コロナ禍が完全に明け、“当たり前”の生活が戻ると考えられた2024年の今年の漢字には「金」が選ばれた。明るいニュースもあった反面、過去最高の猛暑を記録するだけでなく、慢性的な物価高・賃上げ問題や新紙幣の発行、総裁選を含む政治問題など、社会人の生活を揺るがす出来事も目立った1年となった。
そこで、パーソルキャリアが運営する調査機関「Job総研」はこのほど、「はたらく社会人の本音」をテーマに「第3回 Job川柳」を実施し、全253作品から最優秀賞を含む受賞作品を経済・社会部門に分けて決定した。
審査基準は過去同様、“時事性・社会性・共感度・ユーモア”に観点をおき、部門ごとの金賞・銀賞・銅賞、そして総合の最優秀大賞1作品を決定した。
2024年の満足度、73.9%が「満足」と回答
回答者全体の253人に2024年の満足度を聞くと、「とても満足」が9.8%、「満足」が27.7%、「どちらかといえば満足」が36.4%となり、73.9%が満足と考えているとわかった。
年代別では、20代の「満足派」が80.3%で最多となり、次いで30代が74.2%、40代が71.4%、50代が63.7%という結果になった。
2025年に注目する分野、「経済分野」が76.3%で最多に
回答者全体の253人に2025年に生活全般で気になる分野を聞くと、「経済分野」が76.3%で最多となり、次いで「政治分野」が43.9%、「社会分野」が33.9%という結果になった。また、2025年に仕事や職場関連で気になる項目を聞くと、「賃上げ・ボーナス」が69.2%で最多となり、以下「AIの進化」が31.6%、「転職」「人手不足」が同率で30.0%と続いた。
最優秀賞受賞作品と選出理由
『第3回 Job川柳』では、「給料で 今日は贅沢 明日節約」が最優秀賞受賞作品に選出された。回答者全体の76.3%が経済、特に賃上げに注目しているように、長期間に渡る賃上げ・物価高問題は、2024年においても1年を象徴するトピックの1つとなった。
このような状況で、”贅沢”という特別感を望む本音がある一方で、”節約”を余儀なくされている現実との対比が、2024年の社会人の苦労や生活の実態を窺わせる内容となっており、2025年のはたらく社会人の本音を表す作品として選出された。
経済部門受賞作品と選出理由
経済部門受賞作品では、共通して賃金や物価高にまつわる社会情勢を反映させた作品が選出された。賃金は上がっているものの物価高の勢いは2024年においても止まず、社会人の生活に大きな影響を与えたことから、日本経済の記憶や記録にも新しい問題となっている。
金賞作品には「お小遣い 年収の壁と 妻の壁」が選出された。自身のお小遣いを握る妻の壁を、昨今注目が集まる“103万円の壁”と並べた構成により、社会人の金銭事情が社会情勢における不自由度と共にリアルに表現されている。
銀賞作品の「なつかしき ランチタイムに ワンコイン」は、気軽に食べることができた時代からの変化を表している点が、社会人のリアルを反映しつつ、共感を呼ぶ作品として選出された。
そして銅賞作品の「はたらけど 野菜が食えん 米食えん」は、令和の米騒動や猛暑による野菜の値上がりなど、物価高が“食”という身近な実生活に影響している状況を、社会情勢とともにユーモアな表現で構成された作品として選出された。
社会部門受賞作品と選出理由
社会部門では、2024年に話題になった「政治」「ハラスメント意識」「管理職」にまつわる作品が選出された。2024年は、社会人の“生活”に大きく関わる都知事選や総裁選が行われただけでなく、流行語対象に「ふてほど」が選ばれるなど、世代ごとのハラスメント意識により”職場コミュニケーション”の価値観が見直されるきっかけも生まれた。そして、若者や女性が管理職を希望していない実態も明らかになるなど、さまざまな立場から見る社会問題に本音が集まっている。
金賞作品の「派閥知る 初めは様子見 どこにつく」は、総裁選や裏金問題など、社会人の注目を集めた“政治”が職場でも行われている様子が”派閥”というワードから想起され、戸惑いとともにリアルを感じさせる内容として選出された。
銀賞作品の「気にしすぎ 距離感迷子の うちのボス」では、多くの〇〇ハラが登場した2024年の情勢を踏まえ、ハラスメントを意識しすぎる上司が部下からの客観的な視点及び、“迷子”というユーモアな表現によって描かれている様子が、社会性や共感を呼ぶ作品として選出された。
そして銅賞作品の「管理職 なれないつらさと なるつらさ」では、管理職になりたくない若者や女性が増加していると言われる中、実際の管理職の立場としての本音が描かれた。“成れない”と”慣れない”辛さも経験した上で、現在は“成れた”辛さを感じている様子が社会性や管理職層の共感を呼ぶ作品として選出された。
<概要>
応募対象者:現在職を持つJobQ Town(ジョブキュータウン)登録者
応募条件 :全国/男女/20~50代
応募期間 :2024年12月11日〜12月16日
有効作品数:253作品
構成/こじへい