小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

東京湾岸エリアにあるタワマンの価格が下がらない理由

2025.01.25

保有する不動産ビッグデータを元に不動産市況の調査を行なっているマンションリサーチから、東京都湾岸タワーマンションに関する独自分析リポート「東京都湾岸タワーマンションの価格が下がらない理由とは」が発表された。

同リポートによれば、東京都湾岸タワーマンションでは、都心5区を上回る価格高騰や、在庫増加にもかかわらず続く価格上昇など、従来の不動産市場の常識を覆す現象が起きているという。

本稿では同社リリースを元に、その概要をお伝えする。

2024年湾岸タワーマンション市場の大転換

■都心5区を上回る成約坪単価の推移

2024年6月、湾岸タワーマンションの成約坪単価が都心5区を上回る事態が発生した。これは不動産市場に大きな衝撃を与え、それ以降も湾岸エリアの価格は都心5区と同等かそれ以上の水準を維持している。

2024年11月の湾岸エリアの平均成約坪単価が601万円に達して、初めて坪600万円を超えたのだ。

この価格上昇は、特に有明や勝どき・月島エリアで顕著で、6か月連続で上昇を続けている。

背景には、湾岸エリアの再開発や交通インフラの整備、新しいライフスタイルへの注目などが考えられる。しかし、このような急激な価格上昇にはバブル崩壊のリスクや、将来的な価値の下落の可能性も考慮に入れる必要があるだろう。

■高需要を示す販売期間の短縮化

湾岸タワーマンション市場の活況を示すもう一つの指標が、販売期間の短縮化だ。2024年には、値下げの頻度が減少しているにもかかわらず、販売期間が短くなっている。

これは「出し値で(値下げしなくても)すぐ売れる」状況を意味しており、非常に高い需要があることを示すものだ。

この傾向は都心5区や23区全体でも見られるが、湾岸タワーマンションではより顕著となっている。例えば、ある物件が市場に出てから成約までの期間が、以前の平均6か月から3か月程度に短縮されているケースもある。

■値下げ頻度減少の背景

値下げ頻度の減少は、市場の強さを示す重要な指標だ。2024年の湾岸タワーマンション市場では、この傾向が顕著に見られた。

この背景には、以下のような要因が考えられる。

<高い需要>:購入希望者が多く、出値でもすぐに売れる状況
<売主の強気な姿勢>:価格下落を避けたい売主の意向
<物件の希少性>:新規供給が限られる中での既存物件の価値上昇

しかし、値下げ頻度の減少は必ずしも良いことばかりではない。市場の硬直化や、実需と乖離した価格形成につながる可能性もあるからだ。また、将来的な価格調整のリスクも高まるリスクもあるため、慎重な判断が求められる。

在庫増加と価格高騰の矛盾

■供給数増加の実態

湾岸タワーマンション市場では、2024年8月頃から在庫(供給数)が増加傾向にある。通常、在庫が増えれば価格は下落するはずだが、この市場では逆の現象が起きている。

この供給数増加の原因は以下の理由が考えられる。

<新規物件の増加>:再開発や新築プロジェクトの完成
<既存物件の流通>:所有者の売却意向の高まり
<投資用物件の増加>:資産運用目的での購入と売却

ただし、この「在庫増加」には実際に市場に出回っている物件だけでなく、売却意向はあるものの実際には動いていない物件も含まれている可能性があり、注意が必要だ。

■継続する価格上昇の要因

在庫が増加しているにもかかわらず、湾岸タワーマンションの価格は上昇を続けている。

この一見矛盾した状況には、いくつかの要因が考えられる。

<高い需要>:購入希望者が多く、競争が激しい
<低金利環境>:住宅ローンの借入れやすさ
<湾岸エリアの将来性>:再開発や交通インフラの整備への期待
<投資需要>:資産運用としての魅力

しかし、この価格上昇には需給バランスが崩れた場合は急激な価格調整が起こりかねないなど、潜在的なリスクもある。また、金利上昇や経済状況の変化によっては、市場全体が冷え込む可能性も想定できる。

