
Z世代の間で使われる「ごめんね消費」とはどのような意味持つ言葉か?社会に貢献したい気持ちと一消費者としての懐事情からくる若年世代のジレンマについてまとめた。
目次
新しく生まれる言葉の多くは、時代性を色濃く反映している。「ごめんね消費」もそのような言葉の一つだ。
親しい相手への謝罪を意味する「ごめんね」と、経済用語でもある「消費」のつながりがわからず困惑する人もいるだろうが、若い世代の消費に関するジレンマを表すと言われている。
本記事では、「ごめんね消費」の意味と由来、言葉の使い方や言い換え表現などを解説する。
ごめんね消費とは?Z世代に広がる環境意識とウルトラファストファッションの関係
「ごめんね消費」とは、Z世代をターゲットに企業が行ったアンケート調査から浮かび上がってきた消費性向を指す言葉だ。
まずはZ世代が持つ環境意識と、ウルトラファストファッションと呼ばれる安価な衣類の関係について見てみよう。
■ごめんね消費の由来となったZ世代の環境意識とは
Z世代とは、1996年から2012年までに生まれた世代を指す。ゆとり世代(1987~2004年生まれ)とは一部境界を接しているものの、義務教育を受けた期間が異なり、考え方や働き方の面でも異なるとされる。
環境への意識においても、Z世代は京都議定書(1997年採択)からSDGs(2015年開始)にいたるまで地球環境問題が熱心に議論された時代を過ごしており、自分たちの将来に向けて環境に配慮した消費活動をしたいというニーズが強いと言われる。
■ごめんね消費は環境に悪影響がある物品を購入する罪悪感
このように環境問題への関心が高いZ世代だが、調査機関「デカボLab」が実施したアンケート調査によると、約74%は環境に悪影響を及ぼすウルトラファストファッションの購入経験があると回答し、約52.3%はウルトラファストファッションの問題点を意識しつつも購入してしまうと回答している。
参考:【Z世代の環境意識調査】ウルトラファストファッションの誘惑に揺れるZ世代。環境影響を認識しつつも半数以上が続ける「ごめんね消費」をデカボLabが調査
ごめんね消費の由来であるウルトラファストファッションとは?
では、ごめんね消費の言葉が生まれた原因とも言えるウルトラファストファッションとはどのようなものか見てみよう。
■ウルトラファストファッションはオンラインで購入できる安価な衣料ブランド
ウルトラファストファッションとは、1着1,000円前後でネット購入できる衣料ブランドを指す。安くておしゃれなデザインの服が多く、若年世代を中心に人気を集める一方で、安価な商品価格を実現するための大量生産、環境に有害な化学物質の使用、劣悪な労働環境といった問題点が指摘されてきた。
■Z世代の7割がウルトラファストファッションの購入を経験
先に挙げた「デカボLab」の調査によると、Z世代のウルトラファストファッションの利用率は高く、全体の7割に購入経験がある。そのうち約15%は、月に1~4回以上の高頻度でウルトラファストファッションを購入すると回答している。
■ウルトラファストファッションの問題点はZ世代の約5割が認識
一方、ウルトラファストファッションの環境への悪影響については、Z世代の約55%が「知っている」と回答。自分の購買行動が地球環境に良くないと思いつつも、安さや魅力あるデザインに惹かれて買ってしまうと答えており、この罪悪感が「ごめんね消費」の言葉の元になっている。
■環境に配慮したサステナブルファッションは価格とデザインがネック
環境に悪影響があるウルトラファストファッションが認知されている一方で、環境に配慮した素材や廃棄衣料のリユース体制を整えているサステナブルファッションについてもZ世代の認知度は高い。
ただし、環境に優しいというイメージの一方で、サステナブルファッションには「価格が高い」「デザインがいまいち」といったイメージも根強く、こちらも価格とデザインが消費者の購買行動に影響していると言える。
ごめんね消費の使い方や言い換え表現・対義語は?
ここまで見てきたように、「ごめんね消費」は、消費者(主にZ世代)の購買行動を指す言葉だ。そのため、ファッション業界やマーケティング業界以外の分野にいるとなじみがないと感じる人も多いはず。
「ごめんね消費」をどのような場面で使うか、別の言葉で言い換えるとしたらどのような表現が適しているかを知っておくと役に立つこともあるはずだ。
■ごめんね消費はどんな場面で使う?
ごめんね消費は、Z世代の購買行動が元になって生まれた言葉だが、環境問題に関係があるのはZ世代ばかりではない。他の世代であっても安くておしゃれなウルトラファストファッションに魅力を感じ、罪悪感を覚えながら購入している人は多いだろう。
「ごめんね消費」を実際に使わないとしても、言葉の意味と、その背景にある経済問題・環境問題を知っていれば、様々なシーンで話題にできるはずだ。
【ごめんね消費を使った例文】
- 「洋服はついネットで安い物を買ってしまうけれど、こういうのを『ごめんね消費』っていうんだってね」
- 「このあいだ、娘から『うちはごめんね消費が多すぎない?』と注意されたよ」
■ごめんね消費を他の言葉に言い換えるとしたら?
ごめんね消費は、「環境に悪い物を安さに惹かれて購入する罪悪感を含んだ消費行動」を意味する言葉。これらの要素をすべて含む言い換え表現は残念ながらない。しかし、「価格は安いが品質的に劣る物を購入する」という意味を持つ言葉は昔からいくつかあるため、チェックしておくと良いだろう。
- 安物買いの銭失い(やすものがいのぜにうしない)
- 安物は高物(やすものはたかもの)
- 安かろう悪かろう(やすかろうわるかろう)
これらの言葉はいずれも「価格につられて安い物を購入すると、すぐに壊れたり使わなくなったりして結局は高くついてしまう」という意味になる。値段の安い物は質が悪いことが多いという戒めを含んだ言葉と言えるだろう。
「ごめんね消費」に特徴的な消費に対する罪の意識は感じられないものの、類語として覚えておくと役立つケースもあるはずだ。
■ごめんね消費の対義語は「サステナブル消費」
ごめんね消費の対義語(反対の意味を持つ言葉)は、サステナブル消費となる。サステナブル消費とは、地球環境に配慮した消費行動を指す。たとえば以下のような消費行動がサステナブル消費の代表だ。
- 廃材や廃油などを利用して作られたリサイクル商品を選ぶ
- 耐久性が高く、廃棄品のリサイクル体制も整ったファションブランドの服を購入する
- 水産資源の保全を元に、適切に捕獲された魚介類を買う
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部