平成カルチャーの中で巡るトレンドと未来
平成カルチャーの中でも、ある時はギャルが注目され、またある時は女児カルチャーが一斉に盛り上がるなど、トレンドは巡回しながら膨らんでいる。ここでは、平成の枠組みで絶え間なく回帰する流行のサイクルと、他ジャンルとの融合がもたらすムーブメントを探っていく。
■平成の枠内で巡る流行のサイクル
もちろん、平成カルチャーは「女児」だけではない。90年代ギャルやY2Kファッション、キャラクターを含め、さまざまな要素が平成という大きな枠組みの中で盛り上がり、回帰を繰り返している。
ギャルカルチャーの中で流行したハローキティのピンクキルトシリーズ(Tajimaxさん提供)
「平成カルチャーのなかでもトレンドが細分化し、それぞれが盛り上がっています。女児カルチャーが盛り上がっているとはいえ、その前の世代であるギャルカルチャーや90年代カルチャーも引き続き流行している。例えば、90年代に流行したハローキティのピンクキルトシリーズはいま、韓国で人気を博しています。K-POPアイドル風の衣装に近い雰囲気があるからです」(Tajimaxさん)
セガのキッズカードゲーム『オシャレ魔女 ラブ and ベリー』展覧会の様子
ほかにも、20周年を記念した展覧会が好評を博した『オシャレ魔女 ラブandベリー』では、Y2Kファッションが登場するため「エモ可愛い」と人気を後押ししている。このように、地域や文化、時流などさまざまな要因が絡み合ってブームが盛り上がっているのだ。
女児たちがこぞって集めた『オシャレ魔女 ラブandベリー』グッズ(Tajimaxさん提供)
■“平成女児”というジャンルが確立する未来
平成女児カルチャーは今後どのように発展していくのか。
「平成のなかでも、2000年代初期か、2010年代前半かなど、時期によってカラーが異なるため、その時代ごとの復刻が繰り返されることが予想されます。さらに、どこかで別のカルチャーと合流すれば、また新たなヒットが生まれるはず。まだ流行のカテゴリーにありますが、2025年くらいから“平成女児”という単語がジャンルとして定着していくのではないかと予想しています」。
90年代カルチャーがK-POP人気と結びついて注目されているように、平成女児カルチャーも今後多様なジャンルと組み合わさることで、さらなる盛り上がりを見せていくのだろう。
さらに、昔のアイテムが現代の大人の趣味や行動とマッチして流行することもあるそう。例えば、平成初期に誕生した電子ペットや人形が「ぬい撮り」ブームと結びつき、流行する兆しがある。ぬい撮りとは、街や旅先でぬいぐるみの撮影を楽しむもので、SNSとも相性が良い。
「2025年は区切りも良い年ですし、2010年代に活躍していたアーティストが新しい曲を出す予感もある。そういうタイミングでまた“女児カルチャー”と合わさる可能性は大いにあると思います」(Tajimaxさん)
レトロでもなく最新でもない――20年の時を越えて再来した“可愛くてノスタルジック”な平成女児カルチャーが今後どんな進化を遂げるのか。これからもこの旋風を追いかけたい。
取材・文/岡田瑛穂