物価高で生活費や負担を少しでも節約するために、生命保険料を見直すのも一案だ。現在加入している保険の見直しのほか、これから加入する際にできるだけ費用を抑えたい。
今回は、この物価高時代に、損しないための保険選びのコツについて専門家に聞いた。
知らなきゃ損する保険の知識
今回、話を聞いたのは2024年4月にネオファースト生命保険株式会社 代表取締役社長CEOに就任した上原高志氏だ。大手銀行から電子記録債権、金融デジタルソリューションの分野を経て、保険業界に参入。小売アナリストとして経営者1,000名へのインタビュー経験を持つなど、金融やビジネスの全般に詳しい。
30~40代ビジネスパーソンが、いまの物価高時代に生命保険や医療保険に加入する際に、知らないと損する知識を聞いてみた。
【取材協力】
上原 高志氏
ネオファースト生命保険株式会社 代表取締役社長CEO
東京工業大学工学部卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)に入社。日本電子債権機構株式会社、ロンドンビジネススクール留学、三菱東京UFJ銀行 イノベーション・ラボ所長を経て2017年にJapan Digital Design株式会社 CEOに就任。 2021年にはSOMPOホールディングス株式会社 デジタル戦略部チーフエバンジェリストに就任し、2024年に現職のネオファースト生命保険株式会社 代表取締役社長に就任。
日本初の電子債権事業の立ち上げと収益化(流動5兆円、収益80億円) 、国内外で100億円を超えるVC投資を通じたスタートアップ支援、小売アナリストとして7年で1000名を越える経営者をインタビューした経歴を持つ。
1.治療費などの費用を把握しておく
「物価高が続けば、治療費やその他に付随する費用も高くなっていきます。毎月の保険料を無理のない範囲に抑えることも重要ですが、いざというときに必要な費用をきちんとまかなうことができるのかを考えることが何より必要です。そのためには、今の時代、どのような治療にどれくらいの費用がかかるのかを知ること。そして実際に給付金が支払われる条件を細部まできちんと理解しておくことが肝心です」
2.「身近な」リスクへの備えも重要
「『遠い将来』への備えというとらえ方も重要ですが、忙しい30~40代では、『身近な』リスクへの備えも必要です。使える保険を検討する際に重要な視点の1つに『インターバル期間』というものがあります。これは、例えば『入院一時給付』を受けた後、次に給付を受けるまでに必要な期間のこと。30日、60日、90日、180日、365日等、保険によってさまざまです。例えば365日インターバルでは、年に一度までしか一時給付が受けられず、1年以内に再入院した際には同一の入院とみなされ、給付対象外となります。
現在、医療現場では、『入院期間の短期化+再入院』の増加傾向があり、過去10年間で6週間以内の再入院率は約1.5倍で、約5.5人に1人は再入院している現状があります。当社は業界トップクラスの30日インターバルを実現し、約80%(180日だと約45%)の複数回入院での一時給付金支払いに対応可能(当社調べ)です」
3.保険の日常的に利用できるサービスを積極利用
「保険は、一般的に契約者が日常的に利用できるサービスも提供しています。有事の際に給付金・保険金を受け取るだけでなく、そのようなサービスも積極的に利用していくことで、普段から保険に加入しているメリットを得ることができるでしょう。保険が、万が一の不安だけでなく、もっと身近で小さな心配事にも対応してくれるとすれば、日々を安心して豊かに過ごせるはずです。我々は、そういった存在になるべく、昨年10月にコーポレートビジョンを『“生命保険から人生保険へ” 小さな人生不安にも、向き合う保険サービスを。』に刷新しました。」
具体的には、次のようなサービスがあるという。
・24時間医療相談ができる窓口
「健康に不安があるときや病気になったときなど、まず専門家と相談することができる窓口です。最短の方法を検討できるため、その後にかかる費用を抑えることができるでしょう。当社が提供しているサービスでは、健康・医療相談だけでなく、医療機関情報の提供や、介護・育児に関する相談、メンタルヘルスに関する相談なども可能です」
・セカンドオピニオンの紹介無料
「セカンドオピニオンとは、担当医以外の医師へ意見を聞いて、情報を収集すること。どのように実施すればいいのかわからない場合に無料で紹介を受けられるサービスです。自分で病院を探す手間を省けます。
当社が提供しているサービスでは、各疾患領域で専門的治療に取り組む全国の医療機関、豊富な知識・経験を有する医師(総合相談医)へ面談でのセカンドオピニオンを手配できます。オンライン面談も可能です」
生命保険の加入・見直しで気をつけること
これから30~40代が生命保険に加入・見直しをする際には、どんなことに気を付けるべきか。
「保険料が安いからという観点だけでなく、治療やその他にかかる費用を適切にまかなうことができるかという視点も必要です。
給付金の請求手続きの利便性・迅速性や、アフターフォローの充実度など、加入時には把握・確認しづらい部分についても目を向けることで、加入後の満足度が変わってくることもあります。自分で調べることはもちろん、保険ショップや代理店、営業職員など保険の専門家の意見も聞きながら最適な保険を選ぶのをおすすめします」
物価高で家計が厳しい今だからこそ、保険は慎重に選択するべきといえる。ヒントとして役立てたい。
取材・文/石原亜香利