海外旅行では「現地SIMカード」の購入が望ましい。いや、必須と言い切ってもいいかもしれない。
日本と同じようにスマホを使いこなすには、現地キャリアと一時的に契約してSIMカードを手に入れるべきだ。日本のキャリアのSIMカードを使い続けることもできるが、それでは結果として割高になってしまう。到着先の空港で現地キャリアのSIMカードを購入したほうが、手っ取り早い上に安いのだ。
しかし、ここで問題が発生する。日本で普段活用しているSIMカードを抜いてしまうということは、その電話番号がしばらくの間不通になるという意味である。これを回避するには、スマホが「デュアルSIM」に対応していなければならないが、やや古いモデルではSIMカードスロットが一つしかなかったりするのだ。
普段遣いの電話番号は止めてはいけない!
1月7日、筆者はタイ・バンコクのスワンナプーム国際空港にいた。
この日から10日間、筆者はタイを旅行することになるのだが、その前に空港で現地キャリアのSIMカードを購入した。手続きは極めて簡単で、ほんの5分程度でカードの入れ替え作業を終えることができた。
今回購入したSIMカードは、4G回線を15日間使い放題というもの。上述の通り、筆者の旅行の日程は10日間。帰国便に乗るまでデータ量を気にせず使えるということだ。
が、筆者はフリーランスのライターである。同業者なら理解していただけると思うが、様々なところからの電話がかかってきたりする。これに出ないと、「澤田は死んだのか!?」と心配させてしまう。つまり、渡航先がソウルだろうと北京だろうとロサンゼルスだろうとセントヘレナ島だろうと、いつでも普段の電話番号を使えるようにしておかないといけないのだ。
そこでデュアルSIMスマホの出番である。
とはいっても、今日びローエンドモデルでもSIMスロットは複数用意されていたりする。筆者のiPhone SE2も、物理SIMスロットの他にカードのいらないeSIMスロットが用意されている。
が、日本国内で生活している限り「SIMスロットが2つある」ことを持て余し、中には自分のスマホがデュアルSIMだということを忘れている人もいるのではないか。
だからこそ、海外旅行に赴く前に「自分のスマホはデュアルSIM対応機種なのか?」ということを改めて確認するべきだろう。何しろ、シングルSIM機種では「渡航先でのオンライン決済」に支障が出てしまうのだ。
筆者のスマホはeSIM+物理SIM
筆者のスマホはiPhone SE2と上述したが、契約キャリアはauである。
デフォルトの状態だと、使用しているSIMは物理スロットのほうで、筆者が能動的に設定しない限りはeSIMスロットは眠っている状態だ。それを旅行前に普段遣いの電話番号を物理SIM→eSIMへ移し、空いた物理SIMスロットに現地で購入のカードを入れる……という判断ももちろんできる。そうでなくeSIMスロットのほうに現地キャリアを当てはめることも可能で、そのあたりは個々の判断で融通を利かせられるはずだ。
こうした設定をしておらず、なおかつスマホを複数台持っていない場合、海外旅行では難儀すること間違いないだろう。
特に問題になるのは、オンライン決済での「3Dセキュア」である。
オンライン決済と「3Dセキュア」
今回、筆者はタイの首都バンコクからパタヤに向かった。その際の移動手段はバスである。
バスのチケットはバンコクのエカマイバスターミナルにある窓口で購入することもできるが、事前にネットで購入する手段もある。その際の決済手段は、当然ながらクレジットカード。となると、決済の直前に3Dセキュアをパスしなければならない。メールかSMSにワンタイムパスワードが送られ、それを入力する仕組みだ。
もしもSMSにパスワードが届く仕組みになっているとすれば、絶対に普段遣いの電話番号で通信可能の状態にしておかなければならない。
「今日びローエンドモデルでもSIMスロットは複数用意されていたりする」と上に書いたが、それでも物理SIMスロットがひとつのみの機種はまだまだ多い。その場合は、ネットでバスのチケットを買うために(普段遣いの電話番号をアクティブにするために)わざわざSIMカードを入れ替える……という作業をしなければならない可能性も。逆に言えば、デュアルSIM対応機種ではそのような面倒くさい作業をショートカットできるのだ。
レンタルWi-Fiルーターよりも格安!
「スマホを使えるか使えないか」は、海外旅行の快適さに直結する要素である。
日本で大きな話題になったライドシェアも、海外ではスマホアプリを使って呼び出す前提だ(というより、電話で呼び出せる日本版ライドシェアは国際的に見れば極めて珍しい仕組み)。スマホがなければ快適な旅行は難しい、と考えるべきだろう。
そして、よくテレビや動画配信サービス等で流れているレンタルWi-Fiルーターサービスは、現地キャリアのSIMカードと比較した場合残念ながら割高になりがちな点にも注意すべきである。これは国にもよるが、たとえば日本より物価の安い国(シンガポールを除く東南アジア諸国など)であれば選ぶべきは絶対に現地キャリアのSIMカードだ。
これらはデュアルSIM対応スマホがあってこその「旅行処世術」と言えよう。
取材・文/澤田真一
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