アロハシャツの起源は日本人移民に
――とても素敵なアロハシャツですが、そもそもなぜアロハなのでしょうか?
櫻井さん アロハシャツの起源は日本の「着物」です。1900年代初頭に日本人移民が着物をシャツに仕立て直したのが始まりです。この物語をもとに商品コンセプトを決め、古物商のネットワークを活かして着物を集め、お母さん達と試行錯誤を繰り返し製品化しました。
――アロハシャツに仕上げる時、難しかった点とは?
櫻井さん 事業立ち上げ当初ですが、着物生地にハサミを入れるという習慣が呉服業界ではなかったので、縫製してくれる工場を探すのが大変でした。
みなさんご存じの通り、着物は直線で構成されており、糸をほどくと長方形の反物に戻ります。昔は長く着るとほどいて布がもろくなった場所を切って子ども用に仕立て直したり、最後は布団生地に仕上げるなどリサイクルを重ねてきました。生地にハサミを入れる習慣がなかったのです。
また、着物生地を合わせて一つの絵柄に合わせる作業が大変です。お母さん達のセンスに合わせ絵柄を合わせて一枚の絵のように裁断しております。
現在は分業で作業を行っており、着物を集める担当のお母さん、洗濯担当のお母さん、裁断担当のお母さん、生産管理のお母さんがいます。皆で助け合って作り出しているのがサムライアロハになります。
長袖シャツやジャケットはビジネスシーンでも着まわせるアイテム
――外国人からの引き合いも多いと聞いていますが、外国のお客様からの声は?
櫻井さん 現在店舗にいらっしゃる三分の一が海外からのお客様です。商品を見て、よく「こんなデザインは見たことない!」や「世界で一つしかないのが非常に良い!」と言われます。
逆に日本人のお客様には「黒留袖がオシャレ!」と言われることが多いです。
今後は芸術家の支援も
――着物以外の日本の芸術品にも注目されているそうですね?
櫻井さん はい、今の現状の美術界の仕組みでは美大を卒業しても芸術家になれる学生は少ないのが現状です。自分達は質屋古物商として美術品の保管や発送のノウハウがあり、サムライアロハでネット販売のノウハウもありますので、美術大学を卒業された方々の作品を販売するサイトを立ち上げようと思います。売上の10%を大学側に寄付することで経営難が多いといわれる美術大学に受験料や授業料以外の収益手段を出せる仕組みを作りたいです。
――ありがとうございました!
アロハシャツとなって蘇る着物の魅力。たった一点だけのオリジナルのシャツには、たくさんの人々の想いが込められていた。櫻井さんの取り組みからは、リサイクルに込められた夢や希望が伝わってくる。
SAMURAI ALOHA
所在地: 〒981-1104 宮城県仙台市太白区中田5丁目13−65 大黒屋南仙台店
インタビュー
代表櫻井鉄矢さん
文/柿川鮎子