界動向を取りまとめた「日本RV協会 年次報告書2024」を発行した。
本稿では2025年1月31日に発表された同協会リリースを元に、その概要をお伝えする。
2024年のキャンピングカー販売売上総額は過去最高の1126.5億円に
キャンピングカーの販売売上総額は増加傾向にあり、2024年のキャンピングカー販売売上総額は新車・中古車を合計して過去最高の1126.5億円(対前年比107%)となった。
これは直近10年で約4倍の成長となり、市場規模は急激に拡大したことになる。需要の増加などの理由により、この傾向はさらに続くと考えられる。
■国内キャンピングカー保有台数が増加、こちらも過去最高の16万5000台に到達
国内生産台数や廃車台数などから算出した国内キャンピングカーの保有台数は、調査当初から増え続けており、2016年には10万台を超え、2024年は前年より1万台増えて16万5000台となった。
様々な車両タイプの流通に加え、移動手段としてのクルマだけではなく、新しいレジャーの形、災害時の住居、テレワークができるオフィスとしての利用など、多岐に渡る活用方法への関心が高まっており、新しいライフスタイルのなかにキャンピングカーという文化が浸透してきたといえるのではないか。
一方、世界に目を向けてみると、日本の国土面積に近いドイツでは約160万台のキャンピングカーが保有されているという。これは日本の約10倍に相当するため、キャンピングカーにはそれだけの需要があるとも考えられる。
この結果について同協会では「今後、キャンピングカーの国内マーケットはさらなる成長が期待できます」とコメントしている。
■国内キャンピングカー生産台数は前年比95%の9559台
2024年の生産台数は、前年比95%の9559台だった。近年、順調に生産台数が増加していたが、ここにきて減少する結果となっている。
2024年は自動車メーカーからのベース車両が納品されない、もしくは遅れる事例が多数発生。ベース車両の供給不足が生産台数の増加を抑制する要因の一つになっていると考えられる。
キャンピングカーがプライベートな空間を確保した自由な旅を実現
キャンピングカーユーザーが感じるキャンピングカーの最大の魅力を調査したところ、「プライベートな空間でリラックスして過ごせるところ」、「時間を気にせず出かけられること」の2つを挙げる人が多数を占めた。
家族での旅行などを想定して、プライベートな空間を重視している傾向が見受けられる。また、実際に使ってみて、改めて自由に行動できる利便性を強く感じているようだ。
またキャンピングカーの利用での変化について、外出する機会が増えたと答えたオーナーが最も多い結果となった。キャンピングカーがあることで、外出や旅行のハードルが下がり、よりアクティブな行動をとるようになっていることがわかる。
その結果、楽しいと感じることが増え、生きがいや人生の目的が生まれたと感じる人も多いと考えられる。
キャンピングカーを手に入れたことで、行動パターンに変化が起こり、精神的な安定も得られているオーナーの姿をアンケートから推察できる。
■キャンピングカーの主な購入目的は「旅行」
キャンピングカー購入後、約8割の人が「旅行」で使用していることがわかった。また、平均的な旅行日数を調査したところ、2泊3日以上と答えたオーナーは実に7割を占めた。
時間を自由に使えるキャンピングカーだからこそ、週末金曜日の仕事終わりにすぐに出発。車内で2泊することも可能であり、多くの人が長期旅行にキャンピングカーを利用していることが明らかになった。
■旅費を抑えつつ食事などにコストをかける
キャンピングカーで旅行する際の平均支出を調査したところ、3~6万円が最も多く、全体の43.7%を占めていた。次に多いのが1~3万円、そして6~10万円の20.2%と続く。
宿泊費が抑えられることから、キャンピングカー旅行では消費のほとんどが観光や食事にあてられると考えられる。
構成/清水眞希