中学校の男子生徒に家庭科が必須科目となったのが1993年。翌年から高校で家庭科の男女必修化が実施された。現在、32歳以上の男性は、料理や裁縫などの生活で必要な最低限のハウスキーピング・スキルを身に着けた上で、社会進出している。こうした、家事能力があり、さらにメンタル面でも自立&自律できる男性をジリメンと呼ぶようになってきた。
婚活市場でも年収やルックス以外に、ジリメンであるかどうかが大きなポイントとなっている。婚活中の女性を対象にしたSNSでは「今回はジリメン率ゼロ」などと書かれているなど、婚活女性はパートナーにジリメンを求めていた。家庭生活において、妻に依存することなく夫婦対等な関係でいられるジリメンが、夫として最適だと考えているのである。
理想の夫像になりつつある「ジリメン」
ジリメンの定義は難しいが、家庭では一通りの家事をこなすことができて、自分のメンタルを自分で調整できる男性がジリメンと呼ばれているようだ。特に職場でストレスを受けても家庭に持ち込まない男性や、落ち込んでも自分一人で何とか立ち上がることができるメンタルの強い男性を、女性は期待している。これは新しい理想の男性像と言えるかもしれない。ジリメンは時代が生んだ、次世代の理想の夫像なのだろう。今回はジリメンを求める女性の気持ちを分析してみた。
理由1:女性の社会進出と共働き世帯の増加
夫婦共働きが6割を超え、女性が働きながら子育てをする社会に変化した。昭和であれば、サザエさんの様に夫は働くだけ、妻は家庭と子育てという分業が成り立ったが、令和の今は妻もフルタイムで働くし、夫も子育てに参加しなければならない。
ジリメンであれば、妻が不在でも家庭は維持できるし、日常生活で妻の負担は大きく軽減される。料理・子育て・掃除・洗濯と、家庭では女性の役割はどうしても大きくなる。せめて夫が自立して、自分の分だけでも食事を済ませて、身の回りを掃除し、洗濯をして欲しい。働く女性のパートナーは、ジリメンでなければ成り立たなくなってきた。
理由2:ストレス社会を生き抜くメンタルの強さ
うつ病患者が増え、職場でも精神疾患で休職、退職する人が身近になってくると、心の病への関心は高まってくる。幼い子供を抱えて、精神疾患の夫を支える苦労を想像した時、ジリメンのように自分で自分の機嫌を取ることができる男性は頼もしい。
また、実家や先輩や上司など、他者の影響を強く受けている非ジリメンだと、子どもや妻が他者の犠牲になることもある。夫婦で解決すべき問題なのに、両親や兄弟姉妹の意見を優先させてしまったり、先輩・後輩といった学生時代のヒエラルキーをそのまま引きずって家庭に持ち込む。血縁に依存せず、自立できているジリメンは、そうした失敗を犯さない。
さらに、精神的に成熟し、自立した男性ならば、自分がされて嫌なことや嫌いなものははっきりと拒絶できる。意見の相違で崩れる関係性など、たいして重要ではないと、経験で知っているからである。こうした人間としてのタフさが、メンタルの強さにも繋がっている。
ストレス社会の荒波を乗り越えることができるジリメンは、強い。そうした強さを、女性はパートナーに求めているのである。
理由3:夫婦の基軸が「愛」になる
夫婦二人が自立した存在であればあるほど、夫婦を結びつける「愛情」が重要度を増す。特に女性が経済的に依存しなくてもよい時代になると、離婚も簡単にできてしまう。でも、夫がジリメンだったら、互いに夫婦という関係にある理由が、愛情にあることをより強く感じられる。愛があれば相手を慈しみ、尊敬し合う関係を築くことができる。
ジリメンならば「愛」を主軸にした夫婦関係が築けると、女性は考えているのである。自立していれば、一人で生活することは可能である。一人でも生きられるけれど、愛すればこそ、夫婦でいたい。この相手でなければ、夫婦でいる意味がない。互いにそう感じる幸せがある。
あなたのジリメン度チェック
もう妻がいなければ子育てできない夫や、妻が寝込んだら実家に帰る夫は要らない。夫婦である理由がはっきりしていて、女性が幸せをより強く感じられる相手がジリメンなのである。今回はあなたのジリメン度はどれくらいか、簡単なチェックリストを作成したので、試してみよう。
メンタル面でのジリメン度)
ひとりで行ける酒場やレストランがある
「これをやっていればご機嫌」なことが5つ以上ある
ゲームや読書など、一人で完結できる趣味を3つ以上もっている
子どもの頃、ペットの世話をしていた経験がある
独りでいることが苦にならない
怒りに任せてドアを蹴ったり、相手を殴ったことがない
間違ったことをして謝るのは普通で恥と思わない
過激に攻撃するのは嫌いだ
家族や友人に頼らず悩みを解決できる
愚痴や文句を言わずに我慢できる
生活面でのジリメン度)
自宅でご飯を炊くことができる
洗濯機を使いこなすことができる
使い終わったトイレットペーパーの芯はすぐに捨てる
アイロンがけができる
週に1度以上、部屋の掃除をしている
母親がやっていたのと同じレベルの家事をパートナーに求めない
財布やカバンの中身は整理されている
「おかずは5品」などの食事に対する強いこだわりがあまりない
家事は労働であると認識している
ゴミ捨てなど自分が担当している家事がある
メンタル面・生活面すべてYesなら100%完璧ジリメン。それぞれ5点以下が非ジリメンである。あなたも今日からジリメンを目指してみては?
文/柿川鮎子