スイスの家庭教育から得られるヒント
我が子の可能性を最大限に伸ばしたい。それは親共通の切なる思いだ。スイスの家庭教育から得られるヒントとは? 田山氏は次の4つを挙げる。
1.自立心を育むために「子どもに任せてみる」
「まず『子どもに任せてみる』姿勢が挙げられます。子どもが自ら考え、動く機会を増やすことで、責任感や自主性が育ちます。例えば、簡単な朝食や服の準備など、自分でできる作業を習慣付けると、自信と達成感を得られるでしょう」
2.自然と関わる時間を積極的にとる
「次に『外で過ごす時間の確保』です。スイスでは年齢問わず自然環境に親しむ機会が多く、体を動かしながら学ぶことで、心身ともにバランスの取れた発達が期待できます。日本でも公園や近所の自然を活用し、小さな探検や四季の変化を体感する時間を作るようにすると、子どもたちの発見力や好奇心が一層高まるはずです」
3.家族との時間を尊重する姿勢を持つ
「『家族の時間を優先する姿勢』も見習いたい点です。スイスでは、子どもは子どもらしく遊ぶことが推奨され、多くの小中学校では宿題が出ません。放課後や週末は、塾や習い事が当たり前の日本では、どうしてもスケジュールが詰まりがちです。夕方や週末はなるべく家族で過ごし、子どもの話にじっくり耳を傾けることで、安心感やコミュニケーション力を育むことができるでしょう」
4.失敗したら解決策を一緒に見つける
「スイスの親や教育者は、子どもの失敗を『成長の一環』としてとらえます。失敗を叱責するのではなく、その背景を一緒に考え、解決策を見つけるプロセスを支援します。この姿勢は、日本の『失敗を避ける教育』とは対照的であり、子どもの挑戦心や創造性を育むヒントとなります」
日本人がスイスのボーディングスクールに通うメリット
田山氏が斡旋しているスイスのボーディングスクール(寄宿学校)は、世界各国の富裕層やエリート層の子どもたちが集まる国際色豊かな教育機関。多言語環境や少人数制、質の高い教師陣が揃う環境から、学力はもちろんのこと、人格形成やリーダーシップを育む場としても高い評価を得ているという。
また周辺は治安が良く、自然に恵まれた立地も魅力。アクティビティを通じて心身のバランスが養いやすいそうだ。
日本人の子どもがボーディングスクールに幼少期から通うことにはどんなメリットがあるか。
「まず、語学力の向上が挙げられます。英語だけでなく、フランス語やドイツ語といったヨーロッパの主要言語に触れる機会も多いため、多面的なコミュニケーション力を身につけやすい環境です。
さらに、世界中の同世代が寝食を共にする環境で異文化を肌で感じ、自分の価値観を相対化できるため、将来的にグローバルな視野を持った進路選択がしやすくなります。
こうした学習環境と生活体験は、日本の学校ではなかなか得られない広い世界観を身につける大きな一歩になります。また、ボーディングスクール時代につちかった友情は、このインターネット時代では一生保つことができ、世界中に広がる各国の要人たちとの人脈は、はかり知れない財産となることでしょう」
スイスは、日本からは少し遠い国ではあるが、親や教育関係者が持つ、子どもの可能性を大切に育む姿勢は変わらない。日本に根付く教育の良さを活かしながら、ヒントとして取り入れたいものだ。
画像提供/田山貴子氏 取材・文/石原亜香利
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