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バナナを炭にしたらスゴいことに!ドールが手がける「バナナ炭」に秘められた可能性

2025.02.06

生産地で土壌改良剤として活用を検討していた「バナナ炭」に着目

「バナナ炭」の商品開発を担当しているドールの出田大樹氏によると、皮にキズがあるバナナやサイズが規格外で日本の流通に乗らないバナナ、形がいびつなため消費者が手に取りにくいバナナなどは、生産地のフィリピンで選別時に「規格外」とされてしまう。その選別で廃棄されるバナナのうち、食用にして問題ないものはスイーツやドリンクに生まれ変わって活用されている。問題は、実割れしたり、折れたり、病気にかかったりして食用に適さないバナナ。その用途を模索する中でドールが着目したのが、フィリピンの生産地で土壌改良剤として活用を検討していた「バナナ炭」だったという。

日本でこれまで用いられてきた炭は、目の詰まった木材から作られるため、ほとんどが植物繊維。それに対してバナナから作られる「バナナ炭」はほとんどが炭水化物のため、これまでの炭と大きく異なる特色がいくつもあるという。

「バナナ炭」

特長(1)…軽さ

日本では一般的に、密度が高く重量感があるのが良い炭の特徴とされている。例えば良質な炭の代表格である「紀州備長炭」に用いられる樫の木は非常に硬く、水にも沈むほど重い木。調理に必要な量を持ち運ぶには労力が必要となるが、「バナナ炭」は非常に軽いので、持ち運びがラク

筆者も実際に持ってみたが、(水分が抜けているせいか)普通のバナナよりもさらに軽く、ほとんど重量を感じないほどだった。これなら、キャンプなどに持参するのがラクそうだ。

特長(2)…短時間で火を熾(おこ)せる

炭は火を熾すのが難しく、素人ではなかなか熾せない上、調理に使えるほどの火力を得るには50分から1時間ほどかかる。

しかし「バナナ炭」は素人でも簡単に火を熾すことができ、10分から15分ほどで調理できるようになり、その後、30分ほどは燃焼し続ける。自身でもBBQで試したという出田氏は「肉や魚は本格的に木炭で焼きたいという場合に、炭が熾るまでの時間を『バナナ炭』などで野菜や薄い肉などを焼きながら待つという使い方もできるのではないでしょうか」と語る。

特長(3)…マイルドな火力

スロースターターだが、いったん火が付くと火力が強くなり、あっという間に焼きあがるのが木炭。それだけに焼き始めたら一瞬も目が離せず、ちょっと油断をすると黒焦げになってしまう。それに対して「バナナ炭」はマイルドな火力なので、落ち着いて調理ができるというメリットも。

「お酒を飲んだり語り合ったりしながら、ゆっくりBBQを楽しみたいという場合に、『バナナ炭』は最適だと思います」(出田氏)

特長(4)…使用後に環境に負荷を与えにくい

硬い炭は繊維が積み重なって締まっているため、BBQなどで使用し終わった後も固形として残ってしまう。しかも重いため、持ち帰らずに放置されがちだし、回収するのも大変。地面に直接放置された場合に分解されるのにも、時間がかかる。

一方「バナナ炭」の場合はほぼ炭水化物なので、燃え終わると粉々にくずれる。だから使用後も処分しやすく、持ち帰りにも抵抗がなくなるのではと期待できる。

特長(5)…形状の面白さ

もしかしたら最大の特長と言えるかもしれないのが、バナナそのものの形のユニークさ。SNS映えしそうだし、子どもたちも興味を持って火熾しを手伝ってくれるかもしれない。

最大のネックは価格だが…

ドールでは、今年のアウトドアシーズンの発売を目指しているとのことだが、気になるのは価格。木炭は3kgで500円~1000円前後だが、「『バナナ炭』は非常に軽く主成分も違うため、重量あたりの単価は通常の木炭と比較して高くなるかも」(出田氏)

そうした価格では比較できないバナナ炭の特長を活かすために、ドールでは燃料以外の用途も模索している。そのひとつが、脱臭剤・調湿材としての使用。炭の表面には小さな穴がたくさん空いていて、そこに水分や臭いなどさまざまな物質を吸着する性質がある。

炭を部屋に置くと、不快な臭いを吸着するだけでなく、湿度が高い時は水分を吸収し、湿度が低くなるとそれを放出して、湿度を調節してくれる。また家畜の飼料に混ぜれば細菌を取り込んで排出し病気を防ぐし、地力が低下した土に混ぜると、土の保水性や透水性を高め、土中の微生物の繁殖力を高める土壌改良効果も期待できる。炭と比べて粉砕が容易なので、飼料や土壌改良剤としても安価で生産できるのではないか。

普段はインテリア小物、非常時には燃料になる、“フェーズフリー炭”も可能⁉

消臭・防湿効果のあるインテリア小物として炭そのものを使っているのをよく見かけるが、同じ炭なら「バナナ炭」の見た目のほうがいい。筆者が思いついたのは、普段は防臭・防湿効果のあるインテリア小物として身近に置き、被災してガスや電気が止まった時にすぐに着火できる燃料として使用する使い方。

30分くらいは火力のピークが続くというから、ご飯を炊くくらいはできそうだ。防災グッズは目立たせたくないが、いざという時にすぐ手が届くところに置きたいというアンビバレンツなニーズにぴったりではないだろうか。今注目されている「フェーズフリー」(身のまわりにあるモノやサービスを、日常時はもちろん非常時にも役立つようにデザインしようという考え方:関連記事「おもちゃの防災用品!?非常時に役立つフェーズフリー玩具・ビッグテグミー」を具現化したアイテムになるのでは。そうした使い方なら価格の問題はクリアできそう。

「もったいないバナナ」を使った製品は今後も次々に発売予定で、2025年1月14日には、エシカル・スピリッツ株式会社から、「もったいないバナナ」を使ったオリジナルのジン「CACAO BANANA ÉTHIQUE(カカオバナナ エシーク)」が数量限定で発売されている。ドールは「もったいないバナナ」の有効活用の拡大により、日本市場での年間販売量を数年後に5000トン程度(2023年度実績の約900トンの5倍以上)に増やす方針を示している。

秋田県「飛良泉本舗」の酒粕焼酎をベースに、チョコレートを作る工程で残されるカカオの皮の部分「カカオハスク」と「もったいないバナナ」を組み合わせた大人のチョコバナナ風ジン「CACAO BANANA ÉTHIQUE(カカオバナナ エシーク)」(375ml、税込み3,300円)

取材・文/桑原恵美子

取材協力/株式会社ドール

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