最近では「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」と呼ばれる犯罪組織による強盗事件が多発しています。
トクリュウが強盗を行う際には、闇バイトを募集して実行役やサポート役を担わせるケースが多いです。末端の役割であっても、強盗に加担すると重く処罰されてしまいます。
アルバイトだと思っていたのに強盗をさせられそうになったら、速やかに警察へ相談しましょう。
1. 「トクリュウ」による強盗事件が多発
「トクリュウ」とは「匿名・流動型犯罪グループ」の略称です。幹部がSNSなどを通じて参加者を募集し、メンバーを入れ替えながらさまざまな犯罪活動を行っています。
いわゆる「闇バイト」を末端の実行犯やサポート役として使い捨てにするケースが多いのが、トクリュウの特徴です。
最近では、トクリュウによると思われる強盗事件が多発しています。闇バイトとして軽い気持ちで強盗に参加したと思われる若い人が、相次いで警察に逮捕されている状況です。
2. 強盗に参加した場合に成立する犯罪
強盗に参加した人には、以下の犯罪などが成立します。
実行犯はもちろんのこと、サポート役も共同正犯(刑法60条)や幇助犯(刑法62条)として強盗の罪に問われます。
上表のとおり、強盗罪の法定刑は「5年以上の有期懲役」と非常に重いものです。
被害者などがけがをした場合や、死亡した場合は「強盗致死傷罪」となり、死刑や無期懲役の可能性も出てきます。
闇バイトなどに応募し、軽い気持ちで強盗に加担してしまうと、人生が台無しになってしまいかねません。
3. 強盗の闇バイトに誘われたら警察に相談を
強盗を計画しているトクリュウは、その意図を隠して闇バイトを募集しているケースが多いです。
応募してきた人の個人情報を聞き出した上で、途中でやめたり警察へ通報したりしたら家族や学校に報告するなどと言って脅し、半ば強制的に犯罪へ巻き込みます。
アルバイトだと思って応募したところ、強盗などの犯罪を計画していることが分かった場合は、すぐに警察へ相談しましょう。少しでも疑わしいと思った段階で、速やかに警察へ相談することが大切です。
トクリュウは家族や学校などを材料に脅してくる可能性がありますが、警察に相談すれば適切に対応してもらえます。最寄りの警察署に相談するか、警察専用電話「#9110」に連絡しましょう。
参考:警察に対する相談は警察相談専用電話 「#9110」番へ|政府広報オンライン
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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