運転体験用の車両に乗り込み、いざ体験スタート!
貸切では昼休憩を挟みつつ、午前午後通しで運転ができるということもあって、通常2往復程度の体験回数もその倍以上が確保できる。人数上限は特に設けておらず、値段は一律32万円。この金額設定についても特別な追加料金はなく、「シンプルに通常開催終日分で計算しています」(河内氏)とのことで、さらに今回は貸切ならではの要素として、先方の運転したい車両形式のリクエストにも対応した。通常の運転体験会では運転しやすい最新鋭の3000系車両が使用されるが、今回はより難易度の高くなる旧型の2000系のほか、最高難易度となる、大阪モノレール開業当初から活躍する唯一の編成である、「1000系04編成」を準備。自身も大の鉄道ファンの河内氏を筆頭に、会社側もファンの熱い思いに最大限応えた形だ。
「入換進行!」と指差確認。最高時速15km/hでもかなりのスピード感
最高時速15km/hでもかなりのスピード感。係員さんも安全に配慮しつつ、体験の没入感を損なわない位置で見守っている
体験コース上に設けられた「停止位置目標」。ピッタリ合わせるのはかなり難しい
実車を運転する以上欠かせないは安全対策だが、運転体験は万博記念公園駅近くの車両基地内で行われ、営業列車が走行する線路とは分断されている。速度は最高15km/h以下に制限され、座学とシミュレーターを用いて事前学習を行うほか、体験中も常に係員が立ち会い、なにかあればすぐに停車できるように対策が取られている。
運転指導の係員さんが常に運転室内に複数設置されている非常ブレーキに手をかけているほか、速度が出過ぎないようにマスコン(アクセル)も加工
一回あたりの体験時間は、実際の運転業務と同様に運転前のブレーキ点検や信号確認、警笛吹鳴なども行い、その全てを含めると1回約5分程度となる。短いような気もするが、「DAE12 鉄道体験運転士会」会長の矢吹耕一さんは、「重要なのは長さではない」と話す。「運転体験の醍醐味はやはりブレーキです。私は体験コースの長さよりもブレーキ操作の回数や難易度に重きを置いています。古い車両ほどやりがいがある」とのこと。さらに「鉄の車輪で走る一般的な鉄道と異なり、モノレールはゴムタイヤで走ります。その挙動は独特で、ブレーキが難しい。それが国内で唯一体験できる大阪モノレールは貴重な存在」と思いを述べる。
「DAE12 鉄道体験運転士会」矢吹耕一会長