
国内の米の消費量の減少が続く中、食料自給率の向上や水田の有効活用に役立つ「米粉(こめこ)」を利用拡大しよう、と農林水産省が推進している。
2024年4月より活動開始した同省の米粉営業第二課(通称:コメニ)では、現在までどのような取り組みを行ってきたのか。コメニの活動を支える同省の担当者に話を聞いた。
「コメニ」とは?
コメニは、部局横断的に有志職員が集まって結成された、米粉利用拡大のためプロジェクトチームのこと。かつてのテレビドラマ「ショムニ」を意識した呼び名のようにも思われる。
コメニの活動を見守ってきた農産局穀物課の石田嘉郎氏より、現在の状況について回答が得られた。
発足当初は11名だったが、現在は15名で活動している。メンバーは入省8年未満の20代若手職員を中心に、60代まで幅広年齢層で構成。各メンバーの本業部門は穀物、水産、種苗、食品加工や食品安全、地域連携、農業経営、人事総務など幅広い分野だという。
農林水産省には「政策Open Lab」という職員の自主的な活動を展開する取り組みがあり、コメニはその取り組みの一つ。特定の政策テーマについて部署横断的な知見を持ち寄り、既存の行政施策にはないアプローチによって、現行課題の新たな解決法等を模索していくことが狙いだ。
「米粉については、単なる小麦粉の代替利用というだけでなく、米粉の特徴を活かした利用方法を検討し、食品製造業、卸売業や外食・中食産業など、特にこれまで利用経験のない企業様にも利用していただけるように活動しています」(石田氏)
2030年の米粉用米の生産努力目標は13万トン
2014年度では2.5万トンだった米粉の需要量は10年後の2024年度に5.3万トン(約2.1倍)まで拡大。農林水産省では2030年の生産努力目標13万トンとして設定し、米粉の需要拡大に向けた各種取組を推進している。
「2025年度の需要量も、拡大していくものと考えております。また、コメニの企業への営業活動も米粉の利用拡大の一端を担っております」(石田氏)
米粉利用の提案先は100社超え。積極的なSNS活用も
現在に至るまでにコメニが接触している食関連事業者は、食品メーカー、外食チェーン、卸企業、街中のパン屋や料理店を含めて100社を超えたという。
学食や社食等の給食事業者には米粉レシピの検討を提案し、飲食店には米粉の特徴等を説明。食品メーカーには商品開発に向けた提案等を行ってきた。メンバーが実際に米粉を使って調理して利用方法を考える活動も行っている。
農林水産省の公式YouTubeチャンネルでは、コメニのメンバーに限らず若手職員による米粉ドーナツなどを手作りして米粉利用を促すショート動画の配信なども積極的に行っている。