■連載/阿部純子のトレンド探検隊
この数年、物価の上昇が続いており家計を直撃している。今年1月から4月にかけて3933 品目が値上げ予定(帝国データバンク調べ)で、原材料、エネルギー価格等の様々な要因でのコスト上昇も予想され、2025 年も断続的な値上げと節約志向を余儀なくされそうだ。
食材やおかずを冷凍してストックしておく「冷凍貯金」とは?
食材の価格が安いときにまとめ買いをして冷凍保存することも節約のひとつ。時短&節約を実現しながら、おいしく冷凍保存するためのコツを、“冷凍王子”こと西川剛史氏に教えてもらった。
【西川剛史氏 プロフィール】
冷凍生活アドバイザー養成講座 監修・講師、野菜ソムリエプロ。ベフロティ株式会社代表取締役、ゆとりうむプロジェクト理事、「冷凍貯金ラボ」アンバサダー。
大学で食品栄養学を専攻し、学生時代から冷凍食品に魅了される。冷凍食品メーカー、冷凍食品販売会社の商品開発部門などで勤務。冷凍食品会社で経験したことや独学での実験に基づく知識を生かし、現在は冷凍に関する第一人者として、テレビ・雑誌・ラジオなどでも幅広く活躍。著書に『西川剛史のおいしすぎる冷凍レシピ』(宝島社)など。
「『冷凍貯金』とは、食材やおかずを冷凍してストックしておくことで、忙しい毎日の暮らしにゆとりをうむ新習慣のことです。冷凍貯金しておくことで『時間』だけでなく、『栄養』や『お金』を貯めることにもつながります」(以下「」内、西川氏)
まとめ買いの時に実践!お肉ごとの冷凍&解凍テクニック
〇お肉ごとの冷凍保存法
<鶏もも肉・鶏むね肉>
■冷凍方法
1)1回に使う分ずつ、空気が入らないようにぴったりと「サランラップ」に包む。
2)「ジップロック フリーザーバッグ」に入れ、なるべく空気を抜き、ジッパーをしっかり閉めて冷凍保存する。
■解凍方法
常温だとドリップが出やすいので、氷水や流水、冷蔵室で解凍する。
「水っぽさや生臭みが気になる鶏もも肉や鶏むね肉は、1枚(250g)あたり塩小さじ1/3程度を目安に、鶏肉に塩をふり、全体によくなじませてから冷凍保存することでよりおいしく食べられます」
<豚バラ肉・薄切り肉>
■冷凍方法
1)表面についた水気をふき、なるべく重ならないようにして小分けにする。
2)空気が入らないようにぴったりと「サランラップ」に包む。
3)「ジップロック フリーザーバッグ」に入れ、なるべく空気を抜き、ジッパーをしっかり閉めて冷凍保存する。
■解凍方法
冷蔵室でゆっくり自然解凍するか、凍ったまま火を通す料理に加える。
<ひき肉>
■冷凍方法
1)1回に使う量をなるべく薄くして、空気が入らないようにぴったりと「サランラップ」に包む。
2)「ジップロック フリーザーバッグ」に入れ、なるべく空気を抜き、ジッパーをしっかり閉めて冷凍保存する。
■解凍方法
使う前日の夜や、使う日の朝に冷蔵室に移しておいて、解凍する。
「ひき肉を保存袋に入れてから箸で十字に跡をつけてから冷凍すると、凍ったままでも折やすく便利です」
〇おいしく食べるには食材に適した解凍方法が大切
「冷凍した食材をおいしく食べるためには、食材に適した解凍を行うことが大切。食材が氷結晶のダメージを受けやすい『-5℃~-1℃』と、食材を劣化させやすい常温の『10℃~40℃』が“魔の温度帯”と呼ばれています。
解凍時にこの温度帯をゆっくり通過すると、食材のおいしさが損なわれてしまいます。おいしく解凍するためには、加熱して一気に解凍する、もしくは魔の温度帯になりにくい温度で、かつスピーディーに解凍するのが理想的。食材に合った解凍テクニックを紹介します」
「冷蔵庫解凍」~多くの食品に向いている
解凍に時間がかかるが、低い温度で安定して解凍できる。使う前日の夜やその日の朝に冷蔵庫に入れておけば夕食の調理に使える。
「加熱解凍」~野菜や貝類などに向いている
凍ったまま高温で一気に加熱することで、食材のおいしさを損なう“魔の温度帯”を素早く通過できる方法。高温でできるだけ短時間で加熱するのがおいしく仕上げるポイント。
「氷水解凍」~生の肉や魚などに向いている
氷を入れることで水温が1℃程度になり、食材にダメージを与えにくい温度で解凍できる。低温でありながら水につけることで熱が伝わりやすく、早く解凍が進むのも利点。
「流水解凍」~生の肉・魚以外の多くの食品に向いている
氷水解凍より室温や水温の影響を受けやすく、多少品質が変化する可能性はあるものの、解凍がスピーディーにできるのがメリット。解凍時にダメージを受けやすい生の肉・魚をのぞいた、多くの食品に向いている解凍方法。
「常温解凍」~パン、和菓子、冷凍枝豆などに向いている
基本的に常温解凍は推奨できないが、パン、和菓子、冷凍枝豆は常温解凍だとおいしく食べられる。ただし解凍後はすぐに食べるようにし、常温で長時間保存するのは避ける。
「電子レンジ解凍」~加熱ムラが起こりやすいので「加熱解凍限定」で使う
電子レンジは解凍モードを使用しても解凍ムラが起こりやすいので注意。電子レンジを使う場合は、食品にラップをかけて中で蒸気を発生させ、一気に高温まで加熱する「加熱解凍限定」とし、途中で中身をかき混ぜて、加熱ムラを防ぐようにする。