■売主の強気な姿勢と市場への影響

湾岸タワーマンション市場における売主の強気な姿勢も、価格高騰の一因となっている。

多くの売主が売却を急いでおらず、希望価格で売れない場合は市場から引き上げる傾向がある。

ただし、この強気な姿勢がいつまで続くかは不透明で、経済状況の変化や、個人の事情により、急激に売却意向が高まる可能性もある。そのため、市場の動向を注視し続けることが重要だ。

経済学的需給関係との乖離

■在庫増加と価格上昇の共存

これまで見てきたように湾岸タワーマンション市場では、経済学の基本原則である需要と供給の法則から逸脱した現象が起きている。通常、在庫(供給)が増加すれば価格は下落するはずだが、この市場では在庫増加と価格上昇が同時に起こっているからだ。

この現象の背景には以下のような要因が考えられる。

<見かけ上の在庫>:実際には流通していない物件も含まれている
<強い需要>:購入希望者が多く、競争が激しい
<売主の強気な姿勢>:希望価格で売れない場合は市場から引き上げる

2024年8月以降、湾岸タワーマンションの在庫数が増加しているにもかかわらず、価格は高騰を続けており、2024年7月には成約坪単価が都心5区を上回った。この状況は、実際には「購入したいのに購入できない消費者が多い」という現実を反映している。

しかし、この状況が長期的に続くとは限らない。市場の調整機能が働き、いずれは需給バランスが取れる方向に向かう可能性がある。

■従来の市場理論との相違点

湾岸タワーマンション市場の現状は、従来の不動産市場理論とは異なる動きを示している。主な相違点は以下のとおり。

(1)価格の非弾力性:供給増加に対して価格が下がらない
(2)売主主導の市場:買主よりも売主の意向が強く反映される
(3)投機的要素の強さ:実需以外の要因が価格形成に大きく影響

れらの相違点は、湾岸タワーマンション市場の特殊性を示している。

しかし、この特殊性は市場の不安定さにも繋がり、急激な環境変化や経済ショックに対して、市場が脆弱であること示唆している。

投資家や購入検討者は、この市場の特殊性を十分に理解した上で、慎重に判断を行う必要がある。また、政策立案者や市場関係者も、この特殊な状況に対応した施策や対策を検討する必要があるだろう。

湾岸タワーマンション市場の特殊性

■売主の姿勢と在庫データの解釈

湾岸タワーマンション市場における売主の姿勢は、他の不動産市場とは大きく異なっている。多くの売主が売却を急いでおらず、強気な価格設定を維持している。

<売主の特徴的な姿勢>
高値志向:市場の上昇傾向を背景に、高い価格設定を維持
待機的態度:希望価格で売れない場合、売却を見送る傾向
投資的視点:値上がり益の最大化を重視

<この姿勢が市場に与える影響>
価格の下方硬直性:値下げが行われにくい状況
見かけ上の在庫増加:実際には流通していない物件も含まれる
市場の流動性低下:成約に至らない物件の増加

上記に加え、湾岸タワーマンション市場の在庫データは慎重に解釈する姿勢が求められる。表面上の在庫増加が、必ずしも市場の冷え込みを意味するわけではないからだ。実態を正確に把握するためには、市場に出回っている実際の流通量に注意が必要だ。

まとめとして

湾岸タワーマンション市場は2024年から2025年にかけて都心5区を上回る価格高騰や、在庫増加にもかかわらず続く価格上昇など、従来の不動産市場の常識を覆す現象が起きている。

特に注目すべき点は、成約坪単価の上昇、販売期間の短縮化、値下げ頻度の減少だ。これらは市場の活況を示す一方で、潜在的なリスクも含んでいる可能性がある。

また、募集価格と成約価格の差が拡大しており、高値売却を狙う強気の売主が増加している。この現象は市場の不透明性を高める要因となっている。

この特異な市場状況は、経済状況の変化や金利動向によって急激に変化する可能性がある。今後も市場の動向を注視しながら、慎重かつ柔軟な対応が求められている。

出典/マンションリサーチ株式会社「東京都湾岸タワーマンションの価格が下がらない理由とは」
https://t23m-navi.jp/magazine/news/wangan-towermansion-kakaku/

関連情報
https://mansionresearch.co.jp/

構成/清水眞希

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年12月16日(月) 発売

DIME最新号は、「大谷翔平研究!」。今年を象徴するDIMEトレンド大賞の発表や、Aぇ!group、こっちのけんと他豪華インタビューも満載!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。