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もし被害に遭ったら…弁護士が悪質ホストクラブの売掛金トラブル対処法を解説

2025.02.01

利用客が高額な売掛金を払えなくなった場合に、売春などによってお金を用意させる悪質なホストクラブが存在します。

担当ホストから性風俗店を紹介された、売春を強要されたといった場合には、速やかに公的機関の窓口へご相談ください。

1. ホストクラブの「売掛金」問題

ホストクラブでは、伝統的に「売掛金(うりかけきん)」という会計方法が用いられています。

売掛金とは、飲食代金をその場で支払わず、「締め日」と呼ばれる日にまとめて支払う会計方法です。

一般的には「つけ払い」などと呼ばれていますが、ホストクラブでは「売掛金」「売掛」などと呼ばれています。

売掛金で会計をすれば、今はお金がなくてもホストクラブを利用できる反面、締め日に多額の支払いが生じます。

1か月で数十万円、数百万円もの金額を支払い切れず、音信不通になってしまう利用客が少なくありません(「掛け飛び」などと呼ばれています)。

「飛んで」しまった売掛金は、担当ホストが負担して店舗に納めるルールになっているケースが大半です。そのため担当ホストは、何とかして客から売掛金を回収しようとします。

正当な手段で売掛金を回収することは問題ありませんが、中にはお金を稼がせるために性風俗店を紹介したり、売春を強要したりするホストもいるようです。

ホストクラブの売掛金については、店舗・担当ホスト・客の3者を巻き込んだ深刻なトラブルに発展するケースがよくあります。そのため最近では、売掛金を禁止するホストクラブが増えてきている状況です。

2. 売掛金回収のための性風俗店紹介や売春要求は違法!

職業安定法63条では、以下のような行為を禁止しています。

(1)暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段で、職業紹介をすること
(2)公衆衛生または公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介をすること

など

客の恋愛感情などに付け込んで、マインドコントロールを行ったうえで仕事に就かせることは、上記(1)の規制に違反します。

また、そもそも性風俗店や売春の仕事を紹介することは、上記(2)の規制に違反すると解されています。

したがって、担当ホストが売掛金を回収するため、客に対して性風俗店を紹介したり、売春をしてお金を稼ぐように要求したりする行為は違法です。

これらの行為をしたホストは「1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金」に処されます。また、ホストクラブの運営法人に対しても「300万円以下の罰金」が科されることがあります。

参考:悪質ホストクラブ対策について|厚生労働省

3. 悪質ホストクラブの被害に関する相談先

売掛金の回収などに関して、担当ホストやホストクラブの店舗から売春などの不当な要求を受けた場合には、速やかに以下の窓口などへ相談しましょう。

(1)消費者ホットライン(188)

消費者トラブルに関する相談を幅広く受け付けています。

参考:消費者ホットライン|消費者庁

(2)法テラス(日本司法支援センター)

弁護士に相談できます。利用に当たっては、収入と資産が一定水準以下であることが必要です。

参考:お電話でのお問合せ(法テラス・サポートダイヤル)|法テラス

(3)警察

担当ホストや店舗側による犯罪行為について、相談や被害届の提出などができます。最寄りの警察署に通報するか、または警察相談専用電話(#9110)に電話をしましょう。

参考:警察に対する相談は警察相談専用電話 「#9110」番へ|政府広報オンライン

(4)性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(#8891)

性犯罪や性暴力に関する相談窓口です。産婦人科医療やカウンセリング、法律相談などの専門機関と連携したサポートを受けられます。

参考:性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター|男女共同参画局

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
https://twitter.com/abeyuralaw

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